2009-01-01から1年間の記事一覧

キャラ=亜人間について

『筑波批評2009冬』に載せた亜人間論について、id:kugyoくんからコメントを貰っています。 コメント欄でちょっとやりとりがあったのですが、それに対する簡単な応答を。 別に、このまま向こうのブログのコメント欄で続けても構わないのですが、まあひと…

ジェラルド・M・エーデルマン『脳は空より広いか』

脳神経科学者エーデルマンによる、「意識」についての研究の一般向け啓蒙書。 基本的には、全くその通りだよなあと思いつつ読んだけれども、うむむまだよくわからんなーという部分もあった。 とりあえず、まずは本の内容をざっと紹介。 意識について エーデ…

イアン・ハッキング『偶然を飼いならす』

ハッキング二冊目。 統計にまつわる科学史。 面白い章も色々あったのだけど、一方で統計がよく分かっていないとよく分からない部分も多かった。統計について解説してくれるかと思ったら、統計や確率の概念についての説明はほとんどなくて、統計や確率といっ…

冲方丁『マルドゥック・ヴェロシティ』

うああ、面白い! 冲方丁のプロット力! 次から次へと事件が起こり、人も色々と出てくるのだけれど、それが連鎖的に連なっていく様が何とも楽しい。途中でややこしくなっていくのだけど、しかしちゃんと分かるようにできている。登場人物一覧とかを見ると人…

第9回文学フリマお疲れ様でした

日曜日は、第9回文学フリマでした。 参加された皆様、事務局や運営スタッフの皆様、お疲れ様でした。 筑波批評社ブースを訪れて下さった方、お買い上げいただいた方、ありがとうございました。 「感想を書き終わるまでが文学フリマです」 というわけで、ま…

『ぜんぶ、フィデルのせい』

やっと見れた。『グッバイ、レーニン』はTSUTAYAになかった。 フランス映画。フランス語を久しぶりに聞く。90分見てたら、簡単な単語ならば聞き取れた。 ドゴールが死ぬところから始まって、アジェンデが死ぬところで終わる。 主人公のアンナが、賢くてプ…

『SFマガジン2010年1月号』

創刊50周年記念特大号パート1海外SF編 息吹 テッド・チャン いかにもテッド・チャンだなあって感じの掌編。冒頭を飾るに相応しい良作。 機械仕掛けの人類の学者が、自分の身体を分解してその命の秘密を解き明かすというもの。 彼らの脳は、金箔が織り成す…

石黒浩『ロボットとは何か』

一般向けの噛み砕いた表現で、石黒さんが今までやってきた研究の概略についてまとめてある本。 石黒さんのロボット自体は有名だけど、実際にどういうこと考えてこういう研究やってるのかとかはあんまり知らなかったので、面白かった。 面白いのはやはりジェ…

第九回文学フリマ・『筑波批評2009冬』告知!

12月6日に大田区産業プラザPiOにて行われる文学フリマに、筑波批評社で参加します。配置番号は、R-1です。 新刊『筑波批評2009冬』がでます。 想像の涯ての眩暈 シノハラユウキ 世界の中心で亜人 シノハラユウキ ハイエク『市場・知識・自由』を読む …

アレステア・レナルズ『火星の長城』

レナルズ面白い! 短編集なので、『啓示空間』と違ってサクサクッと読めて、SF的エンターテイメントを堪能した感じ。「むむ、これは」と唸るような感じではなくて、気軽に楽しめる感じで、しかし抑えるところはきっちり抑えてという感じで。 映像作品で見て…

加藤幹郎編著『アニメーションの映画学』

映画研究の手法でもって、アニメーションについて論じる論文集。 以下のエントリをきっかけに読んだので、参照に。というか、概要は以下のエントリに任せて、各論文の感想を。 『アニメーションの映画学』読みました - 覚え書き、あるいは思考メモ 第1章「…

長谷敏司『あなたのための物語』

タイトルはテッド・チャンっぽくて、設定はイーガンっぽくて、病や死といった身体性をテーマにするあたりが伊藤計劃っぽいとなれば、そりゃもう読むしかないw とはいえ、読んでみての感想は、(ある意味当たり前だけど)そのどれでもない感じである。という…

Voc@loidM@ster祭り3

とりあえず、いくつか貼っとく 機材欲しいPが動画削除してたとか知らんかった。 しかし、このしちやんPとのコラボを知ることが出来たのはよかった。ってか、まだアイマスよく知らない頃にこの二人の動画見てたw 光収容さんの曲、どれもかっこいいです これ…

アレステア・レナルズ『啓示空間』

とりあえず長い、長かったw 文庫で1000頁越えだから、京極並だよね、きっと 正直、もう少し圧縮できるんじゃないかとは思うんだけど、それはそれとして、十分面白かった 以前これを買うか『シンギュラリティ・スカイ』を買うか迷った末に後者を買って、…

『serial experiments lain』

OPがかっこよかったのと、短かった(13話)だったので、気付いたらyoutubeで全部見ていた。*1 ネットものだと思ってみてたら実はネットものじゃなかったよアニメっていうことで、まるで『電脳コイル』のようでうもあるw というか、ネットで物語を描こうと…

