形而上学

応用哲学会2024年大会

銭清弘 ルールとしてのジャンル 山田圭一 ChatGPTとウィトゲンシュタイン ―言葉の意味を理解するとはどういうことか?― 石田知子 無知を産む装置としてのパラダイム——遺伝暗号解読競争からの教訓—— 金 雲龍 効果的利他主義は非規範的であるべきか 下道亮成 …

倉田剛「社会存在論の「統一理論」について」「いかにして社会種の実在性は擁護されうるのか」

倉田剛による下記の2つの論文が、グァラに触れているので、フランチェスコ・グアラ『制度とは何か』(瀧澤 弘和 監訳・水野 孝之 訳) - logical cypher scape2を読んだついでに、これらの論文も読んでみた 倉田剛「社会存在論の「統一理論」について」 htt…

フランチェスコ・グアラ『制度とは何か』(瀧澤 弘和 監訳・水野 孝之 訳)

社会科学の哲学の立場から書かれた制度論 経済学的な制度理解と哲学的な制度理解とを架橋するための議論が展開されている。 二部構成となっており、前半では、制度についての均衡説と制度についてのルール説を統合した統一理論「均衡としてのルール」説を展…

倉田剛『日常世界を哲学する』

社会存在論の入門書的な本 ただし、結構前提知識が必要な部分があり、しかも紙幅の都合で何気なく省略されたりしている部分もあったりする 「社会存在論? サールとかがやってるのは知ってるけど、日本語で読めるの少なくてあんまりよく知らないんだよね」く…

デイヴィド・チャーマーズ「ヴァーチャルとリアル」

チャーマーズが、VRについてのデジタリズム実在論を主張している論文 Chalmers, David J. "The virtual and the real." Disputatio 9.46 (2017): 309-352. ヴァーチャルリアリティはリアルか?:VRの定義、存在論、価値 - Lichtungにおいて紹介されており、…

三中信宏『思考の体系学』

サブタイトルは「分類と系統から見たダイアグラム論」 分類や系統を視覚的に表現するために用いられるダイアグラム、本書では特に系統樹に関して、その数学的な基礎と存在論的な基礎を示していく本 三中信宏『系統樹思考の世界』 - logical cypher scape2や…

スティーヴン・マンフォード、ラニ・リル・アンユム『哲学がわかる 因果性』(塩野直之・谷川卓訳)

因果性の哲学の入門書 因果性とは一体何なのか、ヒュームからスタートして、様々な哲学上の学説を紹介・解説していく。 筆者らが、傾向性主義の立場に立っているため、最終的にはその立場にたどり着くようにできている。 訳者解説にあるが、おおむね2〜5章…

『現代思想2017年12月臨時増刊号 総特集=分析哲学』

多岐にわたるトピックを扱っていて、普段あまり触れてないジャンルについても知ることができてよかった。 個人的には、倉田さんの社会存在論、井頭さんの自然主義、佐藤さんの倫理学あたりが特に、勉強になったなー面白いなーという感じだった。 今回、特徴…

倉田剛『現代存在論講義2 物質的対象・種・虚構』

倉田剛『現代存在論講義1 ファンダメンタルズ』 - logical cypher scape2の続刊 1巻が総論だとしたら、2巻は各論と述べられており、サブタイトルにある通り、「中間サイズの物質的対象」(構成や通時的同一性の話)、「種」、「可能世界」、「虚構的対象」…

D・ルイス『世界の複数性について』(出口康夫監訳、佐金 武・小山 虎・海田大輔・山口 尚 訳)

様相実在論についての本 D.ルイスの本は、以前、デイヴィッド・ルイス『反事実的条件法』 - logical cypher scape2も読んだ 『フィクションは重なり合う』の構想段階で、タイトル案として『虚構世界の複数性について』というものも考えていたので、やはり読…

源河亨『知覚と判断の境界線』

サブタイトルは、「「知覚の哲学」基本と応用」であり、そのタイトル通り、知覚の哲学の基本から始まり応用問題に至る。著者の博士論文を元にした著作であり、既存の理論の紹介だけでなく、後半では、著者による「高次モード知覚説」が論じられることとなる…

倉田剛『現代存在論講義1 ファンダメンタルズ』

以前、紀要で書かれていた倉田剛『「現代存在論入門」のためのスケッチ』 - logical cypher scape2が、待望の著作としてまとめられた本 元論文と同様の箇所ももちろんあるが、第二講義のメタ存在論の章など、元論文にはなかったトピックなども増えている。 …

WS「クワイン以後のメタ存在論」@第76回日本哲学会

とりあえず、行ってきたよというメモのみ 日本哲学会は土日に行われていたが、一部WSが金曜の夜に開催していてそれに参加。土日の方は行ってない。 会場が、一橋のマーキュリータワーという建物だったんだけど、タワーというからには近代的な高層ビルなのか…

森元良太・田中泉吏『生物学の哲学入門』

哲学的観点から、主に進化論・進化の総合説を主軸に生物学史を追っていくような形の教科書 普通に生物学の勉強になった。 これ、もちろん明らかに「生物学の哲学」の本だと思うし、読んでいて結構「哲学者っぽい書き方だな」と感じるところはあるんだけれど…

植原亮『実在論と知識の自然化』

サブタイトルは、「自然種の一般理論とその応用」 自然種についての実在論の議論と認識論の自然化について書かれた博論の書籍化。 三部構成になっており、一部は自然種の一般理論、第二部はその応用で、生物種の存在論と人工物の存在論について、第三部は認…

