2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

甘耀明『鬼殺し』(白水紀子・訳)

台湾を舞台に、怪力でならす客家の少年が第二次大戦中から戦後にかけての動乱を生き抜く姿を描く長編小説。 「鬼殺し」というタイトルだが、「killing the Ghosts」と英訳されていて、中国での「鬼」は、日本語ではむしろ「幽霊」にあたる。「鬼」には基本的…

『日経サイエンス2023年11月号』『Newton2023年11月号』

日経サイエンス 日経サイエンス2023年11月号 [雑誌]日経サイエンスAmazon “食べられる”ドローンで救命 翼部分がビスケットとなっているドローン。遭難者救助を想定。 「セントラルドグマ」を体感 今年の8月に東京タワーで、セントラルドグマをテーマにしたサ…

大江健三郎『同時代ゲーム』

1979年、大江が44歳の時に書かれた書き下ろし長編。 谷間の村の神話=歴史を書き残すという使命を負った「僕」が双子の妹に宛てた手紙という形式で書かれている。 大江健三郎『M/Tと森のフシギの物語』 - logical cypher scape2に続けて読んだ。 『同時代ゲ…

大江健三郎『M/Tと森のフシギの物語』

1986年、大江が51歳の時に書かれた作品。祖母から聞いた谷間の村の神話・歴史が語られる。 本作は、『同時代ゲーム』(1979)をわかりやすく書き直した作品でもある。 『大江健三郎全小説(8)』に『同時代ゲーム』とともに収録されている。 『全小説』は基…

井口壽乃・田中正之・村上博哉『西洋美術の歴史〈8〉20世紀―越境する現代美術』

ABSTRACTION展の図録で、企画の際に参照した先行研究として挙がっていて、日本語でまとまって読める抽象絵画の歴史についてのほぼ最新の文献っぽかったので、読んでみることにした。 テーマ別に章分けされており、抽象絵画は第1章と第3章 第2章にダダやシュ…