心の哲学
田中泉吏・鈴木大地・太田紘史『意識と目的の科学哲学』 - logical cypher scape2のあとがきで紹介されていた論文 意識をめぐる新たな生物学的自然主義の可能性 ギンズバーグ&ヤブロンカ、ファインバーグ&マラットについてのサーベイ論文 それぞれの問題点と…
意識について、進化論的なアプローチにより解明するには、目的論を導入する必要があるという本 自然主義だけれども、機能主義ではないこと、あるいは、進化論的なアプローチだけれども、意識を適応の産物と捉えないことが、面白いと思う。 他の意識理論との…
サブタイトルは「音楽美学と心の哲学」で、心の哲学、とりわけ知覚の哲学や情動の哲学を用いて、美学の理論構築を行っている本である。 さらにいえば、認知科学の知見も取り入れながらの、美学の自然化プロジェクトの一環として書かれている。 1~5章は、…
サールの「生物学的自然主義」を引き継ぎ「神経生物学的自然主義」を掲げる筆者らによる神経生物学的な意識研究の本 前著『意識の進化的起源』のダイジェスト的な本らしく、前著の方を未だ読めていなかったので、とりあえずこっちを手に取ってみた。 基本的…
the-yog-yog.hatenablog.com 草野原々さんが、この記事ならびtwitterで以下のようなアンケートを含むツイートをされている 下記の引用は、一部抜粋で、一連の流れの中で下記に引用した以外のツイートもしている点には注意哲学的ゾンビ論法の主張は「この世界…
美学研究者として著名な筆者による、「感情の哲学」論。サブタイトルに「分析哲学と現象学」とあるが、分析哲学的な感情についての議論の陥りがちな陥穽を指摘している。その陥穽に現象学をパッチしている、ようなところもあるが、現象学よりも分析哲学側の…
サブタイトルにあるとおり、ヒトのヒトたる特徴がどのように生まれてきたか、についての本 キーワードの一つは「徒弟学習apprentice learningモデル」である。 徒弟が親方から技術を盗んで覚える、という学習スタイルによって、ヒト族は知識や技術を伝達し、…
サブタイトルには「賢すぎる、愚かすぎる、それが人間だ」とあり、人間の特徴として挙げられる理性について、一方では科学技術を発展させるなど「賢すぎる」側面がありながら、他方で、近年の行動経済学などで人間はどうもあまり合理的に行動しないようだと…
ホラー映画を題材にして、情動の哲学、フィクションの哲学、死の害の形而上学、意識の哲学など、哲学の各分野の議論を紹介しつつ、筆者のホラー映画愛も盛り込まれている本 (入門書だけ読んでおわりがちな)自分にしては珍しく、この本の元ネタのいくつかを…
多岐にわたるトピックを扱っていて、普段あまり触れてないジャンルについても知ることができてよかった。 個人的には、倉田さんの社会存在論、井頭さんの自然主義、佐藤さんの倫理学あたりが特に、勉強になったなー面白いなーという感じだった。 今回、特徴…
心の哲学、特に意識にかかわる話題の論文集。その中から、予測コーディング理論を取り上げている佐藤論文と、現象的意識の統一性について論じている太田論文のみをとりあえず読んだ。シリーズ 新・心の哲学II 意識篇作者: 信原幸弘,太田紘史出版社/メーカー:…
前半は、心の哲学入門としてオーソドックスな項目が並ぶが、加えて、倫理学や美学などの隣接領域とオーバーラップするような項目や、これまでの入門書ではなかなか取り上げられていなかったような近年の知見、さらにこの手の本として珍しいのは、精神医学と…
10月から11月にかけて参加した学会 とりあえず、どの題目を聞いたくらいはメモっておくことにした 第68回美学会全国大会(@國學院大学) 大会プログラム 10/7 研究発表 松粼俊之(石巻専修大学) 表象的特性としての知覚的クオリアと美的クオリア―フレーゲ…
『シリーズ新・心の哲学』の中で、とりあえず自己知の章だけ読みたかったのでそれだけ。 ただ、他の章も気になったものがあるので、後日また読むかもしれない。 第1章は、フォーだーの思考の言語説(LOT)及び概念原子論とそれに対する認知心理学のプロ…
サブタイトルは「意識のハード・プロブレムに挑む」 意識の自然化に挑むものであり、「本来的表象はすべて意識経験である」という「ミニマルな表象理論」を展開する。 結論部に筆者の主張がまとめられているので、一部を以下に引用する。 ◎意識経験は全て知…
