『Kaguya Planet vol.2 パレスチナ』

ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って/太陽の男たち』(黒田寿郎・奴田原睦明・訳) - logical cypher scape2に続いて、今度はパレスチナSF
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この記事きっかけで

ズィヤード・ハッダーシュ「ここの外では」(佐藤祐朔訳)

胎児を主人公に据えた掌編
舞台は、2023年のガザで、空爆から逃げ惑う母の胎内で、限られた情報だけで外で何が起きているのかを知ろうとする

ソニア・スライマーン「ムニーラと月」(岸谷薄荷訳、佐藤まな監訳)

こちら一転してファンタジー
ムニーラという名の女性のジン(精霊)が、同性愛者であることの悩みを、一人月に向かって話していたら、それを女性の幽霊に聞かれる。

タスニーム・アブータビーフ「継承の息吹」(岸谷薄荷訳、佐藤まな監訳)

2048年、地球の二酸化炭素濃度上昇で、生まれたときからマスクを着用していないと生きていくことができなくなった未来のガザが舞台
主人公は、母親の病院代を稼ぐために、とある義肢エンジニアのもとで働き始める。
違法マスクの取引を目撃した主人公は、彼を当局に売るのだが、実は、という話

井上彼方「SFとイスラエルパレスチナ

『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選』に見られた問題点を指摘している。
つまり、「はじめに」やイスラエルSFについての論考に、シオニズムが入り込んでいる、と。イスラエルユダヤを同一化していたり、パレスチナにあった文化などをなかったものにしている、と。
あと、2027年のワールドコンイスラエル開催予定だって知らなかった
また、「継承の息吹」は、『Palestine+100: Stories from a century after the Nakba』という、ナクバから100年後の2048年をコンセプトとしたアンソロジー収録作品だというが、このアンソロジーの「はじめに」から、パレスチナ人にとってのSFについて書かれた部分が紹介されている。

堀川夢「英語で読むパレスチナのSF」

このコラムの筆者である堀川夢は、「ムニーラと月」「継承の息吹」を翻訳している岸谷薄荷の本名
編集後記によると、2023年からKaguyaで働き始めた編集者で、本特集の収録作をセレクションした人物

  • Arablit

「ここの外では」が発表されたマガジン。パレスチナやSFに特化しているわけではないが、アラビア語で発表された作品を英語に翻訳している媒体とのこと。

  • 『Palestine+100: Stories from a century after the Nakba』

上述にもある通り、「継承の息吹」が掲載されたアンソロジーで、ナクバから100年後がコンセプト。エジプト、イラククルディスタンについても同様のコンセプトであるらしい

  • FIYAH

「ムニーラと月」が発表されたマガジン。
アフリカ系作家のSFマガジンで、同作はパレスチナ連帯号に掲載されたとのこと

齋藤隼飛「プレイヤーへの期待、その裏にあるキュレーターの責任」

タイトルにあるプレイヤーとキュレーターというのが、本コラムでは具体的には、ケイト・ブランシェットなどの映画俳優と、カンヌ映画祭などのイベントキュレーターのこと

鯨ヶ岬勇士「スーパーヒーローはどこにいるのか。それはあなたかもしれない。」

パレスチナ問題に心を痛めているのなら、簡単なことでもいいから声をあげよう、というコラム

牧野大寧「城南中学校生徒会役員選挙『カレーVSラーメン』」

カレー派とラーメン派に分かれたとある中学校の生徒会長選挙の顛末

SF作家対談:天沢時生×水町綜「不良とバイクとSFと」

不良の登場するSFを書いている作家、ということでの対談企画
どうしてSFを書くようになったのかという創作遍歴など
読んでいたら、水町綜というのが、一号さんの別名義だと知ってびっくりした。機龍警察二次創作などを時々読んでいたことがあったけど

⚫︎イベントレポート IMAGINARC 想像力の音楽

ピアノの演奏会なのだけど、プログラムに短編小説が掲載されていて、音楽と小説を両方楽しむという趣向のイベントがあったらしい。