3年ぶりに文学フリマに参加します!
今回は、筑波批評ではなくシノハラユウキの個人誌で
*1
『フィクションは重なり合う――分析美学からアニメ評論へ――』
シノハラユウキ
A5・188ページ、700円
文学フリマ開催概要
開催日 2016年5月1日(日)
開催時間 11:00〜17:00予定
会場 東京流通センター 第一展示場*2
アクセス 東京モノレール「流通センター駅」徒歩2分
一般来場 当日の一般来場は無料です。出店者カタログ無料配布(先着・無くなり次第終了)
ブースは「チ-24」
文学フリマwebカタログ(シノハラユウキ)
配置図
『フィクションは重なり合う――分析美学からアニメ評論へ――』
本書は、長編評論「フィクションは重なり合う――分離された虚構世界とは何か」と付録「二次元アイドル比較」の二部構成となっています。
フィクションは重なり合う――分離された虚構世界とは何か
本論のキーワードは「分離された虚構世界」!
これは、フィクション作品の内容であるにもかかわらず、物語世界で起きたとは考えがたい出来事や描写について、自分がそう名付けたものです。
さて、批評というのは、何らかの理論ないし枠組を用いて作品を論ずるものであり、あるいは、作品を論ずることを通して、理論ないし枠組を見出していくものではないかと思います。
世の中には色々な哲学理論などを用いた批評がありますが、分析美学を用いた批評、特にサブカルチャー批評はほとんど見たことがありません。
というわけで、本論は分析美学を用いて作品論を書けないだろうかという試みでもあります。
で、「分離された虚構世界」ですが、一方では、ウォルトンのごっこ遊び説に代表される分析美学的フィクション論をベースにしていますが、もう一方で、「分離」というホプキンスやブラウンによる描写の哲学における概念からインスパイアを受けています。
でもって、さらにいうと、僕はこの「分離」という概念を、2014年の高田さんの発表で知りまして、その時にちょっと思いついたことが議論のきっかけになっていたりします。伊藤剛の「マンガのおばけ」と結びつかないかという思いつきです。
高田敦史「分離された内容」と伊藤剛「マンガのおばけ」 - Togetter*3
というわけで、伊藤剛といえば「キャラ」と「キャラクター」で有名ですが、その一方であまり言及されないが、「マンガのおばけ」と「ウサギのおばけ」というのも大事な概念なんじゃないの、ということを、この「分離」という考え方から論じています。
「マンガのおばけ」は、「分離された虚構世界」が実際に作品上でどのように機能しているのかを考える上で、ヒントになりました。
今回、具体的に取り上げた作品は、
『SHIROBAKO』
『四月は君の嘘』
『プリティーリズム・オーロラドリーム』
『KING OF PRISM by prettyrhythm(キンプリ)』
『耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳』
『夢幻諸島から』
となります。
これだけ色々な作品において、分離された虚構世界というのは見られます。
一方、同じ分離された虚構世界といっても、作品によってどのような現れ方、使われ方をしているかは様々です。これを物語世界との関係から分類しています。
なんだか、こんな図を使って説明していたりします。
目次
第0章 本論の概要〜宮森はドーナツをキメているのか〜
第1章 分離・非正確説・マンガのおばけ
図像におけるフィクションの非正確説/耳男の変装を成り立たせる「誤解」/高田説の例外事例としての「マンガのおばけ」など
第2章 分離された虚構世界と物語世界
虚構的真理と想像/虚構的真理、2つの虚構世界/物語世界と整合性など
第3章 分離された虚構世界の働き
暗喩的な世界〜『四月は君の嘘』/物語世界への侵入〜『SHIROBAKO』など
第4章.小説における分離された虚構世界
レイチの語りの奇妙な特徴/コミス殺人事件/語り手の複数化・物語世界の複数化など
補論1.虚構性とミュージックビデオ
補論2.「キャラ」について
補論3.他の論者による諸概念との関係
補論4.分析美学・描写の哲学・フィクションの哲学について
付録 二次元アイドル比較
やれアイマスだ、やれアイカツだ、2016年現在、二次元アイドルものは無数に存在しています。
これらの内容をちょっと整理して、一覧できれば便利なんじゃないかなーと思って作り始めたら、あれよあれよとふくれあがってしまい、一応「付録」なんですけど、本当に「付録」かこれはっていう分量になりましたw
全20作品について、企画概要とか主要スタッフとか声優の平均年齢とかについて書いてます。
二次元アイドル比較なのに、肝心のアイドルについてはあんまり書いてませんw 個々のアイドル(キャラクター)について書き始めたら、ほんと本が何冊あっても足りないので。
勢い余って、こういう謎のチャートも作ってます
既刊『筑波批評2013春』
前回作った本がもう3年前だ……
分析美学の古典であるネルソン・グッドマン『芸術の諸言語』についての解説と、それに関する座談会の模様を収録しています。
このグッドマンの本、なんかそろそろ邦訳が出るとか出ないとか出ないとか、そういう噂もありますので、予習にどうぞw
『分析美学入門』の訳者である森功次さんからも、以下のようなコメントをいただいてます。
『筑波批評』おもしろかった!分析美学に興味ある人は買っとくべき。安いし。つか松永くんの座談会スキル高ぇ。
https://twitter.com/conchucame/status/335216187870945280
これ以外に、やっぱりアイマスやラブライブ!の話も載ってるので、新刊とあわせてどうぞ
詳細は超文フリにて新刊『筑波批評2013春』! - logical cypher scape
*1:使用画像クレジット:著作者:Brett Jordan、ライセンス:Creative CommonsAttribution http://free-images.gatag.net/2012/06/13/000000.html 著作者: bg_flo ライセンス:Creative CommonsAttribution http://free-images.gatag.net/2013/03/16/160000.html
*2:これまで開催してきた「第二展示場」とは同じ敷地内の別棟となります。
*3:このまとめで「マンガのおばけ」は屈折ではないかと述べてますが、屈折ではないです