SF

ギョルゲ・ササルマン『方形の円』

架空の都市を描き出す36の掌編 コンセプト的にはカルヴィーノ『見えない都市』に近いが、もう少しSF寄りな感じ。また、『見えない都市』は、マルコ・ポーロがハーンに語っているという形式だが、こちらは統一された語り手は設定されておらず、淡々と都市につ…

大森望・日下三蔵編『おうむの夢と操り人形 年刊日本SF傑作選』

2018年に発表されたSF短編の中から、大森・日下の両名が選出した18編+第10回創元SF短編賞受賞作を収録したアンソロジー 元々、2008年に刊行された『虚構機関』から始まった本シリーズだが、今回、12冊目にして最終巻となる 『零號琴』のスピンオフである「「…

劉慈欣『三体』

話題の中国SF、ファーストコンタクトものなのだけど、三部作の第一作目だけあって、まさに「俺たちの戦いはこれからだ」ってところで終わる。 前情報で、文革の話もあればVRゲームも出てくると聞いていて、さらには短編「円」も組み込まれているというので、…

シルヴァン・ヌーヴェル『巨神計画』『巨神覚醒』『巨神降臨』

6000年前に地球に残されていった巨大ロボットが発見されるところから始まる、巨神シリーズ三部作 2017年に第一作である『巨神計画』の邦訳が刊行された時点で気になっていた作品だったのだが、三部作揃って一気に読んだ方が面白そうだったので、待っていた。…

柴田勝家『ヒト夜の永い夢』

南方熊楠を主人公に、粘菌をコンピュータとして用いた自動人形=天皇機関少女Mを巡る騒動を描く、昭和伝奇SF 和歌山県田辺で研究生活を送る南方は、ある日、学会の主流派から外れてしまった者たちで結成された昭和考幽学会に参加することになる。 彼らは…

宮内悠介『偶然の聖地』

世界にはバグがある。その中でも特大のバグであるイシュクト山を巡る物語。 エッセイと小説の中間のような作品を、という依頼で書き始めた連載をまとめたものだということだが、どう見てもSF小説 といって、エッセイ的な要素がないわけではなくて、それは膨…

ケン・リュウ『生まれ変わり』

ケン・リュウの第3弾日本オリジナル短編集 第1弾はケン・リュウ『紙の動物園』 - logical cypher scape2 で、これが第3弾ということは、第2弾を自分は読んでない ケン・リュウについて、これはこっちの勝手な思い込みかもしれないけど、最初の短編集が出た…

冲方丁『マルドゥック・アノニマス4』

ルーン・バロットとウフコックのバディが再起動するシリーズ第4弾 冲方丁『マルドゥック・アノニマス1』 - logical cypher scape2 冲方丁『マルドゥック・アノニマス2』 - logical cypher scape2 冲方丁『マルドゥック・アノニマス3』 - logical cypher s…

ピーター・ワッツ『巨星』

人類とは異なる知性、意識、自由意志などをテーマにしたワッツの短編集 ワッツは最近長篇が続けて邦訳が出てちょっと気になってたけど、読めていなかった 面白かった作品もありつつ、難しくてよくわからんかった作品もありつつ。 ウェブが初出という作品もそ…

大森望編『NOVA2019年春号』

大森望による、書き下ろしSFアンソロジーシリーズ。二度の中断を挟んでおり、第3期の第1弾にあたる。2019年春号とあるが、年2回ほどの刊行を目指しているとのこと。 今回、わりと2作1セットみたくなっているなあというラインナップになっている。小川・佐藤…

グレッグ・イーガン『ビット・プレイヤー』

イーガンの日本オリジナル短編集。収録作は6作品。 イーガン自体は長編がばりばり出てるから久しぶりな気はしないけど、短編集自体はわりと久しぶりなのか それにしてもイーガンは何故日本でこんなに人気なのか。自分も好きではあるけど、やっぱり難しいとこ…

『ラブ、デス&ロボット』

ここ数日TLを騒がせているこの作品。 この間ようやく見終わったところなので、ちょっと感想とか Netflixのオリジナル作品で、全18本の短編アニメーションオムニバスシリーズである。 デビッド・フィンチャーがプロデューサーの一人であり、また『スパイダー…

『SFマガジン2019年4月号』

特集「ベスト・オブ・ベスト2018」ということで、『SFが読みたい!』でベストSF2018に選ばれた作家の書き下ろし等が掲載SFマガジン 2019年 04 月号出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/02/25メディア: 雑誌この商品を含むブログを見る 飛浩隆「サーペント…

藤井太洋『公正的戦闘規範』

デビュー作を含む5編を収録したSF短編集 藤井作品をそれほど多く読んだわけではないのだが、現実に存在するテクノロジーの延長上にある未来を、ポジティブに・楽観的に描く、というのがおおむね作風と言っていいのではないかと思う。 いくつかの特徴があげ…

倉田タカシ『母になる、石の礫で』

不思議なタイトルだが、小惑星帯を舞台とした、ポストヒューマン宇宙SFである。 地球から逃げ出した12人の科学者が小惑星帯に作ったコロニー。そこで生み出された子どもたちが主人公だ。 宇宙で生まれ育った彼らの価値観、身体感覚、渇望、新たな世界への旅…

