2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

藤野可織『いやしい鳥』

デビュー作「いやしい鳥」を含む3篇を収録した作品集 鳥、恐竜、胡蝶蘭がそれぞれ登場し、少し奇妙な世界を展開する。 藤野作品は以前から雑誌やアンソロジーで少しずつ読んでいたが、最近ふと、もう少しちゃんと読もうかと思い立ち、藤野可織『おはなしして…

石毛直道『麺の文化史』

普段こういう本、つまり文化人類学の本や食文化の本を読んでいないし、本を読むほどの興味関心を抱いている分野ではないのだが、しかし、日常生活において、料理や食文化についてちょっとした疑問を抱くことは度々あって、その都度、wikipediaを読んだりして…

文学読もうかという気持ち

最近なんだか文学読もうという気持ちが強くなって、実際色々読み始めているところだけど、これまで何を読んできたかなというのと、これから何を読みたいかなというのを整理してみようかなという記事 それで、このブログを始めてから今までの読んだ小説を数え…

大正史メモ?

何故か大正史に関わる本を連続で読んだ。何故か、というか主にちくま新書が近いタイミングで何冊か出してきたから、というのが主な理由だけど。 数年前から、戦前昭和史に興味を持ち始めていたのでそれに連結する形で大正にまで興味関心が伸びた。まだ、明治…

五十殿利治『日本のアヴァンギャルド芸術――〈マヴォ〉とその時代』

大正新興美術運動を研究している著者*1の評論集。 大正振興美術運動については、ゲルハルト・リヒター展 - logical cypher scape2で近代美術館の常設展を見ていて知ったのだが、その後、大正期新興美術運動の概容と研究史 | 日本近代美術史サイトをざっと眺…

『戦後短篇小説再発見4 漂流する家族』

今年に入ってから急に日本文学を読むブームが自分の中にきているが、それで色々調べていたら見つけたのが、この『戦後短篇小説再発見』シリーズ。 講談社文芸文庫・編(井口時男、川村湊、清水良典、富岡幸一郎が編集委員)で、2001年から2004年にかけて全18…

安岡章太郎『質屋の女房』

安岡章太郎については、以前『群像2016年10月号(創刊70周年記念号)』その1 - logical cypher scape2を読んだ時に面白く感じたので、気になっていた(安岡だけでなく、この『群像』を読んで第三の新人に属する作家が全体的に気になりはじめた)。 去年の12…

リリー・ブルックス=ダルトン『世界の終わりの天文台』(佐田千織訳)

突如人類が滅亡し、最後の生き残りとなってしまった老天文学者と、木星から地球へと帰還するクルーたちが、それぞれに孤独を受け入れ愛に気付くまでの物語。 日本語訳は2018年に刊行されており、その際、冬木さんや牧さんの書評を読んで存在は知っていたのだ…

清塚邦彦「K・L・ウォルトンの描写の理論:R・ウォルハイムとの論争を手がかりに」

K・L・ウォルトンの描写の理論:R・ウォルハイムとの論争を手がかりに とりあえず、読んだよというメモ すごく勉強になる。 ウォルトンは,論文「ごっこ遊びと諸芸術」(1997年)1の中で,自らの描写理論の展開を,分析美学の進展と関連付けて解説している…

古井由吉『木犀の日 古井由吉自薦短編集』

1960年代の作品から始まり、主には1980年代(おおよそ古井の40代頃)に書かれた作品を収録した短編集 古井由吉については、最近古井由吉『杳子・妻隠』 - logical cypher scape2を読んだ。つまらなかったわけではないが、格別面白かったわけでもなく、古井作…

『文学+』03号

「凡庸の会」*1が発行している文芸批評と文学研究の雑誌『文学+』の第3号 以前、創刊号を少し読んだことがある。 『文学+01』 - logical cypher scape2 第3号の宣伝が回ってきたとき、大正文学史というのが見えて、最近立て続けに大正史を読んでいた(筒井…

山口輝臣・福家崇洋編『思想史講義【大正篇】』

ちくま新書の歴史講義シリーズから、新たに『思想史講義』シリーズが始まり、その第1回配本にあたる。シリーズ全体としては、明治1、明治2、大正、戦前昭和の4篇を予定しているとのこと。 最近、筒井清忠編『大正史講義』 - logical cypher scape2筒井清…

クレメント・グリーンバーグ「モダニズムの絵画」「ポスト・絵画的抽象」

『グリーンバーグ批評選集』の中から「モダニズムの絵画」「ポスト・絵画的抽象」を読んだ。 グリーンバーグについてはいつか読まないととはずっと思っていたのだが、なかなか手つかずのまま、「カラーフィールド色の海を泳ぐ」展 - logical cypher scape2を…