八木沢敬『神から可能世界へ 分析哲学入門上級編』

分析哲学入門シリーズ、いよいよ上級編 八木沢敬『分析哲学入門』 - logical cypher scape2 八木沢敬『意味・真理・存在 分析哲学入門中級編』 - logical cypher scape2 アンセルムスによる神の存在証明を分析哲学の観点から論ずるという形をとっており、帯…

デイヴィッド・M・アームストロング『現代普遍論争入門』(秋葉剛史訳)

普遍についての現代形而上学の入門書 普遍論争というと中世スコラ哲学が連想されるだろうが、現代の哲学においてもなお論争の続いているトピックである。 普遍についての問いというのは、「トークンa、b、c……が同じタイプFであるとはどういうことか」という…

『ワードマップ現代形而上学』鈴木生郎・秋葉剛史・谷川卓・倉田剛

ついに出た! 日本語による現代形而上学の入門書! 日本語で読める現代形而上学の入門書としては、既にアール・コニー+セオドア・サイダー『形而上学レッスン――存在・時間・自由をめぐる哲学ガイド』 - logical cypher scape2があり、内容には一部重複する…

セオドア・サイダー『四次元主義の哲学』(中山康雄監訳、小山虎、齊藤暢人、鈴木生郎訳)

内井惣七『空間の謎・時間の謎』 - logical cypher scape2、大栗博司『大栗先生の超弦理論入門』 - logical cypher scape2と読んできたので、時間関係の本をもう少し読もうかと思って、手に取ってみた。とはいえ、先に挙げた2冊とはかなり毛色の違う本。 サ…

八木沢敬『意味・真理・存在 分析哲学入門中級編』

八木沢敬『分析哲学入門』 - logical cypher scape2の続編である(前作を読んでないと分からないという部分はなく、全く別の著作として読んでも問題ない)。 ぐっと内容の濃度が上がっていて、なるほど中級編だという感じ。 すごい色々と勉強になり、そうい…

青山拓央『タイムトラベルの哲学』

最近哲学読んでなかったので タイムトラベルとは一体何なのか、ということを起点にした時間論。 内容まとめではなく、テキトーに気になったとこだけ拾いメモ 序章にあるレコード盤の喩えは、『順列都市』っぽい。 「私の時間」と「前後の時間」の区別は、A系…

倉田剛『「現代存在論入門」のためのスケッチ』

CiNii Research著者が計画している『現代存在論入門』(仮題)という著書の「スケッチ」ということで、プロトタイプになるような原稿が公開されている。 普通の文章に混ざって、ヨシオ、ノリコ、タカシの会話文が挟み込まれるスタイルで書かれている*1。 序…

グレアム・プリースト『存在しないものに向かって 志向性の論理と形而上学』

志向性*1について非存在主義を採用することで一般的な説明を与え、また同時に非存在主義についての擁護を行う本。 非存在主義とは、存在しない対象についても指示や量化ができるという立場。マイノング主義ともいわれ*2、かつてラッセルやクワインによって批…

青山拓央『分析哲学講義』

ちくま新書から出た分析哲学の入門書。 分析哲学の入門書というと、先日、講談社選書メチエから、八木沢敬『分析哲学入門』という本も出ているが、この両者はある意味ではよく似ているし、ある意味では結構違う。 どちらも分析哲学とは何かというところから…

八木沢敬『分析哲学入門』

『名指しと必然性』の訳者による、初めての日本語による著書。 トピック毎に分かれた章立てになっているが、特に従来の分析哲学入門と比べると*1、クリプキに割かれている部分が多いのが特徴的ではないかと思う。 かなり八木沢流に噛み砕いて書かれている感…

アール・コニー+セオドア・サイダー『形而上学レッスン――存在・時間・自由をめぐる哲学ガイド』

タイトルにあるとおり、形而上学の入門書である。 が、そもそも形而上学とはなんぞやというところが分からないとならないだろうが、それはそれ自体が一つのトピックになるほど、実は厄介であったりする。 とりあえず、訳者あとがきから要約しておくと、 形而…

山内志朗『普遍論争』

中世哲学のトピックの一つである普遍論争について、従来的な図式を壊して解説するもので、語り口は平易なのに難解な本。 難解なのは、中世哲学独特の単語や言い回しのせいだが、テクストを引用した後、ちゃんと噛み砕いてくれているので、見慣れない単語に目…

エリオット・ソーバー『進化論の射程』

三中さんの本で紹介されていた本で、ようやく読めた*1。 日本語サブタイトルは「生物学の哲学入門」、原著タイトルはそのものずばり“Philosophy of Biology”である。 では、生物学の哲学とは何か。まあ、何かと問われてはっきりとした答えが出せるものでもな…

三中信宏『分類思考の世界』

生物学哲学の大問題である「種」を巡って、その博覧強記をもって様々なエピソードから描き出した一冊。 というわけで、これは紛うことなき科学哲学の本であり、実際著者も何度も形而上学という言葉を使っているのだけど、哲学という言葉を聞いてこういったも…

『哲学の探究』第35号

伊佐敷隆弘「反実仮想とフィクション――実在する物個体をめぐって――」 反実仮想とフィクションの違いについて 細部の確定性(不確定なのがフィクション) 変更明示の原則(伴わないのがフィクション) 履歴への追加の不可能性 これらから、フィクションには実…