『物語の外の虚構へ』リリース!

(追記2023年6月) sakstyle.hatenadiary.jp Kindle版について(Amazon) 一番手に取りやすい形式ではあるかと思います。 ただ、エゴサをしていて、レイアウトの崩れなどがあるというツイートを見かけています。 これ、発行者がちゃんとメンテナンスしろやって…

木田元『マッハとニーチェ―世紀転換期思想史』

タイトルは「マッハとニーチェ」だが、基本的にはマッハの思想とその影響について 『大航海』での連載をもとにした本。 「世紀転換期」という言葉知らなかったけど、使い勝手よさそう マッハについては、原子論をめぐってボルツマンと対立し、アインシュタイ…

リタ・タルマン『ヴァイマル共和国』(長谷川公昭・訳)

タイトルにある通りヴァイマル共和国についての本だが、林健太郎『ワイマル共和国』 - logical cypher scape2が政治史で1冊であったのに対して、同様の内容がこちらでは全6章のうち前半の3章くらいに圧縮されている。 後半では、政治思想、宗教、教育、学…

津久井五月「われらアルカディアにありき」「ラスト・サパー・アンド・ファースト・サマー」「川田さんの遺書」

SNSで相互フォローの方が、津久井作品についてポストしていて存在を知った短篇 kaguyaはともかく、fanboxやnoteはさすがに分からん 3作ともそれぞれ結構違う雰囲気の話 われらアルカディアにありき 「牛の王」と設定を共有しているらしい作品。なお、「牛の…

橋口稔『ブルームズベリー・グループ―ヴァネッサ、ヴァージニア姉妹とエリートたち』

ブルームズベリー・グループについては名前だけはなんとなく知っていたけれど、しかし、どういう人たちなのかよく知らなかったので。 20代の前半くらいに仲良くしていた友人グループで、30代過ぎてからみんなそれぞれの分野で有名になっていった、という感じ…

中屋敷均『遺伝子とは何か』

遺伝学の歴史から遺伝子概念の変遷を追っていく本 以前から積んでいた本で読むタイミングがなかなかなかったのだが、応用哲学会2024年大会 - logical cypher scape2で「無知を産む装置としてのパラダイム——遺伝暗号解読競争からの教訓——(石田知子)」を読ん…

河部壮一郎『デジタル時代の恐竜学』

CTスキャンやシミュレーションなどのデジタル技術を用いた古生物学研究について、筆者が実際に携わった研究をもとに紹介する本。 泉賢太郎『古生物学者と40億年』 - logical cypher scape2が、化石発掘だけが古生物学研究ではないということを論じる本であっ…

応用哲学会2024年大会

今年の応用哲学会は、Slack上での完全オンライン開催となったため、参加してみた。 参加といっても、気になったタイトルの発表について、共有された原稿やパワポを眺めただけだけど。 銭清弘 ルールとしてのジャンル 「この作品は◯◯(SFでもロックでも何らか…

『ユリイカ2023年11月臨時増刊号 総特集=J・R・R・トールキン』

想像のobjectと想像のvividness - logical cypher scape2で「岡田スライドについては、また機を改めて触れるかもしれない。」と述べたが、そのスライドの中で岡田は、フィクションを鑑賞するにあたっては「「想像の産物に現実らしい一貫性を与える表現を達成…

ラリイ・ニーヴン『無常の月 ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン』(小隅黎・伊藤典夫訳)

1960年代~70年代にかけて書かれたニーヴンの短篇傑作選 『20世紀SF〈3〉1960年代・砂の檻』 - logical cypher scape2を読んで気になった作家の1人 また、ブルース・スターリング『スキズマトリックス』(小川隆・訳) - logical cypher scape2の解説で、60…

斉藤孝『スペイン戦争――ファシズムと人民戦線』

スペイン内戦の通史 最近、大戦間期の歴史の本をいくつか読んでいる。当初は「ベル・エポックから1920年代、パリ、ウィーン、ベルリンないしヴァイマル共和国、ニューヨーク、ロンドンあたりの、美術・芸術、大衆文化、社会主義、哲学・思想についての概観を…

リチャード・オヴァリー『夕闇の時代──大戦間期のイギリスの逆説』(加藤洋介・訳)

大戦間期のイギリスを覆っていた「悲観主義」についての本 第一次世界大戦の衝撃を受けて、次なる戦争への不安が共有されていた時代であり、西洋文明が終わりを迎えるのではないかという悲観主義に覆われていた、と。 歴史学、経済学、生物学(優生学)、心…

泉賢太郎『古生物学者と40億年』

古生物学の方法論について紹介した新書 古生物学関連の一般向け書籍は最近かなり増えてきている気がするが、方法論のみで1冊というのは珍しいかもしれない。 当初、内容紹介や目次から、あんまり内容が分からなくて、わりと恐る恐る手に取ったところはあるの…

想像のobjectと想像のvividness

導入 最近になって、2月にこんなワークショップがあったことを知った。 https://fiction-4.jimdosite.com/ ワークショップ「フィクションの中へ没入の美学」 2024年2月10日 関西学院大学 高橋幸平(同志社女子大学):フィクションの哲学における没入 松永伸…

小池隆太のマンガ・アニメに関わる物語論関係の論考を読んでのよしなしごと

『マンガ研究13講』『マンガ探求13講』や『アニメ研究入門』『アニメ研究入門(応用編)』という本があり、未読ではあるのだが、いつか読みたいと思っていて目次だけは確認している。 その際、気になった論考がいくつかあるのだが、いずれの本の中にも小池隆…

