描写の哲学

John Kulvicki "Modeling the Meanings of Pictures"(2章まで)

カルヴィッキによる画像の意味についての本 言語哲学を応用し、言語的表現と比較しながら論じられる。 具体的には、カプランの「内容」と「キャラクター」の区別を画像にも適用するというもの。 第1章で、本書全体の概要を説明している。 その中で本書をミー…

清塚邦彦「K・L・ウォルトンの描写の理論:R・ウォルハイムとの論争を手がかりに」

K・L・ウォルトンの描写の理論:R・ウォルハイムとの論争を手がかりに とりあえず、読んだよというメモ すごく勉強になる。 ウォルトンは,論文「ごっこ遊びと諸芸術」(1997年)1の中で,自らの描写理論の展開を,分析美学の進展と関連付けて解説している…

Dominic M. Lopes "Drawing Lessons"

画像の認知的価値と美的価値の関係について ロペスの画像・絵画の価値に関する論集の第4章にあたる論文 同じ本の第2章は以前読んだ D.Lopes "The 'Air' of Pictures" - logical cypher scape2 Sight and Sensibility: Evaluating Pictures (English Edition…

フィルカルvol.5 no.2

表紙のカラーリングが好き 読む前は描写の哲学特集が一番の目当てではあったけれど、他のとこが結構面白かった 悪い言語哲学入門とかファース論文とかフィルカル Vol. 5, No. 2―分析哲学と文化をつなぐ―作者:山田圭一,池田喬,佐藤暁,松永伸司,銭清弘,難波優…

D.Lopes "The 'Air' of Pictures"

絵画の表現について 分析美学では、表現というのは、作品が何らかの感情を表現していることを指し、特に音楽における表現が論じられている。 絵画については触れられることが少ない この論文は、ロペスの絵画(画像)論についての本の第2章である。 「この曲…

『フィルカルvol.5 no.1』

全部は読んでなくて、一部読んだので、読んだとこだけメモフィルカル Vol. 5, No. 1―分析哲学と文化をつなぐ―作者:柳川太希,鈴木亘,青田麻未,Jean Lin,佐藤暁,吉川孝,小野さやか,玉田龍太朗,稲岡大志,矢田部俊介,大畑浩志,谷川嘉浩,一方井祐子,酒井麻依子,朱…

マンガにおける「分離された虚構世界」と「視覚的修辞」

まえがき 分離された虚構的世界と視覚的修辞 - logical cypher scape2 の続き、というか、最後に触れたイノサンの例についてもう少し膨らませて書く。 マンガは、絵を使って、とあるフィクション世界を描く形式である。 なので、絵の内容は、その世界の出来…

分離された虚構的世界と視覚的修辞

『フィクションは重なり合う』のAmazonページに、実はレビューが書かれているのを最近知って、ちょっとそれに対する応答をしつつ、ちょっと気になっていることをメモしておきたい。 2.2.分離された虚構世界の > 例えば、TVアニメ『四月は君の嘘』の22話(最…

Rune Klevjer, "Virtuality and Depiction in Video Game Representation"

これはウォルトン使ってる分析美学ぽいやつ。絵画と彫刻のちがい、ただのインタラクティブ映像とモデルによる表象(バーチャル/シミュレーション)のちがい、VRとARのちがいなどに関心ある人向け / Rune Klevjer, "Virtuality and Depiction in Video Game …

Elisa Caldarola "Pictorial Representation and Abstract Pictures"

分析美学から考える抽象絵画、というような感じの博論 分析美学が抽象絵画をどのように扱っているのか、というのは前から気になっていて、以前Michael Newall ”Abstraction” - logical cypher scape2を読んだ これは博論で全部読むには長すぎるので、3章だけ…

R.Hopkins ”Depiction"

映画の哲学の教科書の中にある、描写についての章(第6章) The Routledge Companion to Philosophy and Film (Routledge Philosophy Companions) Moving and still depictions What is depiction? Seeing film as pictures What do we see in film? The uni…

Derek Hodgson "The Visual Brain, Perception, and Depiction of Animals in Rock Art"

認知考古学による洞窟壁画の研究について 描写の起源に関わるような話で、人類史的な起源でもあるし、どんな認知能力が基盤になったのかという意味での起源でもある。 筆者のHodgsonは考古学者であるが、神経科学・知覚心理学・進化心理学などの知見を取り込…

ある画像が何を描いているのか

また視覚認識の話をしているのに、後天的な要因と文化的な要因をあまり区別しない説明をしているのも気にかかる。視覚に関しては奥行きの認識のように、幼少期に物をみたり触ったりする体験により獲得するため、後天的ではあるが文化的ではない要素がかなり…

Michael Newall ”Abstraction”

Michael Newallの”What is a Picture? Depiction, Realism, Abstraction”の中の8章「Abstraction」のみを読んだ。 分析美学で抽象絵画について論じているもの、何かないかなーと色々ググっているうちに辿り着いた奴 本全体でどういう話しているのかはよく知…

Bence Nanay『知覚の哲学としての美学 Aesthetics as Philosophy of Perception』3章

知覚の哲学と美学の両方を専門とするナナイによる美学の本 知覚の哲学に出てくる概念(主に「注意」概念)を用いていくつか美学の問題に取り組むもの 全部で8章構成になっており、今回は3章「画像Pictures」について 画像の三面性について論じられている。 …

