2007-01-01から1年間の記事一覧

『現代思想』08年1月号、『SIGHT』、あと読みたい本メモ

『現代思想』08年1月号 森達也・萱野稔人対談 95年(阪神・オウム)以降、テレビ界からはみだしてしまったところから日本の社会やメディアを見てきた森と ちょうど95年に渡仏して02年に戻ってきた萱野の対談。 90年代後半から00年代前半の、ポ…

星野智幸『最後の吐息』

「最後の吐息」と「紅茶時代」収録 マジックリアリズムというのかどうかはよく知らないが、不思議な感じのする作品だった。 イメージ豊かというか、濃厚な比喩表現があったり、触覚や味覚に訴えかけてくるような描写があったりする。どちらの作品もメキシコ…

「説明」に関するメモ

「説明」と「感じ」*1 「三人称」と「一人称」*2 「研究」と「評論」*3 「アカデミズム」と「ジャーナリズム」(もしかすると英語と日本語)*4 これらは、それぞれ非常によく似ているのではないか、と思った。 「公共的言語」と「私的言語」って言っちゃうと…

『現代思想07年12月号』「特集量子力学の最前線」

まあ、ぶっちゃけた話、分からない部分の方が遙かに多い。 読みながら、分かんねえなあと思いながら読んだわけだけど、そのわからなさ具合がまた何となく面白い。 宇宙論 宇宙ヤバイw 宇宙論はやっぱり面白いなあと思う。 五次元宇宙の話とか。量子スケール…

『物語の(無)根拠』第6章

『物語の(無)根拠』目次 第6章 インターフィクション 第三のメタフィクション 連続体と無限 連続体からの分節化 自己言及 フラクタル的――メタを志向しない構造 不完全な対称構造――各章をゆるやかに繋げる(1) 転送――各章をゆるやかに繋げる(2) イン…

J.L.オースティン『言語と行為』

オースティンについて 1911〜1960 48歳という若さで亡くなっている。 アリストテレスなどギリシア古典の研究から研究キャリアをスタートさせている。 戦中は、情報将校として従軍し、ノルマンディー作戦に関する情報収集、分析などをやっていたら…

「脳から見た心の世界 Part3(別冊日経サイエンス)」

他人を映す脳の鏡 ミラーニューロンの話。イタリア・パルマ大学の研究グループによる。 任意の動作において発火するニューロンなのだが、自分がその動作をやるときでも、相手がその動作をやるときでも発火する。 心の理論とか、共感とか、言語とかに関連して…

あらゆるものが科学で説明することが出来るか

心の哲学についてちょっと勉強してみて思ったことは、 心については、もう自然科学の領域に任せてしまえばいい、ということ。 哲学者ないし人文系の人間が何か携わることが出来るとすれば、個々の研究を繋ぐようなロードマップを作ったりインタープリターに…

『物語の(無)根拠』第5章

『物語の(無)根拠』目次 第5章 核兵器の行方 『ミステリアスセッティング』の依存的な妄想 爆発するミステリアスセッティング 核兵器とアメリカ 核兵器とフィクション メイクビリーブとメタフィクション 少し前、文学に関する「評論」と「研究」を以下の…

モーグルW杯ティーニュ大会、上村2位、伊藤4位、遠藤10位

気付けば、W杯が開幕してました。 今年はキャンセルとかないみたいですね。日本は雪が多いけど、ヨーロッパも多いのでしょうか。 男子リザルト 1位PA・ルソー 2位タピオ・ルーサ 3位アレクサンダー・ビロドゥ ギルボー、ネイザン、デイル・ベッグが続…

「2007年の映画をふりかえる」

空中キャンプ主催の企画に応募してみようと思います。 空中キャンプというのは、僕がよく見に行くブログで、映画の感想が非常に充実していて、見に行く映画の参考にしている。 また、非常に面白い文章を書く人で、映画の感想以外の記事も楽しみに読んでいる…

『別冊日経サイエンス 脳から見た心の世界』『現代思想』「特集量子力学」

まだどちらもちゃんと読んでいないので、予告編。 日経サイエンスの方は、自閉症とか読字障碍とかから考える、というもので興味深いが、文芸誌3誌を読んだので体力が尽きて読めていない。 ラマチャンドランやクリック*1の記事もある。 ダマシオの記事だけざ…

森達也『下山事件』

明らかに普段読んでいる本とは違う傾向の本だけど。 最近、戦後史だか昭和史だかが気になり始めていて*1、本屋に行ったら目についたのでふと買ってみた。 こういう事件があったということも、森達也がこういう本を書いたということも、知ってはいたけど、ほ…

今月の文芸誌というか中原昌也と鹿島田真希(『すばる』『文學界』『群像』1月号)

今日は図書館でずっと雑誌を読んでました。 1月号だからなのか、何か沢山読むところがあったような。 読んだもの一覧 『すばる』 「誰も映っていない」中原昌也 「カブを抜く」円城塔 特集「ナゴヤ文学革命」「名作リッパケージ現象」 『文學界』 「ケータ…

グッドマン『事実・虚構・予言』

タイトルがかっこいい 英語だと、fact,fiction,forecastになる。 帰納法に関する、グルーのパラドックスについての論文が載っている。 その論文だけは既に読んだ。 それもあって、あまりじっくりとは読まずに、スピード上げて読んだ。 なので細かいところま…

