小説

天冥の標(1〜4)

ついに読み始めてしまった…… これ読み始めたら、しばらく他のもの手につかなくなるなと思って、読まずにいたのだけど 無料だったkindleを読み始めたのが運の尽きw とりあえず途中経過 こんなにも性と羊をめぐる話だったとは あと、こんなに各巻ごとに時代も…

スタスニスワフ・レム『完全な真空』

架空の本についての書評 対象となるのは、小説が多いが、最後の4編は学術書 原著が1971年、1989年に刊行された邦訳が今年文庫化された。 SF的な作品もあれば、文学パロディなものもある。 今でも面白いなあ、というものもあれば、もうさすがに古いかなという…

伴名練編『日本SFの臨界点[恋愛編]死んだ恋人からの手紙』

タイトル通り、恋愛SF(一部、恋愛ではなく家族愛ものだが)を集めたアンソロジー 何故か歴史改変ものが2作ある。 恋愛SFというと時間SFと相性がよいという勝手なイメージがあるが、その点直球の時間SFはなく、しかし、歴史改変ものも広義の時間SFと捉えればそ…

津久井五月『コルヌトピア』

植物と都市、そして庭園のSF 人と居場所を巡る物語、かもしれない 「コルヌトピア」と、文庫化に伴い、その後日譚(15年後を描いた)「蒼転移」が書き下ろしで収録されている。 ビルディングが植物で覆われた未来都市、というのは絵的にはありがちだが、新宿と…

伴名練編『日本SFの臨界点[怪奇編]ちまみれ家族』

1961年の作品から2016年の作品まで、ギャグ的な作品も含めて、広い意味でSFホラー作品を集めたアンソロジー 上に1961年からとは書いたものの、収録作の大半は90年代及び2000年代の作品である。この時期の作品が多い理由は、編集後記に書かれている。 上に「…

『SFマガジン2020年8月号』

特集・日本SF第七世代 ここでは、北野勇作、野尻抱介を第4世代、冲方丁、小川一水、上田早夕里、伊藤計劃、円城塔を第5世代、宮内悠介、酉島伝法、小川哲を第6世代とした上で、それ以降を第7世代としている。 まあ、世代分けにどれくらいの意味があるかはと…

スティーブン・ミルハウザー『私たち異者は』

日常の中に紛れ込んだ奇妙なものを描くミルハウザーの短編集 原著は2011年 標題作をはじめ「私たち」という一人称複数形を使う語りによる作品が多く(7作中5作)印象的だった 帯にも引用されている訳者あとがきに「ミルハウザーといえば「驚異」がトレードマー…

冲方丁『マルドゥック・アノニマス5』

バロットが過去と和解し、ハンターが過去を隠されていたことに気付くまでの話冲方丁『マルドゥック・アノニマス1』 - logical cypher scape2 冲方丁『マルドゥック・アノニマス2』 - logical cypher scape2 冲方丁『マルドゥック・アノニマス3』 - logica…

奥泉光『雪の階』

二・二六事件の迫る昭和の東京を舞台に、伯爵の娘笹宮惟佐子が親友の死の謎に迫るミステリ 今回はSF要素はないものの、やはりジャンル横断的な作品となっている。 読後にググって出てきた鴻巣友季子のレビューが簡にして要を得ている allreviews.jp ストーリ…

陳楸帆『荒潮』

「80后(80年代生まれ)」の中国SF作家陳楸帆(スタンリー・チェン)の第一長編。 中国のとある島における、島民と出稼ぎ移民との対立を背景にしたサイバーパンク風作品。 陳の作品は、ケン・リュウ編『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』 - logical c…

テッド・チャン『息吹』

控えめに言って最高 というか、テッド・チャン作品はテッド・チャンにしか出せない世界観になっている。 例えば、確かにSFではあるのだが、必ずしも現代の科学の延長にはない世界を舞台にしていることなど息吹作者:テッド・チャン出版社/メーカー: 早川書房…

アーカイブ騎士団『会計SF小説集』

会計SF、一体なんだそれはという感じだけれど、会計SFなんだなあ 過去にアーカイブ騎士団『流通小説集』 - logical cypher scape2で流通小説なる新ジャンルを開拓したアーカイブ騎士団の面目躍如といったところか会計SF小説集 アーカイブ騎士団作者:アーカイ…

群像2020年1月号

群像 2020年 01 月号 [雑誌]作者:出版社/メーカー: 講談社発売日: 2019/12/07メディア: 雑誌 〈新連載小説〉ゴッホの犬と耳とひまわり 長野まゆみ 〈新年短篇特集〉 見るな 瀬戸内寂聴 焚書類聚 皆川博子 タンパク 高樹のぶ子 カズイスチカ 高橋源一郎 星を…

宙を数える 書き下ろし宇宙SFアンソロジー

創元SF短編賞出身者による宇宙SF競作 時間SFアンソロジーである『時を歩く』とセットの企画なのだが、とりあえず宇宙が面白そうだったのでこちらをまず手に取った。 が、めちゃくちゃ面白い どの作品も当たりで、かなり満足度が高い。レベルの高い短編集だと…

郝景芳『郝景芳短篇集』(及川茜訳)

中国のSF作家である郝景芳(ハオ・ジンファン)の短編集 もともと中国では2016年に『孤独深処(孤独の底で)』というタイトルで出版された短編集全11篇の中から7編が収録されている。 郝景芳は、ケン・リュウ編『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』 - …