サブタイトルは、「情動の身体知覚説」 認知科学、心理学、文化人類学などの情動研究に基づいた、情動についての哲学の本。 情動についての哲学とは、つまり、情動についての理論的・概念的な分析がなされているということ。そもそも情動とは一体何なのかと…
Models in Science (Stanford Encyclopedia of Philosophy) 部分的に眺めたので、その時に書いたメモを放っておく SEP「科学におけるモデル」 意味論 世界の一部(ターゲットシステム)についてのモデル 現象のモデル モデルってそもそもどういう種類の表象…
今月は2つ学会に行って、3つWSを聞いてきたので、簡単にメモ 科学基礎論学会秋の研究例会は、11月7日に東大駒場キャンパスで 日本科学哲学会は、11月21日・22日に首都大学東京で開催 科学基礎論学会WS「現実とフィクションの相互作用」 松本大輝「虚構的情動…
ちくま学芸文庫になったのでそっちの方で読んだ。 心の科学についてまとまって読める。 すなわち、認知科学(心の演算理論)と進化生物学(自然淘汰による進化論)が合体した進化心理学による、心の説明である。 心は進化によってデザインされた演算装置であ…
これぞ分析哲学だよねーという感じの本で、非常に面白い。 後半は結構議論が難しくなってくるが、それでも議論が追いやすくなるように作られているので基本的には分かりやすいと思う。 もっとも、心の哲学全く知らないとなると多少つらいかもしれない。 注釈…
超長いこと、積ん読になってた本。 しかも何故か1と2は読んでないのに3だけ持っていたという謎具合。 5つの論文が収録されていて、そのうち1番目に入っていたキム論文が難解だったため(後述するが訳語が悪い)、挫折していた。どうせ、論文集なのだから…
サブタイトルは「心身問題と心的因果」 徹底した物理主義の立場から書かれた心の哲学の本。 実を言えば、心の哲学の中でも心的因果の話はいまいちピンとこないままだったのだが、今更ながら、おー、そういうことなのか、と思ったりw スーパーヴィーニエンス…
哲学者、心理学者、神経科学者などなどの「意識」研究者へのインタビュー集。 著者のスーザン・ブラックモアは、『ミーム・マシンとしての私』の著者。僕は、このタイトルと名前しか知らなかったので、てっきり生物学者か何かだと思っていたので、訳者解説を…
言うなれば、哲学に対するちゃぶ台返し、それが日常言語分析。 一冊まるごと、デカルト的心身二元論に対する批判。 世界は、「物的世界」と「心的世界」の2つに分かれていて、様々な「心的」と呼ばれる現象は「心的世界」で起こっている出来事である、とい…
柴田正良、服部裕幸、長滝祥司、月本洋、伊藤春樹、前野隆司、三浦俊彦、柏端達也、篠原成彦、美濃正の論文集*1。 第1部が感情、第2部がクオリアを扱っており、第3部では座談会が行われている。 論文数は、第1部が4つ、第2部が6つであり、第1部にし…
自分の中で心の哲学ブームが到来したので、とりあえず入門書二冊*1と、最近出た本を一冊。 実は今まで、同じジャンルは入門書を一冊読むとそれで満足していたことが多くて、同ジャンルの本を一度に何冊も読むのは自分としては珍しい。けど、ちゃんと勉強した…
非常に面白かった。 基本的な方向性としては、僕はデネットとそれほど違わないので「マジかよ」みたいな衝撃というか新しい発見はないけれど、勉強になった部分はかなりあった。 何か長くなったので、目次。 内容と関係ない感想 前提 この本は哲学の本か科学…
心の哲学面白いなあ! 心の哲学についてもっと勉強したいなあ、と思った*1。 今まで、ネットとかでかろうじて集めていた知識が、かなりはっきりと分かってきた。 やはり入門書というのはよいものだ。 心の哲学に関しては、基礎文献集とかあったけど、こうい…
9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。 他の週の授業はこちら 今回が最終回。 本当は、パトナムもやる予定だったのだが、先生の都合で中止に。 近々借りて読む予定だが、誰かが元の場所に戻さなか…
心の哲学の入門書として有名なこの一冊。 論文集かと思いきや、開いてみると思いの外、SF短編が多く収録されている。 その理由は、デネットの以下のような言葉から窺えるかもしれない。 科学のもつストーリーを生み出す能力は、単に周辺的であったり、教育上…