イーガン『ディアスポラ』

再読。 といってもかなりとばし読み。 読んだの4年も前だし、その頃よりは大分SF読んだ量も増えたし、多分前回よりもさらにSFおもしれーってかイーガンすげーって感じで読めた気がするw っていうか、オーランドが感動的すぎる! イノシロウもなかなか泣け…

コンラッド『闇の奧』

読んだけど、なんかぼんやりとした感じの小説だった。 それは訳者解説にも指摘があって、それゆえに今では批評理論の教科書でもっともよく扱われる作品の一つになっているらしいけど、そうした解説を読まないとなんかよく分からないかなあと思った。 いや、…

『12モンキーズ』

テリー・ギリアム見るのは二作目。なんかとてもディックな世界だなあと思った ギリアムはディックの映画化はしていないのだろうか。 未来の世界から送り込まれたブルース・ウィリスが、人類滅亡を防ぐために新型ウイルスによるテロをやろうとしている集団1…

ゼーガペイン

現実世界か仮想世界か、という二者択一を迫るように見せかけて、その対立をうまく避ける方向に進めたのかなという感じはする。まあ結局は現実世界の肉体を選ぶわけだけど。 OPとEDがよい曲だったし、話の進め方が丁寧だったし、ネタ回とかまとめ回とかなしだ…

青木淳悟『このあいだ東京でね』

読み方が分かってきたというか慣れてきたというか、青木淳悟が読めるようになってきた気がする。 縮尺というかカメラのポジションというか、そういうものがいつのまにかぐいぐいと動かされていく感覚がすごい。磯崎憲一郎にもちょっとあるかもしれないこの感…

樺山三英『ハムレット・シンドローム』

まさかの、樺山三英の新作はガガガ文庫。 『ジャン・ジャックの自意識の場合』*1よりはだいぶ難易度(?)が下がり、読みやすくなっているが、めくるめく樺山ワールドが繰り広げられている。 切り立つ崖に建つ怪しげな城の中で、ハムレットを演じ続ける男。…

社会学の名著30

ちまちまと、隙間の時間に読んでいくのにちょうどよかった。 社会学ってこんなことやってるのねーという感じ 社会学入門とか読むよりも、色々知ることが出来るかも なんか名前は知ってたけどーっていうのが取り上げられていて、まあよかった社会学の名著30 (…

中島一夫『収容所文学論』

これが批評って奴なんだなーと思った。 いわゆる批評と呼ばれる、柄谷行人とかすが秀美とか読んだことないからなー。 かなり全般的に、マルクスの価値形態論に依拠していて、それを使って色々と読んでいくというのは、なんか面白いなあと思う。何でマルクス…

『RATIO』01〜04

図書館行ったら、RATIOあったし! 3巻と4巻を借りる。 図書館には4巻までしかないが、今のところ6巻まで出ている。鬼界先生の論考は5巻、安藤馨は6巻のようだ。 今まで本屋では、戸田山・伊勢田連載以外わりとスルーしていたのだけど、よくよく眺めて…

奧泉光『ノヴァーリスの引用』

まだ、『グランド・ミステリー』や『鳥類学者のファンタジア』のようにぶっとんではいないけれど、ミステリかと思ったら次第にホラーだったり幻想小説だったりジャンルが混淆していく感じは既にある。 記憶の不確かさ、夢と過去。 そして死を巡る考察。 その…

青木淳悟『四十日と四十夜のメルヘン』

少し前に読み終わっていたのだけど、感想書くの忘れていた。 でも、感想書くの難しいな。 同時収録されてる「クレーターのほとりで」が面白かった。歴史を描き出してる感じ? 表題作も面白かった。 何が面白いのかよく分からないのだけど、不思議と読まされ…

大塚英志『アトムの命題』

大塚読むの久しぶり 大塚なのでやっぱり政治的に読むように言ってくるのだけど、漫画史研究としてちゃんと読める。ちゃんとって何だw いや、でも大塚的な皮肉とかはほとんどなかったかもな。 っていうか、宮本大人や伊藤剛の研究との連続性もすごくあるし。…

三中信宏『分類思考の世界』

生物学哲学の大問題である「種」を巡って、その博覧強記をもって様々なエピソードから描き出した一冊。 というわけで、これは紛うことなき科学哲学の本であり、実際著者も何度も形而上学という言葉を使っているのだけど、哲学という言葉を聞いてこういったも…

岡和田晃『アゲインスト・ジェノサイド』

正確には小説じゃなくて、TRPG「ガンドックゼロ」のリプレイ。 リプレイというのは初めて読んだので、形式として小説と違うことに一瞬戸惑ったけれど、読み進めていく上で問題があるということはなかった。 むしろ、TRPGを全くやったことのない自分にとって…

新城カズマ 連作シリーズ《あたらしいもの》「雨ふりマージ」(『SFマガジン10月号』)

自然人、法人に加えて、架空人というものができた近未来。 主人公の少年は、自然人から架空人へと変わる。 アメリカのAAAAという組織が、架空人の法律的権利をめぐって法廷闘争をしまくっている世界。 少年は架空人になると、ブログとツイッターとタンブラー…