フィクション論

橋本陽介『ノーベル文学賞を読む』

ノーベル文学賞というと、日本では「村上春樹が受賞するかどうか」ばかり注目され、あまりにも受賞作が読まれていない、という現状を嘆く筆者による、ノーベル文学賞受賞作家・作品ガイド 下記の目次にある通り、13名のノーベル文学賞受賞作家が取り上げられ…

マーク・スタインバーグ『なぜ日本は〈メディアミックスをする国〉なのか』(中川譲訳、大塚英志監修)

日本におけるメディアミックスについての歴史研究の本。 全6章のうち、前半の3章は『鉄腕アトム』におけるキャラクター玩具の展開に、メディアミックスの起源を、後半の3章では、角川の社史を追う形で、角川が成立させたメディアミックスという手法の展開…

橋本陽介『物語論 基礎と応用』

タイトル通り、物語論入門 理論編と分析編とに分かれており、後半の分析篇では実際の作品が数多く紹介されている。 理論編では、プロップ、バルトからの流れをおさえつつ、ジュネットの『物語のディスクール』を中心に説明されている。 この本のポイントとし…

『フィルカルVol.2No.2』

「分析哲学と文化をつなぐ」雑誌、通算4号 これまでただの一読者として読んできて、自分が投稿するとかは全然考えていなかったのだけど、気付いていたら投稿していた。 というわけで、シノハラユウキ「メディアを跨ぐヴィヴィッドな想像」が掲載されていま…

ケンダル・ウォルトン『フィクションとは何か』(田村均訳)

サブタイトルは「ごっこ遊びと芸術」 Kendall L. Walton "Mimesis as Make-Believe :On the Foundations of the Representational Arts" - logical cypher scapeの邦訳であり、1年程前に出ていたのだが、ようやく手に取ることができた。 が、まあなにぶん長…

『フィルカルVol.2No.1』

分析哲学と文化をつなぐ雑誌 通算3冊目で、特集はアイドルだけど、それ以外にも、フィクション作品による哲学とは何かとか、ゲーム『超攻合神サーディオン』論、「意図の誤謬」翻訳などが載っていて、濃い内容となっている。 フィルカル Vol. 2, No. 1 | ph…

ウォルトンにおける想像のobjectについて

ケンダル・ウォルトン『フィクションとは何か』田村均訳について、 以前、高田さんが ウォルトンにおける想像の対象 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ という記事を書き、田村氏が、「表象体の対象(an object of a represenation)」と「想像活動のオブジ…

『フィクションは重なり合う』kindle版リリース!

フィクションは重なり合う: 分析美学からアニメ評論へ作者: シノハラユウキ出版社/メーカー: logical cypher books発売日: 2016/05/02メディア: Kindle版この商品を含むブログ (6件) を見るKindle ダイレクト・パブリッシングサービスを利用して、販売を開始…

『ナラティヴ・メディア研究』第5号

2015年11月に行われたマンガ研究フォーラム「マンガのナラトロジー ―マンガ研究における〈物語論(ナラトロジー)〉の意義と可能性」での発表論文が収録されたもの。 森本浩一が発表を行い、野田謙介、中田健太郎、三浦知志、三輪健太朗がコメンテーターとし…

フィクションのパラドクスについて(文フリ東京ボツネタ)

5月1日に東京流通センターで行われる文学フリマ東京にて、 シノハラユウキ『フィクションは重なり合う――分析美学からアニメ評論へ』を発行します。 詳細は→5/1文学フリマ東京にて『フィクションは重なり合う』発行 - logical cypher scape *1 『フィクション…

ステイシー・フレンド「事実とフィクションを想像すること」

ウォルトンやカリー、デイヴィス、ラマルク&オルセンなど、フィクションと想像とを結びつけることに対する批判 ちょっと、内容は省略。 フレンドの提案 ・想像を、定義的特徴として使うのではなく、ウォルトンが「芸術のカテゴリー」で述べた標準的特徴とし…

デイヴィッド・ルイス「フィクションの真理」(樋口えり子訳)

以前読んだグレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第2章 - logical cypher scapeで、ルイス説についてまとめられていたけど、まあ当たり前だけど、大体同じだった。 マイノング主義ではうまくいかないことがあるので、「然々の…

ケンダル・ウォルトン「フィクショナリティと想像」

指定された想像が、フィクションの十分条件でなかったという論文 (『ごっこ遊びとしてのミメーシス』*1の頃の見解を修正している) 1. Imagination (and Beleif) 2. Fictionality 3. Tempting Solutions 4. Seeing the Unseen; Reporting the Unreported 5.…

デレク・マトラバーズ『フィクションと物語』後半

フィクションと想像を結びつける、ウォルトンやカリーらに代表される、フィクションの哲学の主流派の考え方を批判している。 前半についてはDerek Matravers"Fiction and Narrative"1〜4章 - logical cypher scape 主流派の考えは、想像を指定するものがフ…

