2014-01-01から1年間の記事一覧

2014年まとめ

普段、1年を振り返って系の記事は書いてないのだけれど、今年はちょっと書いてみるかと思うことがあったので、書いてみた。 主にこのブログに書いたことについて。多少、このブログでは書かなかったことについても触れてるけど。 読書 実は今年は、年始に「…

阿部和重・伊坂幸太郎『キャプテンサンダーボルト』

阿部和重と伊坂幸太郎の合作小説 これが面白くならないわけがない というわけで、面白かった 何でこの2人が合作小説なのか、っていう経緯とか、どういうふうに進めていったかといったことは、以下のインタビューで読める http://hon.bunshun.jp/articles/-/2…

磯崎憲一郎『赤の他人の瓜二つ』

文庫化したので再読 11月の発売当初に既に買っていたのだが、今年一発目のブログの記事が磯崎憲一郎『往古来今』 - logical cypher scape2だったので、今年の〆の記事も磯崎憲一郎にしようと思って、とっておいたw でも多分、今年あともう一冊は読めると思…

月村了衛『機龍警察 火宅』

機龍警察シリーズの短編集 これまで発表された短編8本を収録したもの どの短編も、機龍警察らしい、重たい読後感をもたらすものが多い中、宮近理事官を主人公とした「勤行」が癒し 宮近は尊い 火宅 由起谷が昔の上司を見舞う話 由起谷が警察になったときの…

松尾匡『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼』

左派のための経済政策入門、とでも言うべきか 全くそうだよなあという感じであり、政策としてはそう考えればいいのか、という感じ 第1章 三十年続いた、経済政策の大誤解 第2章 ソ連がシステム崩壊が教えてくれること 第3章 一般的ルールか、さじ加減の判断…

大須賀健『ゼロからわかるブラックホール』

『インターステラ−』 - logical cypher scape2を見たので、ブラックホールの勉強 筆者がかなり何度も、正確さを犠牲にしてわかりやすさを優先したと書いているとおり、読みやすい本だった*1。 後半になってくると、筆者が研究している、ブラックホールのシミ…

スティーブン・ミズン『心の先史時代』

スティーヴン・ミズン『歌うネアンデルタール』 - logical cypher scapeの著者による、認知考古学の観点から人類の心の進化について論じた本。 本書のポイントとなる概念は「認知的流動性」であり、これは『歌うネアンデルタール』でも出てきたものだが、そ…

モーグルW杯開幕戦ルカ大会(遠藤尚2位)

開幕戦ルカは、デュアルモーグル 男子は、カナダのフィリップ・マーキが、女子は、カザフスタンのユリア・ガリシェワが優勝した 2位の遠藤は、決勝でマーキと18対17の超接戦を演じていた 今シーズンは、twitterの公式アカウントが、大会直後に結果をツ…

キム・スタンリー・ロビンスン『2312 太陽系動乱』

そのタイトル通り、2312年の太陽系を舞台にしたSF 水星、金星、温暖化した地球、火星、小惑星を改造したテラリウム、木星、土星、冥王星といった様々な星を巡り、描かれる風景がどれも作品 SFを読んでいるなあっていう気分に浸れたw メインプロットは、実は…

『日経サイエンス2015年1月号』(特集:太陽系の起源に迫る)

ホビット10年,なお続く論争 エウロパのプレートテクトニクス カイパーベルトから来た彗星 探査機が到達 化石を探すGPS 「瞑想する脳」とW特集だけど、そっちは読んでない ホビット10年,なお続く論争 ホモ・フローレシエンシスは新種じゃなくて、病気の個体…

第19回文学フリマ感想

『アニバタvol.10』(特集:洲崎西) 事前に全くノーチェックだったけれど、特集タイトルを見て即買いしてしまったw しかもこれは当日に読み終わって、当日に感想をpostしてるw 「茶番の転回とビジネスの展開」洲崎西史における転換点として、リスナーの投…

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 2nd LIVE PARTY M@GIC!!

シンデレラガールズの2ndライブ@代々木第一体育館 楽しかった 楽しいパーティだった もう感想はそれだけでも十分じゃないか、という感じもするんだけど 何より、21人も出てて5時間もやっていたので、ちょっと情報量多すぎて、もう結構何が何だか分からなく…

『インターステラ−』

クリストファー・ノーランの宇宙SF映画 今、自分のブログ見返してみて気付いたけど、なんだかんだいって、ノーランそこそこ見ている 『メメント』、『プレステージ』、『ダークナイト』、『インセプション』 これらの感想を見てると、見終わった後に結構興…

ジョン・カルヴィッキ『イメージ』(John V. KULVICKI "Images")後半(6〜9章)

イメージの哲学の教科書 ROUTLEDGEのNew Problems of Philosophyというシリーズの一冊 全部で9章構成で、大きく前半と後半に分けられる。 前半については、ジョン・カルヴィッキ『イメージ』(John V. KULVICKI "Images")前半(1〜5章) - logical cyphe…

『寄生獣』

試写会で見た。 まだ公開前なのであまり多くは書かない。 見る前からそれほど期待はしていなかったのだけど、実際見てみると、原作から変わりすぎていていただけなかった。 上映時間が100分、二部作になっているので、後編も100分だとして、あわせて200分。…

ジョン・カルヴィッキ『イメージ』(John V. KULVICKI "Images")前半(1〜5章)