『Newton2024年6月号』

今月のNewtonは気になる記事が多かった。久しぶりにがっつり読んだ気がする(とはいえ全部は読んでいない)。Newton 2024年6月号作者:科学雑誌Newton株式会社ニュートンプレスAmazon 地球大解剖 監修 廣瀬 敬 執筆 尾崎太一 監修の廣瀬敬については『地球・…

向井千秋監修・東京理科大学スペース・コロニー研究センター編著『スペース・コロニー 宇宙で暮らす方法』

スペース・コロニーを実現するために、現在、研究開発中の技術について紹介している本。 編著者にもあがっているが、東京理科大にスペース・コロニー研究センターなる組織があるようで、そのセンターでの研究成果についての本でもある。 元宇宙飛行士の向井…

ガメラ2 レギオン襲来

Youtubeで2週間限定無料配信なるものをやっていたので見てみた。 昔、小学生だった頃に劇場で見たことがあるが、それ以来の鑑賞のような気がする。パンフレットを持っていて、度々見返していたから、大雑把な内容は認識していたが、映画そのものの記憶はほ…

ブルース・スターリング『スキズマトリックス』(小川隆・訳)

ブルース・スターリング『蝉の女王』(小川隆・訳) - logical cypher scape2に引き続き、〈機械主義者/工作者〉シリーズ 同シリーズ、唯一の長編 『蝉の女王』はそこそこ面白かったが、スターリングの長編というとギブスンとの共作だがウィリアム・ギブスン…

ジョン・ウィックシリーズ

ジョン・ウイックシリーズ全然見てこなかったけど、気になってきた。trickenさん含め2名が今年のよかった映画にあげていたため— シノハラユウキ (@sakstyle.bsky.social) 2023-12-31T15:00:02.824Zbsky.app なるほど マトリックス世代(?)なので、キアヌのア…

ブルース・スターリング『蝉の女王』(小川隆・訳)

スターリングの未来史〈機械主義者/工作者〉シリーズの短編集。 (なお、本来の「蝉」の字体は、上の点3つが口2つになっている奴なのだけど、環境依存文字らしいのでここでは「蝉」と記す) 大体23世紀頃の太陽系が舞台になっている。 人類は宇宙に適用す…

ジェフリー・フォード『最後の三角形 ジェフリー・フォード短篇傑作選』(谷垣暁美・訳)

アメリカの幻想小説家ジェフリー・フォードの、日本オリジナル短編集 このフォードという作家のことを全然知らなかったのだが、2000年代に長編三部作が国書刊行会から訳出されている。 本作は、同じく日本オリジナル短編集『言葉人形』に続く日本では2作目…

『星、はるか遠く 宇宙探査SF傑作選』(中村融編)

編者が中村融編『宇宙生命SF傑作選 黒い破壊者』 - logical cypher scape2を編んだ際にページ数の関係で見送った「表面張力」を核にする形で組まれたアンソロジー 「故郷への長い道」「タズー惑星の地下鉄」「地獄の口」「異星の十字架」「表面張力」が面白…

戦間期アメリカ文化(過去のブログ記事からなど)

常松洋『大衆消費社会の登場』 - logical cypher scape2は、戦間期アメリカの文化を考えるうえで、そのベースとなる社会構造などについて知れるよい本だったが、文化そのものについては手薄だったので、なんかいい本ないかなーと探しているのだが、それはそ…

常松洋『大衆消費社会の登場』

19世紀後半から1920年代頃までのアメリカにおける、大衆消費社会の成立について 1920年代頃に、現代まで続く形の社会や文化が成立したといわれるが、それがよく分かる(およそ100年たっていて、また転換期にあるのかな、という気もするが)。 企業活動の再編…

田之倉稔『ファシズムと文化』

イタリア戦間期の文化(文学・美術・音楽・映画・建築)をファシズムとの関係から見ていく本 イタリア戦間期の文化、断片的に何人か名前を聞いたことある程度だったので、概観するために読んだ。ネオレアリズモがファシスト政権時代に萌芽があったとか勉強に…

海野弘監修『華麗なる「バレエ・リュス」と舞台芸術の世界』

1909年から1929年にかけてパリで席巻したロシアのバレエ団「バレエ・リュス」について、舞台芸術のカラー図版を大量に交えて紹介する本。 バレエ・リュスについては、ピカソが舞台美術を描いていた、ということくらいは知っていたのが、逆に言うとそれ以上の…

海野弘『万国博覧会の二十世紀』

海野弘『アール・デコの時代』 - logical cypher scape2に引き続き、海野弘本。 20世紀に開催された万博のうち10の万博を紹介している。 それらは、第二次大戦後のブリュッセルと大阪を除くと、パリかアメリカで開催されたものとなる。 元々筆者は、アール・…

海野弘『アール・デコの時代』

1920年代のアール・デコと総称される芸術・文化・生活スタイルについて 最近、20世紀前半の文化史等についていくつか本を読んでいるが、このテーマの本を探していると、海野弘の本にあたることが多い。 ただし、アカデミックな研究者というわけではないので…

キム・チョヨプ『この世界からは出ていくけれど』

韓国のSF作家キム・チョヨプによる短編集 キム作品の邦訳としては『わたしたちが光の速さで進めないなら』『地球の果ての温室で』に続く3冊目となる。1、2冊目も存在は知っていたのだが、書評等読んでもあまりピンと来ていなかった。3冊目は書評等を読ん…