2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

中村桂子『生命科学』

1975年に書かれた、中村桂子による生命科学マニフェスト。 現在の中村は生命誌という言い方をするが、基本的な考え方はおそらく変わっていないのだと思われる。 マニフェストと述べたが、まさにこれは宣言書といった雰囲気が強い。 従来の生物学ではなく…

『探偵小説のクリティカル・ターン』限界小説研究会

e-NOVELSで限界小説書評を公開していた*1限界小説研究会による評論集。 表紙を見ると、元波状言論スタッフである前島賢、波状言論でデビューした渡邊大輔、福嶋亮大の名前が並んでいる*2。 東浩紀の影響下に展開された、太田克史いうところのゼロアカ的な批…

モンガブリエル上村4位!X-Games福島4位!

26日、モンガブリエル大会 男子モーグル 1位ジルボー・コラ 2位SHARIFULLIN Ruslan 3位MARQUIS Vincent おお! ついに今季初優勝のコラ。今季は今のところ、4位、9位、5位、1位 今年はこのヴィンセントという名前をよく見る気がするが、今のところ…

『人物で語る物理入門』米沢富美子

物理学史の勉強。 アリストテレス、アルキメデスから始まって、サンタフェ研究所を立ち上げたゲルマンまで、全15章で新書2冊に収まっている。この長さにこれだけの分量が詰め込まれているのはすごい。 物理学の理論や内容についてちゃんと知るのは、この…

「国家・暴力・ナショナリズム」@東工大

1月22日17:30〜20:40くらい 東浩紀、北田暁大、萱野稔人、中島岳志、白井聡 レポートはすでにいくつか上がっているみたいだし、『思想地図』にも掲載されるっぽいので、ここでは書きません。 むしろここでは、シンポで語られた内容よりはむしろ…

勝手にブログ評論

logical cypher scape評論「クラウスであるとも言える。」 洗練されたスキー人気は時に大体20世紀初頭をも上回ることがある。それは王者トマスなのだと言える。換言すれば、そういうわけでストーリーは大切なのだ。 ドラッカーは「タイトルを叫ぶだけでは…

レイクプラシッド大会(モーグル)、Kreischberg大会(クロス)

レイクプラシッド レイクプラシッドでは、18日と20日にモーグルが行われた。 まず、18日のリザルトから。 18日モーグル男子 1位ウォレン・ターナー(カナダ) 2位デイル・ベッグスミス(オーストラリア) 3位パトリック・デネン(アメリカ) うあ…

今月の『群像』と『新潮』

芥川賞が川上未映子、直木賞が桜庭一樹になりましたね。 今回、どれも読んでいないので*1、特に感想はないけれど、メッタ斬りの予想が完璧に当たるという異常事態(?)が起きていたりする。 大勢の本命予想を、あえて外してくるようなところがある芥川賞な…

『肝心の子供』『青色讃歌』

どちらも第44回文藝賞受賞作 とにかく『肝心の子供』の評判がよいので、読もう読もうと思っているうちに、『文藝』の次の号が出ちゃったりしたけれど、ようやく読めた。ああ、今号の『文藝』にはもうそれぞれの作者の対談が載ってるんだな、これもあとで読…

フライネ大会(スキークロス)

男子に関して言うと、前回、王者トマス・クラウスを一体誰が止めるかという話を書いて*1、 日本の瀧澤、河野、カナダのスタンレー・ハイヤー、スイスのミカエル・シュミッドを挙げたのだが、 このフライネ大会では、この4人は誰一人として、ファイナルにも…

Les Contamines Montjoie 大会(スキークロス、ハーフパイプ)

『銀色のシーズン』が公開されたみたいですね。 機会があったら見に行こうと思っているが、「雪猿」っていうコピーはひどいと思う。 この映画を機に、スキー人気が回復すればと、祈っている人たちも多いだろうが、そもそもこの映画自体が売れるのかどうか。 …

保坂和志『<私>という演算』

短編集。 今まで保坂は、『カンバセイション・ピース』しか読んだことがないけれど、いきなり短編集を読むよりも、長編を一本読んでから短編読むといいな、と思う。ただ、一回長編を読むと、長編よりは短編をぱらぱら読みたいな、と思う。 読み始めたときに…