イメージの哲学の教科書 ROUTLEDGEのNew Problems of Philosophyというシリーズの一冊 全部で9章構成で、大きく前半と後半に分けられる。 前半は、描写についての説を5つ紹介している。これらは20世紀半ば以降のもので、ゴンブリッチからの影響を受けてい…

『日経サイエンス 2014年12月号 大特集:人類進化今も続くドラマ』

K.ウォン「書き換えられた進化史」 第1部 我々はどこから来たのか B.ウッド「直系祖先は誰だ? 枝の多い系統樹」 P.B.デメノカル 「気候変動のインパクト」 I.タッターソル「進化を加速したハンマー」 第2部 我々はどこが違うか B.エドガー「一夫一妻になっ…

ノエル・キャロル「映画(movies)の力」(『分析美学論文アンソロジー』より)

映画が、他の芸術様式と比べて、より広くより強く人々を捉えるのはどのようにしてなのか、という論文 ラマルク+オルセン編『美学と芸術の哲学:分析的伝統:アンソロジー』 - logical cypher scape2に収録されている。初出は1985年。 映画についての、リア…

THE NEXT GENERATIONパトレイバー第5章

THE NEXT GENERATIONパトレイバー第3章 - logical cypher scapeに引き続き、劇場で見てきた。第4章は見にいかなかった。 今回はカーシャ回ということで、見ないわけにはいかなかった 1つの章につき基本的には2つのエピソードが入っているTNGパトレイバー 今…

磯崎憲一郎『世紀の発見』

自分の人生は全て仕組まれたものだったのか (磯崎の「崎」は「大」でなく「立」の方だが、文字化けするのでこっちで) 近々、『赤の他人の瓜二つ』が文庫化されるということで、Amazonを見ていたら、これ未読だったのに気付いたので読んだ。 世紀の発見 「…

レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語』

ニューメディアとは、CG合成の映画やコンピュータゲーム、web、メディアアートなど、コンピュータを使ったメディア(作品)の総称で、そうしたものについての美学理論入門*1 ニューメディアと(オールドメディアである)映画との連続性を検討している感じの…

最近読んだマンガ論の本まとめ

9月は、自分の中でマンガ論月間と銘打って、マンガ論の本をいくつか読んでいた 結果的に、10月までかかったけど なんで、マンガ論月間やろうかと思ったかというと、きっかけは高田敦史「分離された内容」と伊藤剛「マンガのおばけ」 - Togetter [トゥギャ…

佐々木果『まんが史の基礎問題――ホガース、テプフェールから手塚治虫へ』

そのタイトルどおり、まんが史の本。いわゆるコマ割りマンガの起源として、ホガースとテプフェールを取り上げ、その両者の差異を見ていく。 内在的な特徴だけでなく、印刷技術や「単行本書き下ろし」といった外在的な面についても注目している キャラクター…

チューリヒ美術館展――印象派からシュルレアリスムまで

オルセー美術館展 印象派の誕生――描くことの自由―― - logical cypher scape2に引き続き、はしごした。 どっちも新美術館 オルセーは、混雑っぷりもあって、決して悪くはないけど、ちょっと疲れの方が大きい、という感じになったけれども、チューリヒは、よか…

オルセー美術館展 印象派の誕生――描くことの自由――

まあ、案の定混んでた 混雑に気を取られて、あんまりちゃんと見れてない が、とりあえずメモってきたものを記録しておく マネから始まってマネに終わる構成 モチーフごとに並べられている 1章 マネ、新しい絵画 1860年代のマネ あと、当時の印象派の画家たち…

岩下朋世『少女マンガの表現機構――ひらかれたマンガ表現史と「手塚治虫」 』

これまであまり論じられてこなかった手塚治虫*1の少女マンガを題材に、何故論じられなかったという点でマンガ言説史を論じると共に、どのように論じるかという点で「キャラ」から「キャラクター」がどのように描かれるかということを論じる。 後者については…

THE IDOLM@STER 9th ANNIVERSARY WE ARE M@STERPIECE!!

9thツアー、名古屋2日目に引き続き、東京両日に参加してきた。ただし、1日目はライブビューイング(以下LV)、2日目が現地。 すごかった。ただただ、そういうしかないライブ。 この2日間のライブで見たこと、聞いたことを全て記憶して、記録しておきたい…

るろうに剣心伝説の最期編

『るろうに剣心 京都大火編』 - logical cypher scapeの後編 映画全体で見ると、京都大火編の方がよかった それはまあ、前編を受けてのところから始まらなきゃいけないので最初の方がちょっとあんまり動きがないのと、テーマっぽいことを色々言わなきゃいけ…

ハル・フォスター編『視覚論』

視覚文化をめぐるシンポジウムのための論文と討議を集めた本 マーティン・ジェイ「近代性における複数の「視の制度」」 「視の制度」という言葉は、クリスチャン・メッツ由来 近代における主要な3つの制度 デカルト的遠近法主義 イタリア・ルネサンスにおけ…

三輪健太朗『マンガと映画』

マンガと映画についての美学的メディア比較論であり、これまでの議論・言説を丁寧に再検討しながら、「映画的」であるとはどういうことなのかを論じ、それが「近代」を前提しにした視覚文化であることを示していく本。「映画的」っていうのが単に技法的な話…