最近聞いている奴/最近はてなでケータイ小説流行りすぎじゃね

FLASH BACKアーティスト: capsule出版社/メーカー: ヤマハミュージックコミュニケーションズ発売日: 2007/12/05メディア: CD購入: 7人 クリック: 185回この商品を含むブログ (221件) を見るIDOLアーティスト: SPECIAL OTHERS出版社/メーカー: ビクターエンタ…

『物語の(無)根拠』第4章

『物語の(無)根拠』 第4章 「1000の小説」と「文字の海」 脳内妹の不在 《言語》 小説を書くことというカルヴィニズム 物語の「制度」としての「文字の海」 オートポイエーシス・システムと「文字の海」 上位【メタ】の視点からシステム内部の視点へ …

心の哲学について勉強した(『心は機械で作れるか』『心の現代哲学』『なぜ意識は実在しないのか』)

自分の中で心の哲学ブームが到来したので、とりあえず入門書二冊*1と、最近出た本を一冊。 実は今まで、同じジャンルは入門書を一冊読むとそれで満足していたことが多くて、同ジャンルの本を一度に何冊も読むのは自分としては珍しい。けど、ちゃんと勉強した…

『犬狼伝説』と『GUNSLINGER GIRL』/日常化した非日常的存在/自分にとっての文学・文芸評論

最近読んだ。ガンスリは新刊を買った。犬狼伝説は友達から借りた。GUNSLINGER GIRL 9 (電撃コミックス)作者: 相田裕出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2007/11/27メディア: コミック購入: 10人 クリック: 90回この商品を含むブログ (186件) を見る犬…

SFマガジン1月号

テッド・チャン特集 「商人と錬金術師の門」 アラビアンナイトの世界を舞台にした、タイムトラベルもの。 過去も未来も改変不可能なんだけど、タイムトラベルすることで、知っている情報が変化することで、主人公の気分は変わる*1。 知っている情報が変わる…

『RATIOVol.4』『増刊ヤングガンガン』

どちらも立ち読み 『RATIOVol.4』 「芸術の哲学/哲学の芸術」というのが気になった(けど読んでない)。 20世紀の哲学というのは、真理よりも芸術の方へと接近していくものだったのではないか、とか何とかそういう話なのではないかと思う。 「戸田山和久vs…

『物語の(無)根拠』第3章

これからおそらく毎週月曜日が、『物語の(無)根拠』の日になるかと。 年内には終わりますね。 物語の(無)根拠 第3章 不自由な佐藤友哉 操りの問題 作者の転落 「言語ゲーム」と「規則に従う」 『クリスマス・テロル』から「世界の終わりの終わり」へ ミ…

鹿島田真希『二匹』/星野智幸『ロンリー・ハーツ・キラー』

二匹 鹿島田のデビュー作 彼女の作品は既に二作読んでいるのだが*1、それらとはまたちょっと違った感触のする作品。 僕が読んだその二作品は、観念的というか抽象度が高い(例えば固有名詞が出てこないとか)のだけど、こちらは具体的な男子高校生の生活を描…

ダニエル・デネット『自由は進化する』

非常に面白かった。 基本的な方向性としては、僕はデネットとそれほど違わないので「マジかよ」みたいな衝撃というか新しい発見はないけれど、勉強になった部分はかなりあった。 何か長くなったので、目次。 内容と関係ない感想 前提 この本は哲学の本か科学…

「簡単哲学史」うp

哲学とは何か のおまけとして 簡単哲学史 というのを書いてみた。 ただし、哲学史といっても、そんなものを書くのはとても不可能なので、項目や固有名詞のリストにとどめた。 「おまけ」とか「リストにとどめた」とか言ってるけど、これ作るのでも結構大変で…

『物語の(無)根拠』第2章

『物語の(無)根拠』目次 第二章 メタ物語から物語へ 選択の根拠 物質か精神か 量子力学と自由意志 選択と喪失――ゲーム的リアリズム 自由で責任を持つ主体 非日常と日常を巡るサブカルチャー史 責任の不可能性と時間の暴力 第一章で論じられた「物語の自律…

「哲学とは何か」という文章うp

「哲学とは何か」を読む 大仰なタイトルだなあ、と思う。 ほとんど衝動的に書いた文章で、その名の通り「哲学とは何か」について今思っていることをそのまま書いた。 哲学だけでなく、人文的な学問*1というのは、他の多くの人からは、一体何なのか分かられて…

『物語の(無)根拠』第1章

『物語の(無)根拠』第一章html版を公開する。 『物語の(無)根拠』html版公開に関して 基本的に僕の活動範囲はweb上であって、僕の文章を読んでくれる人がいたり、あーだこーだと意見を交わすことのできる場というのもweb上にある。 というわけで、自分の…

BravoskiVol.2

旭岳がやばい! なんだこれ!すげぇ!旭岳すげぇ! あと安比もすげぇ!安比! プロスキーヤーの生活というのもすごいなあ、と思う。 夏の間、ずっとバイトし続けて、冬の間、山にこもるという生活。 それから児玉毅の奥さんへのインタビューが面白い。 この…

日本について(東浩紀の一貫性)

『思想地図』の募集要項で A : 日本語で思考することの意味を問う(東浩紀氏設定) 1970年代以降の日本の思想あるいは作品(ジャンル、メディアは問わない)をひとつ取り上げ、日本語で考え発表することの意味を軸として、作家論あるいは作品論を展開…