『物語の外の虚構へ』リリース!

(追記2022年5月6日)


分析美学、とりわけ描写の哲学について研究されている村山さんに紹介していただきました。
個人出版である本を、このように書評で取り上げていただけてありがたい限りです。
また、選書の基準は人それぞれだと思いますが、1年に1回、1人3冊紹介するという企画で、そのうちの1冊に選んでいただけたこと、大変光栄です。
論集という性格上、とりとめもないところもある本書ですが、『フィルカル』読者から興味を持ってもらえるような形で、簡にして要を得るような紹介文を書いていただけました。


実を言えば(?)国立国会図書館とゲンロン同人誌ライブラリーにも入っていますが、この二つは自分自身で寄贈したもの
こちらの富山大学図書館の方は、どうして所蔵していただけたのか経緯を全く知らず、エゴサしてたらたまたま見つけました。
誰かがリクエストしてくれてそれが通ったのかな、と思うと、これもまた大変ありがたい話です。
富山大学、自分とは縁もゆかりもないので、そういうところにリクエストしてくれるような人がいたこと、また、図書館に入ったことで、そこで新たな読者をえられるかもしれないこと、とても嬉しいです
(縁もゆかりもないと書きましたが、自分が認識していないだけで、自分の知り合いが入れてくれていたとかでも、また嬉しいことです)


(追記ここまで)


シノハラユウキ初の評論集『物語の外の虚構へ』をリリースします!
文学フリマコミケなどのイベント出店は行いませんが、AmazonとBOOTHにて販売します。

画像:難波さん作成

この素晴らしい装丁は、難波優輝さんにしていただきました。
この宣伝用の画像も難波さん作です。

sakstyle.booth.pm

Amazonでは、kindle版とペーパーバック版をお買い上げいただけます。
AmazonKindle Direct Publishingサービスで、日本でも2021年10月からペーパーバック版を発行が可能になったのを利用しました。
BOOTHでは、pdf版のダウンロード販売をしています。


シノハラが、2009年~2020年にかけて同人誌等で発表した12篇書き下ろし3篇を収録した評論集となります。
おおよそ2010年代の10年間にかけて書いてきたものの総集編といった感じです。
その時々に応じて書いてきたものなので、個々の収録作はそれぞれ異なることを論じていますが、一冊の本にまとめるにあたり、まず4つのテーマごとに章分けしました。
さらに、各論文には、収録作がお互いにどのような関係にあるか分かるような解題を付けました。
また、書き下ろしが3篇あります。
そのうちの2篇は、2016年に発表した「フィクションは重なり合う」への補足、あるいは「フィクションは重なり合う」と2018年に発表した「渦巻きの上を走る」の間を埋めるようなものになっています。
また、もう一つの書き下ろしは、2017年発表のナナシス論や2020年発表のガルラジ論で少し触れていた2.5次元論について、発展的に論じたものになっています。


全体的には、ウォルトンのメイクビリーブ論をいかにポップカルチャー批評へと応用していくか、というような感じで、
パート1では描写の哲学に関わるもの、パート2はフィクション論に関わるもの、パート3はトランスメディアストーリーテリング2.5次元文化等に関わるもの、パート4は音楽に関わるものを集めています。

1 描写と非描写のあいだ

渦巻きの上を走る――『少女終末旅行』オープニング映像に見る非物語的映像表現
初出:https://sakstyle.hatenadiary.jp/entry/20180501/p1
天海春香は遊具となり揺動す――『百円M@ster』論
初出:https://sakstyle.hatenadiary.jp/entry/20130419/p1
虚構性とミュージックビデオ
初出:https://sakstyle.hatenadiary.jp/entry/20160429/p1
描写対象なき描写(書き下ろし)
「マンガのおばけ」はどこにいる
初出:https://sakstyle.hatenadiary.jp/entry/20160429/p1

それぞれTVアニメのOP映像、アイマスMAD動画、ミュージックビデオ、抽象絵画、マンガについて論じているものを集めたパートです。
なお、「虚構性とミュージックビデオ」と「「マンガのおばけ」はどこにいる」は、それぞれ『フィクションは重なり合う』の補論と第1章部分を独立して収録したものになります。
分析美学で、描写depictionとか画像pictureとか言われるものがありますが、ここでは、pictureとpictureではないものの境界事例みたいなものを集めています(全部が全部そういうわけではないですが)
例えば、絵と図形の違いとか、キャラクターの絵とそれをにエフェクトをかけてMAD動画にしたものとか。あるいは、抽象絵画のように、絵ではあるのだけど何か具体的な対象を描いているわけではないものだとか。そういう話です。
その点、最後の「マンガのおばけ」についてはちょっと違っていて、「マンガのおばけ」概念(伊藤剛)を描写の哲学の観点から整理してみる、というものになっています。

2 虚構は重なる

比喩が比喩でなくなる世界――『イノサンRouge』における「視覚的修辞」と「分離された虚構世界」
初出:https://sakstyle.hatenadiary.jp/entry/2020/04/27/000732
フィクションは重なり合う――分離された虚構世界とは何か
初出:https://sakstyle.hatenadiary.jp/entry/20160429/p1
描写から虚構へ(書き下ろし)

