進化論

デイヴィッド・クォメン『生命の〈系統樹〉はからみあう』(的場知之・訳)

カール・ウーズを主人公に据えて、アーキアの発見と3ドメイン説および遺伝の水平伝播説について、科学者たちの人間模様のドラマも織り交ぜた科学史なしいドキュメンタリーの本 サブタイトルは「ゲノムに刻まれた全く新しい進化史」で、原題はThe Tangled Tre…

日経サイエンス・Newton2022年7月号

日経サイエンス 日経サイエンス2022年7月号 [雑誌]日経サイエンスAmazon SCOPE ITで目の不自由な人をナビゲート 靴が振動してナビゲートする。横浜で実験。 ADVANCES 細菌のエピジェネティクス エピジェネティクスというのは、真核生物のものであって、細菌…

チャールズ・コケル『生命進化の物理法則』

生き物の(広義の)デザインに物理的にどのような制約条件があるのか、ということを、生態から個体、細胞、 遺伝、代謝、元素と、上の階層から下の階層へと進む形で見ていく本。 筆者はアストロバイオロジーの研究者であり、この本も3分の2程度はアストロバイ…

マルチレベル淘汰(メモ)

昨日、ちょうどこういうことをメモったタイミングで、今日、下記のようなツイートを目にした 記事中に、コラムとして集団選択の話が書かれている E.O.ウィルソンとデイヴィッド・スローン・ウィルソンによる「複数レベル選択理論」 群選択の話は、エリオット…

『別冊日経サイエンス 進化と絶滅 生命はいかに誕生し多様化したか』

進化と絶滅 生命はいかに誕生し多様化したか (別冊日経サイエンス235)日本経済新聞出版社Amazonwww.nikkei-science.comこの表紙は、京都造形芸術大学の学生たちの作った作品から。アボリジニーアートから着想を得た作品らしい 別冊日経サイエンスは、過去の…

倉谷滋『進化する形 進化発生学入門』

あ、これ、サブタイトル「入門」だったんだ。入門ではない、おそらく。 新書とは思えない密度で内容が詰まっている本である。 筆者自らあとがきで倉谷滋『形態学 形づくりにみる動物進化のシナリオ』 - logical cypher scape2の続編だと述べている。 この本…

アレックス・メスーディ『文化進化論』

サブタイトルは「ダーウィン進化論は文化を説明できるか」 そのタイトル通り、進化論で文化を説明するという新しい学問分野について、一般向けに書かれた、分野全体を見通す本 「統合」がキーワードとして出てくる。日本語版序文では、「自然科学と社会科学…

『現代思想2016年5月号(特集:人類の起源と進化)』

山極・諏訪対談と、赤澤・西秋対談が一番面白かった。現代思想 2016年5月号 特集=人類の起源と進化 -プレ・ヒューマンへの想像力-作者:養老孟司,山極寿一,赤澤威,長沼毅,大澤真幸,吉川浩満,諏訪元,西秋良宏,篠田謙一,三中信宏,磯崎新青土社Amazon 特集*人類…

吉川浩満『理不尽な進化』

進化論についての言説史的な(?)エッセー(?)。どういう本なのか一言で説明するのはちょっと難しいが、「何故非専門家は進化論について誤解するのか」「何故グールドは混乱した議論を展開したのか」という問いをたて、非専門家やグールドがアホだからと…

宮田隆『分子からみた生物進化』

分子進化学の入門 もともと『分子進化学への招待』というタイトルで出ていた本の改訂版 分子進化学とはその名の通り、DNA、RNA、タンパク質といった分子を用いた進化学 この分野では、木村資生の中立説があまりにも有名 この分野の本をほとんど読んでなかっ…

三中信宏『進化思考の世界』

三中さんの○○思考の世界シリーズ第三弾。 第一弾→三中信宏『系統樹思考の世界』 - logical cypher scape2 第二弾→三中信宏『分類思考の世界』 - logical cypher scape2 今回も、進化論の話であるけれど、いわゆる普通の進化論の話ではなく、系統樹を巡ってそ…

エリオット・ソーバー『進化論の射程』

三中さんの本で紹介されていた本で、ようやく読めた*1。 日本語サブタイトルは「生物学の哲学入門」、原著タイトルはそのものずばり“Philosophy of Biology”である。 では、生物学の哲学とは何か。まあ、何かと問われてはっきりとした答えが出せるものでもな…

内井惣七『ダーウィンの思想』

ダーウィンが如何にして進化論を考えるに至ったのか、ということがまとめられている。 進化論そのものの解説としてもコンパクトにまとまっているけれど、それが実際にダーウィンがどのように考えていったのかがわかる。 まずはビーグル号の話と、地質学者ラ…

内井惣七『進化論と倫理』

上とあわせて、今日は進化論漬け。 それにしても、ダーウィンはすごいなあと思う。 20世紀の天才はアインシュタインだとして、19世紀の天才は間違いなくダーウィン。 進化論は、ダーウィン以後様々に改訂されてきたし、そもそもダーウィンは分子生物学は…

河田雅圭『はじめての進化論』

タイトルに違わず、初心者のための進化論入門といってうってつきの一冊。 具体例と適度な単純化(?)と平易な語り口で非常に分かりやすく、また誤解されそうなところへの注意が行き届いている感じがした。 今までいくつか進化についての入門書的なものは読…

木村資生『生物進化を考える』

中立説を提唱した、木村資生による、進化論の入門書。88年に書かれた本なので、データ的には古いのかもしれない(例えば、このことは今後の研究を待ちたいという記述が何カ所かある。これは今ではもう立証されていたりするのだろうか)。 進化論とか遺伝と…

『ドーキンスvsグールド』キム・ステルレニー

薄いのだけれど、とても密度の濃い、科学啓蒙書。 これまた作者は哲学者。 『自由は進化する』について書いたときも書いたけれど*1、現在の哲学者の仕事というのは、何らかの思索というよりは、様々な科学の学説の整理という面が強くなってきているように思…

三中信宏『系統樹思考の世界』

久しぶりに新書を買って読んだ気がする。 06年の本で、既にある程度話題の本になっていたっぽいが、なかなかいいタイミングで読むことができたなあと思った。 著者は、進化生物学を専門にしている*1ので、この本はまずは進化論の本といえる。 だが、いわゆ…