分離された虚構的世界と視覚的修辞

『フィクションは重なり合う』のAmazonページに、実はレビューが書かれているのを最近知って、ちょっとそれに対する応答をしつつ、ちょっと気になっていることをメモしておきたい。 2.2.分離された虚構世界の > 例えば、TVアニメ『四月は君の嘘』の22話(最…

平松和久「キャラクターはどこにいるのか――メディア間比較を通じて」(『サブカル・ポップマガジンまぐまPB11』)

以前、松下哲也「ビアズリーの挿絵はマンガの形式に影響をおよぼしたのか?」(『ユリイカ2019年3月臨時増刊号』) - logical cypher scape2で読んだ平松論文で、平松の4空間論というのが気になったので、こちらも読んでみた。 タイトルにある通り、キャラク…

日経サイエンス  2020年5月号

日経サイエンス2020年5月号(特集:新型コロナウイルス/宇宙の化学進化)発売日: 2020/03/25メディア: 雑誌 インドネシアで見つかった最古の洞窟壁画 K. ウォン(SCIENTIFIC AMERICAN編集部) www.nikkei-science.com 獣と人の組み合わせである獣人を描いた絵と…

Shaun Nichols ”Imagining and Believing: The Promise of a Single Code"

philpapers.orgJournal of Aesthetics and Art Criticism 掲載で、中身もフィクションの美学に関わる内容だが、筆者の専門は心の哲学のようだ。 スティーブン・スティッチと共同研究しており、この論文自体は単著だが、スティッチとの共同研究に基づいている…

Deena Skolnick and Paul Bloom ”The Intuitive Cosmology of Fictional Worlds"

"The Architecture of the Imagination: New Essays on Pretence, Possibility, and Fiction"の第5章 https://pdfs.semanticscholar.org/8a0a/bb1d0e73c11017ae923a844aa0a43c67ac62.pdf 筆者のポール・ブルームはイェール大の心理学者 複数のフィクション…

Craig Derksen & Darren Hudson Hick "On Canon"

https://contempaesthetics.org/newvolume/pages/article.php?articleID=832 James Harold "The Value of Fictional Worlds (or Why 'The Lord of the Rings' is Worth Reading)" - logical cypher scape2でカノンという言葉が出てきたが、ここでいうカノン…

James Harold "The Value of Fictional Worlds (or Why 'The Lord of the Rings' is Worth Reading)"

ジェームズ・ハロルド「虚構世界の価値(なぜ『指輪物語』を読むのか)」 https://contempaesthetics.org/newvolume/pages/article.php?articleID=584 この論文は、以前高田さんの記事で読んで存在を知った。 at-akada.hatenablog.com で、存在を知ってから…

Rune Klevjer, "Virtuality and Depiction in Video Game Representation"

これはウォルトン使ってる分析美学ぽいやつ。絵画と彫刻のちがい、ただのインタラクティブ映像とモデルによる表象(バーチャル/シミュレーション)のちがい、VRとARのちがいなどに関心ある人向け / Rune Klevjer, "Virtuality and Depiction in Video Game …

陳楸帆『荒潮』

「80后(80年代生まれ)」の中国SF作家陳楸帆(スタンリー・チェン)の第一長編。 中国のとある島における、島民と出稼ぎ移民との対立を背景にしたサイバーパンク風作品。 陳の作品は、ケン・リュウ編『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』 - logical c…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史2』

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』 - logical cypher scape2に引き続き第2巻 全8巻シリーズで、第2巻は「(古代2)世界哲学の成立と展開」 目次を見ればわかる通り、宗教の比率が高いが、そんな中執筆陣も(人により差はあるが)…

Elisa Caldarola "Pictorial Representation and Abstract Pictures"

分析美学から考える抽象絵画、というような感じの博論 分析美学が抽象絵画をどのように扱っているのか、というのは前から気になっていて、以前Michael Newall ”Abstraction” - logical cypher scape2を読んだ これは博論で全部読むには長すぎるので、3章だけ…

『日経サイエンス2020年4月号』

日経サイエンス2020年4月号(特集:時間結晶/チバニアン)発売日: 2020/02/25メディア: 雑誌 特集:時間結晶 www.nikkei-science.com ひとりでに時を刻む物質 F. ウィルチェック www.nikkei-science.com時間結晶とはなんぞや、ということを、時間結晶というアイ…

Rafe McGregor "The Problem of Cinematic Imagination"

カリーとスクルートンの、映画鑑賞における想像の考え方を比較している ロペスとウォルトンも出てくるが 特別面白い話をしているわけではないのだが、まあ整理としては読みやすい というか、英語が読みやすい英語だった気がする https://contempaesthetics.o…

R.Hopkins ”Depiction"

映画の哲学の教科書の中にある、描写についての章(第6章) The Routledge Companion to Philosophy and Film (Routledge Philosophy Companions) Moving and still depictions What is depiction? Seeing film as pictures What do we see in film? The uni…

エティエンヌ・スーリオ「映画的世界とその特徴」

美学者スーリオによる、映画が作り出す「映画的世界」について 『映画理論集成』に収録されているものを読んだ。スーリオの著作『映画的世界』(1953)の第一章にあたるもの、ということらしい。 エクリヲvol.11 - logical cypher scape2を読んだ際に、「映画…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』