ドミニク・ロペス『画像を理解する』

Dominic Lopes "Understanding Pictures" ドミニク・ロペスによる描写の哲学の入門書 同じテーマのものとして過去に読んだものは ジョン・カルヴィッキ『イメージ』(John V. KULVICKI "Images")前半(1〜5章) - logical cypher scape2 ジョン・カルヴィ…

ケンダル・ウォルトン「表象は記号か」

Kendall L.Walton Are Representations Symbols? 美学論文アンソロ(ラマルク+オルセン編『美学と芸術の哲学:分析的伝統:アンソロジー』 - logical cypher scape2)から 1974年に書かれた論文 表象のコアは指示ではない、ということを主張している。 なお…

ベンス・ナナイ「トロンプ・ルイユと画像知覚の腹側/背側説明」

Bence Nanay ”Trompe l’oeil and the Dorsal/Ventral Account of Picture Perception” https://philpapers.org/rec/NANTLA-2 2008年の論文であるベンス・ナナイ「画像知覚と二つの視覚サブシステム」 - logical cypher scape2]の内容をもとに膨らませて書い…

ベンス・ナナイ「画像知覚と二つの視覚サブシステム」

Bence Nanay “Picture Perception and the Two Visual Subsystems” https://www.semanticscholar.org/paper/Picture-Perception-and-the-Two-Visual-Subsystems-Nanay/ddfd7a7276afa17a0e8b486659ac137392c21ecc?tab=abstract 描写の理論に関する論文 二面性…

リチャード・ウォルハイム「画像的表象について」

美学論文アンソロ(ラマルク+オルセン編『美学と芸術の哲学:分析的伝統:アンソロジー』 - logical cypher scape2)から Mulcom Budd “How pictures look” (マルコム・バッド「画像はどのように見えるか」) - logical cypher scape2に続いて、描写につい…

Mulcom Budd “How pictures look” (マルコム・バッド「画像はどのように見えるか」)

美学論文アンソロ(ラマルク+オルセン編『美学と芸術の哲学:分析的伝統:アンソロジー』 - logical cypher scape2)から 描写の理論(Theory of Depiction)にはいくつかの立場があって、類似説、経験説、認識(認知)説、メイクビリーブ説、構造(記号)…

THE IDOLM@STER MR ST@GE!! MUSIC♪ GROOVE☆

横浜にあるDMM VRシアターで行われた、アイマスのVRライブイベント、我那覇響回に行ってきた 久しぶりのアイマス関係記事 アイマスとかアニメとかの記事は、数年前からはてなブログの方に書くようになったので、こちらでアイマスのライブイベントについての…

Bence Nanay ”Threefoldness"

Threefoldness | Philosophical Studies Nanayによる、「二面性」でなくて「三面性」だという論文 二面性が、絵の表面と描かれているものの二面だが、 絵の表面、絵の表面によってエンコードされる三次元のもの、描かれているものの3つだ、と。 間に1つかま…

S.E.P.「Depiction描写」

Depiction (Stanford Encyclopedia of Philosophy) 1. Resemblance Theories of Depiction 1.1 Resemblance and its Critics 1.2 Recent Resemblance Theories 2. Conventionalist Theories of Depiction 3. Psychological Theories of Depiction 3.1 Experi…

ネルソン・グッドマン『芸術の言語』(戸澤義夫・松永伸司訳)

待望の邦訳 原著についてはネルソン・グッドマン『Languages of Art』 - logical cypher scape2というか、超文フリにて新刊『筑波批評2013春』! - logical cypher scape2でレジュメをまとめたので、こちらの記事では内容まとめません。 ただまあ、やは…

西村清和編・監訳『分析美学基本論文集』

内容は大体タイトルの通り、ダントー「アートワールド」、シブリー「美的概念」、ウォルトン「フィクションを怖がる」といった有名論文が収録されている。 ただし、「分析美学って何?」って人は、ロバート・ステッカー『分析美学入門』 - logical cypher sc…

H.Brown ”Seeing things in pictures”

描写の哲学・美学の論文 分離されたSeeing-inについて 読んだけど、全然読めなかった。英語無理……。 なんかすごくテキトーなメモ 分離 鉛筆のスケッチ画で、腕の向きがちょとおかしくなってても、それは描かれた人の腕がおかしいというわけではないとか 15世…

Bence Nanay ”Inflected and Uninflected Experience of Pictures”

描写の哲学・美学の論文 屈折してる視覚経験と屈折していない視覚経験について 絵を鑑賞している時に、単に絵に描かれている内容だけを見ているのではなく、同時に絵の表面の性質・デザインについても見ている時=屈折 直接(フェイストゥフェイスで)対象を…

ジョン・カルヴィッキ『イメージ』(John V. KULVICKI "Images")後半(6〜9章)

イメージの哲学の教科書 ROUTLEDGEのNew Problems of Philosophyというシリーズの一冊 全部で9章構成で、大きく前半と後半に分けられる。 前半については、ジョン・カルヴィッキ『イメージ』(John V. KULVICKI "Images")前半(1〜5章) - logical cyphe…

ジョン・カルヴィッキ『イメージ』(John V. KULVICKI "Images")前半(1〜5章)

イメージの哲学の教科書 ROUTLEDGEのNew Problems of Philosophyというシリーズの一冊 全部で9章構成で、大きく前半と後半に分けられる。 前半は、描写についての説を5つ紹介している。これらは20世紀半ば以降のもので、ゴンブリッチからの影響を受けてい…