これらは、2016年に発表した「フィクションは重なり合う」の再録と、それに対する補足論文(「描写から虚構へ」)と、応用編(「比喩が比喩でなくなる世界」)です。
「比喩が比喩でなくなる世界」は、上述のブログ記事をかなり加筆修正しています。
「フィクションは重なり合う」については、TVアニメ(『SHIROBAKO』『四月は君の嘘』『プリティーリズム』シリーズ)について論じた第2章と第3章を収録しています。
この本全体のタイトルを『物語の外の虚構へ』と題していますが、このパートで論じている「分離された虚構世界」(シノハラのオリジナル概念です)というのは、”物語内で起きた出来事ではないのだけれど作品の中に描かれている虚構世界である”という意味で「物語の外の虚構」の一つです。

3 虚構は拡がる

そして世界は無限に拡大しつづける――『バイオメガ』論
初出:https://sakstyle.hatenadiary.jp/entry/20090508/1241773784
メディアを跨ぐヴィヴィッドな想像――『Tokyo 7th シスターズ』における「跳ぶよ」というセリフの事例から
初出:https://sakstyle.hatenadiary.jp/entry/20171011/p1
質感から考える――メディアなきフィクションとしてのガルラジ
初出:https://sakstyle.hatenadiary.jp/entry/2020/05/02/173302
2.5次元的実践はいかなるメイクビリーブか(書き下ろし)

このパートでは、トランスフィクション、トランスメディアストーリーテリングから聖地巡礼などの2.5次元文化に関わるものを収録しています。
いわゆるメディアミックス、そして2.5次元において、一つの作品の枠を超えて経験されるフィクション(まさに「物語の外の虚構」)について論じています。
上でも書いたとおり、ナナシス論、ガルラジ論で少しずつ展開していたメイクビリーブ論を応用した2.5次元論を書き下ろしました。
バイオメガ』論は、本書収録の中でもっとも古い奴で、テーマ的にこのパートの他の論考から浮いているところはありますが、多少は関係しているところもなくはないかなと思って入れています(理由は本書の中に書いています)。

4 音楽から世界へ

絶望を強さに変えて突き進む彼女たちの物語に刮目せよ――8beatStory♪ 2_wEi 1st LIVE Driven to Despair(2018.11.20渋谷duo MUSIC EXCHANGE
初出:https://sakstyle.hatenablog.com/entry/2019/08/04/225351
声ならざる声のために
初出:https://yaoki.hatenablog.com/entry/20110611/1308511541
轟音が誘う異世界への扉――Go-qualia試論
初出:https://sakstyle.hatenadiary.jp/entry/20120507/p1

最後は音楽に関するパート、ライブレポ、ボカロ批評、とあるライブ経験をもとにした論考の3本が入っています。
前2つには分析美学は出てこないですし、ここまで少し毛色が違うパートになっていますが、音楽からフィクションについて考えるという面があり、本書の他の部分とも関わりがあります。

宣伝配信その1


www.youtube.com
装丁の難波さんとやりました。
最初の3~40分で本の概要を説明したあと、「2.5次元的実践はいかなるメイクビリーブか」について話して、Vtuberへの応用や分析美学やることの楽しさみたいなことも話しています。

宣伝配信その2


trickenさんとの対談スペース。めちゃくちゃ長いですが、以下主な内容です。
0:30から2:00くらいの90分聞いてもらうと、この本のいくつかの論点とそれが他の作品へどう応用できるのか、みたいなことが少し分かるかもしれません。
3:30以降くらいからは、本の内容というよりは、僕がこの本に対してどう思っているのか的な話が聞けるかもしれません。


時間表示はおおよその目安です。

00:05 開始・シノハラから趣旨説明
00:15 trickenさんから本書全体の感想・前作『フィクションは重なり合う』などと比較しつつ
00:30 ウォルトのメイクビリーブ論(プロンプター、オブジェクト、プロップの区別)についての解説
00:45「メディアを跨ぐヴィヴィッドな想像」で出てきた多層化された想像について(想像のオブジェクトからヴィヴィッドさを感じる仕組み
01:15 何故non-diegeticなものであるゲームの音声からdiegeticな小説へヴィヴィッドさを移してきてもよいのか→鑑賞者自身についての想像(de se想像ないしウォルトンがいうところのgame world)で起きていることだから。
01:30 tricken「完全に理解した」
01:38 trickenさんによる「フィクションは重なり合う」の解説と応用(他作品への適用)
シュバンクマイエル『ルナシー』、『グレイテストショーマン』、『この世界の片隅に』について
02:00 シノハラの批評スタイル

  • (1)フィクションが世界の多元性を示すこと
  • (2)演出がもたらす物語への効果

第一部終了
第二部
2:10 『イノサンrouge』論について
2:25 『バイオメガ』論について
2:40 行動者的想像とTRPGプレイヤーの経験、そして二次創作について
3:10 trickenさんの美学的転回?
3:20 シノハラユウキは如何にして批評から美学へ至ったか
3:45 本書は何故この値段になったのか
4:00 インディペンデントな書き手としてやっていくということ
4:20 kindle版、ペーパーバック版、pdf版の違い(?)/trickenさんからの告知(ゆるレポ・図書新聞アナログゲーム博物館)

togetter.com