ちくま新書でスタートした世界哲学史シリーズ 全8巻刊行予定のうちの第1巻で「(古代1)知恵から愛知へ」 自分も「哲学」といえば、プラトンに起源をもつ知的伝統という理解をしているので、哲学=西洋哲学という感覚が強く、どうしても西洋以外の哲学のこ…

石田尚子「フィクションの鑑賞行為における認知の問題」

teapot.lib.ocha.ac.jp いま気づいたんですが、石田尚子さんの博論全文がお茶の水女子大学のリポジトリに上がってますね。「フィクションの鑑賞行為における認知の問題」 https://t.co/iEXKkxporm— MORI Norihide / 森 功次 (@conchucame) 2020年1月27日 森…

テッド・チャン『息吹』

控えめに言って最高 というか、テッド・チャン作品はテッド・チャンにしか出せない世界観になっている。 例えば、確かにSFではあるのだが、必ずしも現代の科学の延長にはない世界を舞台にしていることなど息吹作者:テッド・チャン出版社/メーカー: 早川書房…

日経サイエンス2020年3月号

日経サイエンス2020年3月号(特集:『三体』の科学/脳のコネクトーム)作者:出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2020/01/24メディア: 雑誌 SF小説『三体』に見る天文学最前線 系外惑星の先にある異星文明 中島林彦/協力:須藤 靖 www.nikkei-science.…

エクリヲvol.11

ミュージックビデオ論とかは、気になっているジャンルだったのだが、全然分からない部分でもあったので、勉強になった 扱われているMVをほとんど知らないので、それをいつかちゃんと見なきゃいけないなあと思いつつ*1 ecrito.fever.jp 【特集 I 聴覚と視覚の…

倉田剛『日常世界を哲学する』

社会存在論の入門書的な本 ただし、結構前提知識が必要な部分があり、しかも紙幅の都合で何気なく省略されたりしている部分もあったりする 「社会存在論? サールとかがやってるのは知ってるけど、日本語で読めるの少なくてあんまりよく知らないんだよね」く…

藤崎慎吾『我々は生命を創れるのか』

サブタイトルは「合成生物学が生みだしつつあるもの」とあり確かに合成生物学の話ではあるが、生命の起源研究の中に合成生物学を位置づけている感じ 藤崎が、この分野の研究者に取材した連載記事が元になっている。 面白そうだなと思ったから読み始めたわけ…

渡辺零『Ordinary346(4)』

渡辺零『Ordinay346』 - logical cypher scape2の続き 志希が表紙なのに、ほぼ砂塚あきらと松永涼の話じゃないかーw 作者自身が、書いても書いても志希の話が始まらん的なことをツイートしていたので、志希編はまだ本格的には始まらんのだなというのは分か…

アーカイブ騎士団『会計SF小説集』

会計SF、一体なんだそれはという感じだけれど、会計SFなんだなあ 過去にアーカイブ騎士団『流通小説集』 - logical cypher scape2で流通小説なる新ジャンルを開拓したアーカイブ騎士団の面目躍如といったところか会計SF小説集 アーカイブ騎士団作者:アーカイ…

日経サイエンス2020年2月号

日経サイエンス2020年2月号(特集:量子超/エマージングテクノロジー)作者:出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2019/12/25メディア: 雑誌 フロントランナー挑む 第98回 小型着陸機を月面の狙った場所へ確実に送る:坂井真一郎 www.nikkei-science.com…

『ユリイカ2019年12月号 特集=Vaporwave』

松下哲也「ビアズリーの挿絵はマンガの形式に影響をおよぼしたのか?」(『ユリイカ2019年3月臨時増刊号』) - logical cypher scape2の勢いで、こっちの号のユリイカもちらっと眺めた やはりこちらも主に松下さんの記事についてユリイカ 2019年12月号 特集=…

群像2020年1月号

群像 2020年 01 月号 [雑誌]作者:出版社/メーカー: 講談社発売日: 2019/12/07メディア: 雑誌 〈新連載小説〉ゴッホの犬と耳とひまわり 長野まゆみ 〈新年短篇特集〉 見るな 瀬戸内寂聴 焚書類聚 皆川博子 タンパク 高樹のぶ子 カズイスチカ 高橋源一郎 星を…

松下哲也「ビアズリーの挿絵はマンガの形式に影響をおよぼしたのか?」(『ユリイカ2019年3月臨時増刊号』)

「様式」は異なる「形式」間で相互に参照可能だが「形式」と「形式」の関連性を論じるときはそれと全然ちがう手続きがいるので気をつけましょうという主旨の「ビアズリーの挿絵はマンガの形式に影響をおよぼしたのか?」という論考を前に書いたので、興味の…

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分析美学・アニメ批評・二次元アイドル『フィクションは重なり合う』販売中フィクション重なり合う 分析美学からアニメ評論へ作者: シノハラユウキ出版社/メーカー: 密林社発売日: 2016/10/23メディア: 単行本この商品を含むブログを見るフィクションは重な…

2019年振り返り

今年ももうそんな時期っすか 今年、特にこういう記事を書くつもりはなく、何の準備もしていなかったのだが、去年も28日だか29日だかに振り返り記事を書いていたようなので、まあちょっと書いてみるかと。 ブログについて ブログ運営的な点でいうと、はてなダ…