野家啓一『言語行為の現象学』

タイトルのとおり、言語行為論(分析哲学)と現象学を架橋しようとする試みとしての論文集。 言語行為論と現象学・解釈学の共通点を描き出している。 英米哲学と大陸系哲学と、現代哲学は大きく二つに分かれてしまっているものの、そもそもの起源を辿れば、…

星野智幸『目覚めよと人魚は歌う』

混ざり合う感じ、溶け合ってしまう感じ。 現在と過去が、現実と想像が、自分と相手が、一人称と三人称が、自然と機械が、アメリカ大陸と日本が もちろんそれは決して溶けて一緒になってしまうことはない。 だが、この小説の文章を読んでいると、それらがあた…

『叫』

ものの「考え方」というのには、色々な種類があると思う。 例えば、論理的な思考とか具体的な思考とか。そして、エッセイ的な思考とか小説的な思考とかもあると思う。思考という言葉を使わずに、論理という言葉を使ってもいいかもしれない。科学の論理や小説…

三中信宏『系統樹思考の世界』

久しぶりに新書を買って読んだ気がする。 06年の本で、既にある程度話題の本になっていたっぽいが、なかなかいいタイミングで読むことができたなあと思った。 著者は、進化生物学を専門にしている*1ので、この本はまずは進化論の本といえる。 だが、いわゆ…

ポール・オースター『鍵のかかった部屋』

これでニューヨーク三部作は読み終わった*1。 ニューヨーク三部作は一貫して、書くことと自分と他者が曖昧になっていくことがテーマになっている。 書くこと(そしてあるいは読むこと)というのは、自分が他者になり、他者が自分になっていく体験なのだ。 『…

『バベル』

これで、去年のメキシコ人監督三大映画(?)を全て見たこととなった。 すなわち、キュアロン『トゥモロー・ワールド』、デル・トロ『パンズ・ラビリンス』、そしてイニャリトゥ『バベル』である。 これら3作品に共通しているのは、徹底して絶望的な状況を…

『太陽』

ロシア人が監督で、イッセー尾形が昭和天皇を演じた作品。 敗戦直前から人間宣言までが描かれている。 当然かなり調べた上で作られた作品なのではないかと思うけれど、玉音放送のシーンがなかったり、マッカーサーがあんまり似てなかったり、戦争で焼けた街…

ガルシア=マルケス『予告された殺人の記憶』

初めてのマルケス。 残念ながら(?)これはマジックリアリズムの作品ではなくて、実際に起きた殺人事件をもとに描かれた小説。 ミステリ、というわけではないが、ある殺人事件が起こるに到るまでの経緯の話なので、ミステリ的な楽しみで読むことができる。 …

野家啓一『物語の哲学』

面白かった。 オースティンの言語行為を少し変えて、物語行為論が展開されている。 「物語る」という行為を、オースティンの言語行為と区別し、経験を再構成し共同体で共有する行為と規定する。 そこから歴史についての考察がなされる。 後半では、虚構の存…

電脳コイル

元日の総集編を見た。 おー、なんか良い感じのジュブナイルかなーと思った。 全然読んだことがないのだが、恩田陸とかこんな感じかなとか*1。 ホラーでも伝奇でもなくて、都市伝説というか学校の怪談というかそういう系のジュブナイル。 くさい台詞が頻出す…

『間宮兄弟』

元日に家族でレンタルビデオ。テレビで流れることに気付かず借りてきて、テレビで放映されている時間にビデオで見た。 食事シーンと寝るシーンが実に何度も出てくる。 他にも、日常の行為が繰り返し(同じ構図や同じ動作によって)映される。 同じ行為の積み…

新年挨拶

どうも、2008年です。 もう年が明けてしまいました。 昨年は出会いの年であったように思います。 このブログを通して、多くの人と出会うことができました。 バトンを送らせて頂いたり、互いのブログを行き来するようになったり、あるいは実際に会うこと…