科学基礎論学会WS「現実とフィクションの相互作用」「意識のハードプロブレムは解決されたか」科学哲学会WS「心の哲学と美学の接続点」

今月は2つ学会に行って、3つWSを聞いてきたので、簡単にメモ 科学基礎論学会秋の研究例会は、11月7日に東大駒場キャンパスで 日本科学哲学会は、11月21日・22日に首都大学東京で開催 科学基礎論学会WS「現実とフィクションの相互作用」 松本大輝「虚構的情動…

Derek Matravers"Fiction and Narrative"1〜4章

フィクションの哲学の本 フィクションと想像とを結びつける主流派の考えに異を唱える とりあえず、全11章あるうちの最初の4章 ほんとは一気に全部読もうと思っていたのだけど、英語読むのがだるくなってきたので一度中断 1.Introduction 2.Walton on Fictio…

都留泰作『〈面白さ〉の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか』

文化人類学者にしてマンガ家である筆者が、自ら「世界観エンタメ」と名づけた作品を取り上げ、それらの作品の面白さを分析する。筆者の専門である文化人類学の話が織りまぜられて進んでいく。 内容と直接関係ない話だが、この作者のマンガ『ナチュン』は読ん…

グレゴリー・カリー『フィクションの本性』("THE NATURE OF FICTION")第5章

フィクションとは、作者が読者にごっこ遊びさせる意図で作られたものであり、フィクションの内容を解釈するとは虚構的な作者の信念を解釈することである、というカリーの主張をもとにしたフィクションの哲学の本 5章で最後となる。 グレゴリー・カリー『フィ…

グレゴリー・カリー『フィクションの本性』("THE NATURE OF FICTION")第4章

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第1章 - logical cypher scape グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第2章 - logical cypher scape グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATU…

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第3章

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第1章 - logical cypher scape グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第2章 - logical cypher scapeの続き Chapter3. Interpretation 3.1. Relationalism …

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第2章

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第1章 - logical cypher scapeの続き Chapter2. The Structure of Stories 2.1. Truth in fiction and fictional worlds 2.2. Being fictional 2.3. Lewis's theory 2.4. More on make-b…

Kendall L. Walton "Mimesis as Make-Believe :On the Foundations of the Representational Arts"

ウォルトンの「ごっこ遊び」論 小説や絵画といったフィクション作品=representational artsをごっこ遊びとして捉えて分析する。 まず、想像、特にごっこ遊び的な想像というものが取り上げられる。この場合の想像というのは自由奔放に思い描いてくことではな…

西村清和『フィクションの美学』

フィクションは現実を指示しているわけではないよ(サン・ヴィクトワール山の絵は、まず第一に絵であって、サン・ヴィクトワール山を指示していたり、サン・ヴィクトワール山の代理であったりするわけではない)。ただし、何らかの約束事があって、指示して…

北野圭介『映像論序説――デジタル/アナログを越えて』

映像を巡る言説を、アナログとデジタルの区別について吟味する形でまとめたもの。 冒頭で、方法論として概念分析と系譜学的考証というのを挙げている通り、映像という言葉がどのように使われてきたのかというのを追いかけている。 アナログ映像とデジタル映…

斎藤環『キャラクター精神分析』

これまで出てきたキャラクター論のまとめをしつつ、斎藤環なりのキャラクターの定義を提案している本。 個人的に、斎藤環のキャラクター論というのは以前から気に入っていて、この本も面白く読んだ。 斎藤環の文章というのは、そこかしこにラカン派の言葉が…

村上裕一『ゴーストの条件』

ゼロアカ道場優勝者である村上裕一によるデビュー作。 これで長きにわたったゼロアカ道場企画も本当に終結したと言える。 キャラクターというものが現代オタク文化の中で拡散している様をゴーストという概念で捉え直し、そのリアリティを批評している本。 三…

キャラクターの現前性

基本的にテヅカ・イズ・デッドについて再整理したことのつぶやきまとめ http://togetter.com/li/131760

震災チャリティ本『Pvol.2』に寄稿しました。

陸条くんの企画した、東日本太平洋沖大地震チャリティ同人誌『Pvol.2』に、「音楽はフィクションか?」という文章を寄稿しました。 まず、そもそも『P』というのは、陸条くんが電子書籍サービス・パブーを利用して配信している電子書籍型の同人誌です。 そ…

評論・フィクション・画像・映像(圏)

2/11、2/12のフィクションと評論に関わる部分(一部2/4のpost含む) - Togetter 岡和田さんのpostした「評論の文体」という言葉に反応したpostと hiroyuki_inさんのpostした「批評のアニメ」という言葉に反応したpostをまとめた*1 *2 特に後半は、言葉と映像…

キャラ=亜人間について

『筑波批評2009冬』に載せた亜人間論について、id:kugyoくんからコメントを貰っています。 コメント欄でちょっとやりとりがあったのですが、それに対する簡単な応答を。 別に、このまま向こうのブログのコメント欄で続けても構わないのですが、まあひと…