アンディ・ウィアー『アルテミス』

アンディ・ウィアー『火星の人』 - logical cypher scape2のウィアー、長編第二作 『火星の人』が火星サバイバル小説だったのに対して、『アルテミス』は月面都市犯罪小説になっており、主人公もアメリカ人白人男性宇宙飛行士から、月育ちアラビア人女性密輸…

大森望・日下三蔵編『プロジェクト:シャーロック  年刊日本SF傑作選』

2017年に発表された短編小説の中から選ばれた16編+創元SF短編賞受賞作をまとめたアンソロジー 11作目ということで、国内で編まれた年刊SF傑作選としては最多のシリーズとなったらしい。 筒井・眉村といった大御所から小川・松崎・伴名といった若手まで、SF…

『小説すばる2018年10月号』

ちょっと前の号だけど、SF特集だったので気になっていた 年明けからしばらく、小説を読んでいくぞという気持ちになっているので、ようやく手に取った。 下記目次は、SF特集部分のみ 【2大SF新連載】 佐々木譲「抵抗都市」 ・連載スタート記念 佐々木譲インタ…

藤崎慎吾『鯨の王』

幻の巨大クジラを追う海洋スリラーSF 藤崎慎吾作品を読もう読もうと思って幾星霜。いやほんといくらなんでも幾星霜すぎるだろ 単行本出たのが2007年、文庫化したのが2009年の作品。 アメリカ海軍の潜水艦で、乗組員が一人ずつ死んでいくという怪死事件が発生…

『Genesis 一万年の午後』

創元日本SFアンソロジー 創刊号と銘打たれているのでシリーズ化するらしい。創元の編集部によるアンソロ。タイトルのGenesisは、「創元」の英訳みたい。 創元SF短編賞受賞作家を多くそろえ、ジャンルもバリエーション豊かな感じになっている。 久永実木彦…

リンダ・ナガタ『接続戦闘分隊』

感情制御技術とドローンによる戦闘支援と民間軍事会社が跋扈する近未来の米陸軍で、ちょっと軍人っぽくない感じの軍人主人公の一人称ミリタリーSF どことなく、というか完全に『虐殺器官』を彷彿とさせる作品であるので手に取ってみることにした。 上にあ…

イアン・マクドナルド『旋舞の千年都市』

2027年のイスタンブールを舞台にした群像劇で、6人の登場人物の5日間を描く。原題は「The Dervish House」で、Dervishはイスラムの修道僧のこと。6人の主人公が住んでいるのが、元僧院であるためこのタイトルだが、宗教、特に神経科学テクノロジーとの関係も…

大森望・日下三蔵編『行き先は特異点 年刊日本SF傑作選』

2016年に発表された短編SFの中から、大森・日下が選出した20編 ずいぶん読むのが遅くなってしまったが、次『プロジェクト・シャーロック』を今年の夏までに読めば追いつく なお、このシリーズはこれで10作目とのこと。 ほぼすべて未読作品だった SFを雑誌と…

オキシタケヒコ『筺底のエルピス6 -四百億の昼と夜-』

これまでちりばめられてきた謎の真相が次々と明らかになる一方で、それに伴って物語のスケールが半端なく拡大していき、相変わらず「えーそこで終わるの?!」ってとこで次巻へ続く、ライトノベルSFシリーズ第6巻 伝奇アクションであり時間SFであることは当…

飛浩隆『零號琴』

なかなかとんでもなくも面白い作品だった。 惑星「美縟」において、500年ぶりに復活する楽器「美玉鐘」と楽曲「零號琴」にまつわる秘密を巡る物語 年末に読み終わっていたのだけど、ブログにまとめる時間がなく、ずるずるとこんなタイミングになってしまった…

早瀬耕『グリフォンズ・ガーデン』

早瀬耕『プラネタリウムの外側』 - logical cypher scape2の前日譚にあたる作品 元々、1992年に刊行されたのだが、2018年に文庫化された 『プラネタリウムの外側』と同じく有機素子コンピュータが登場する。『プラネタリウムの外側』では、なんか出自はよく…

麦原遼「逆数宇宙」

収縮する宇宙の謎を突き止めるため宇宙に放たれた探査隊2人の物語 一応読み終わったのだけれど、途中で集中力が尽きて、わりとぼーっと読んでしまった。 非常にグレッグ・イーガン的な作品。逆数宇宙 第2回ゲンロンSF新人賞優秀賞受賞作作者: 麦原遼出版社/…

上田早夕里『破滅の王』

1940年代の上海を舞台に日本人科学者がとある細菌兵器を巡って奮闘する物語 サスペンス的な意味でとても面白い 上田作品は一部しか読んできていないが、『華竜の宮』や『深紅の碑文』などと通底するところからな、と思うのは、苦境に陥った世界の中でなお必…

小川哲『ゲームの王国』

カンボジアのポルポト政権時代と近未来を舞台に、2人の主人公が、政治・社会とゲームとの関係を巡って、対立し惹かれ合う物語 小川哲『ユートロニカのこちら側』 - logical cypher scape2に続く、小川哲の長篇2作目だが、個人的には、ユートロニカとはまただ…

『SFマガジン2018年10月号』

また、見たい映像コンテンツが増えていくな、畜生 久しぶりにSFMで短編読んだSFマガジン 2018年 10 月号出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/08/25メディア: 雑誌この商品を含むブログ (3件) を見る リンダ・ナガタ「火星のオベリスク」 「第六ポンプ」的…