ギョルゲ・ササルマン『方形の円』

架空の都市を描き出す36の掌編 コンセプト的にはカルヴィーノ『見えない都市』に近いが、もう少しSF寄りな感じ。また、『見えない都市』は、マルコ・ポーロがハーンに語っているという形式だが、こちらは統一された語り手は設定されておらず、淡々と都市につ…

渡辺零『Ordinay346』

この写真、右上だけ明らかにおかしいwあとでゆっくり読みます— シノハラユウキ (@sakstyle) August 11, 2019 (この写真に写っている中で他と比べて)「明らかにおかしい」奴読みました 高橋慶太郎作品をオマージュしたアイマス・シンデレラガールズ二次創…

大森望・日下三蔵編『おうむの夢と操り人形 年刊日本SF傑作選』

2018年に発表されたSF短編の中から、大森・日下の両名が選出した18編+第10回創元SF短編賞受賞作を収録したアンソロジー 元々、2008年に刊行された『虚構機関』から始まった本シリーズだが、今回、12冊目にして最終巻となる 『零號琴』のスピンオフである「「…

小川哲『嘘と正典』

『ユートロニカのこちら側』『ゲームの王国』といった長編を発表してきた筆者の初短編集 時間や歴史(世界史から家族の歴史までスケールは様々)を扱ったSF作品が主で、また「魔術師」や「嘘と正典」などはミステリ的な要素もある 紛うことなきSF作品揃いで…

阿部和重『オーガ(ニ)ズム』

神町トリロジー完結編! 『シンセミア』『ピストルズ』に続く、山形県神町を舞台にした三部作の最終章 さらに『ニッポニアニッポン』『グランド・フィナーレ』『ミステリアスセッティング』ともつながっている。 (なので以前は、神町サーガという呼び方をし…

劉慈欣『三体』

話題の中国SF、ファーストコンタクトものなのだけど、三部作の第一作目だけあって、まさに「俺たちの戦いはこれからだ」ってところで終わる。 前情報で、文革の話もあればVRゲームも出てくると聞いていて、さらには短編「円」も組み込まれているというので、…

シルヴァン・ヌーヴェル『巨神計画』『巨神覚醒』『巨神降臨』

6000年前に地球に残されていった巨大ロボットが発見されるところから始まる、巨神シリーズ三部作 2017年に第一作である『巨神計画』の邦訳が刊行された時点で気になっていた作品だったのだが、三部作揃って一気に読んだ方が面白そうだったので、待っていた。…

柴田勝家『ヒト夜の永い夢』

南方熊楠を主人公に、粘菌をコンピュータとして用いた自動人形=天皇機関少女Mを巡る騒動を描く、昭和伝奇SF 和歌山県田辺で研究生活を送る南方は、ある日、学会の主流派から外れてしまった者たちで結成された昭和考幽学会に参加することになる。 彼らは…

スティーブン・ミルハウザー『十三の物語』

タイトル通り、13篇の作品を集めた短編集 「オープニング漫画」「消滅芸」「ありえない建築」「異端の歴史」の4つのテーマに分かれている。 「ありえない建築」とか「異端の歴史」とかに入っている作品は、わりとSFっぽい作品。サイエンス寄りのSFではなくて…

津原泰三『ヒッキーヒッキーシェイク』

色々と話題になった本作。 ひきこもりたちが集まってCGキャラクターとかUMAの映像とかを作ることになる話で、エンタメ的にぐいぐいと読ませてくれる作品 ただ、これまで自分が読んだ津原作品と比較すると、好みの度合いとしては少し下がるかなあという感じだ…

宮内悠介『偶然の聖地』

世界にはバグがある。その中でも特大のバグであるイシュクト山を巡る物語。 エッセイと小説の中間のような作品を、という依頼で書き始めた連載をまとめたものだということだが、どう見てもSF小説 といって、エッセイ的な要素がないわけではなくて、それは膨…

ケン・リュウ『生まれ変わり』

ケン・リュウの第3弾日本オリジナル短編集 第1弾はケン・リュウ『紙の動物園』 - logical cypher scape2 で、これが第3弾ということは、第2弾を自分は読んでない ケン・リュウについて、これはこっちの勝手な思い込みかもしれないけど、最初の短編集が出た…

津原泰水『11eleven』

11編の短編を収録した作品集 筆者の、1999年から2010年までに発表された短編を集めている。 ちょっとホラーっぽいというか、幽霊や怪奇現象がでてくるわけではないが、ちょっと恐ろしい、ちょっと不気味、ちょっと不思議なところを描いている作品が多いとい…

『20世紀ラテンアメリカ短篇選』野谷文昭 編訳

タイトル通り、ラテンアメリカ文学の短編小説集 元々、あまりラテンアメリカ文学を読んでいなかった*1ので、これはちょうどいい入門になるかなと思って手に取った。 編者により、4つのテーマに分けられた章わけとなっている。 一つ一つが割と短いので、気楽…

津原泰水『ブラバン』

一連の津原泰水騒動の中、新潮社が宣伝していたのをきっかけで知り、手に取った 自分が今まで読んだ津原作品は、主にSF・幻想系の短編と『バレエ・メカニック』のみで、完全にそういうジャンルの人だと思っていて、実は今回の騒動まで、他のジャンルでも書い…