2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

木田元『マッハとニーチェ―世紀転換期思想史』

タイトルは「マッハとニーチェ」だが、基本的にはマッハの思想とその影響について 『大航海』での連載をもとにした本。 「世紀転換期」という言葉知らなかったけど、使い勝手よさそう マッハについては、原子論をめぐってボルツマンと対立し、アインシュタイ…

リタ・タルマン『ヴァイマル共和国』(長谷川公昭・訳)

タイトルにある通りヴァイマル共和国についての本だが、林健太郎『ワイマル共和国』 - logical cypher scape2が政治史で1冊であったのに対して、同様の内容がこちらでは全6章のうち前半の3章くらいに圧縮されている。 後半では、政治思想、宗教、教育、学…

津久井五月「われらアルカディアにありき」「ラスト・サパー・アンド・ファースト・サマー」「川田さんの遺書」

SNSで相互フォローの方が、津久井作品についてポストしていて存在を知った短篇 kaguyaはともかく、fanboxやnoteはさすがに分からん 3作ともそれぞれ結構違う雰囲気の話 われらアルカディアにありき 「牛の王」と設定を共有しているらしい作品。なお、「牛の…

橋口稔『ブルームズベリー・グループ―ヴァネッサ、ヴァージニア姉妹とエリートたち』

ブルームズベリー・グループについては名前だけはなんとなく知っていたけれど、しかし、どういう人たちなのかよく知らなかったので。 20代の前半くらいに仲良くしていた友人グループで、30代過ぎてからみんなそれぞれの分野で有名になっていった、という感じ…

中屋敷均『遺伝子とは何か』

遺伝学の歴史から遺伝子概念の変遷を追っていく本 以前から積んでいた本で読むタイミングがなかなかなかったのだが、応用哲学会2024年大会 - logical cypher scape2で「無知を産む装置としてのパラダイム——遺伝暗号解読競争からの教訓——(石田知子)」を読ん…

河部壮一郎『デジタル時代の恐竜学』

CTスキャンやシミュレーションなどのデジタル技術を用いた古生物学研究について、筆者が実際に携わった研究をもとに紹介する本。 泉賢太郎『古生物学者と40億年』 - logical cypher scape2が、化石発掘だけが古生物学研究ではないということを論じる本であっ…

応用哲学会2024年大会

今年の応用哲学会は、Slack上での完全オンライン開催となったため、参加してみた。 参加といっても、気になったタイトルの発表について、共有された原稿やパワポを眺めただけだけど。 銭清弘 ルールとしてのジャンル 「この作品は◯◯(SFでもロックでも何らか…

『ユリイカ2023年11月臨時増刊号 総特集=J・R・R・トールキン』

想像のobjectと想像のvividness - logical cypher scape2で「岡田スライドについては、また機を改めて触れるかもしれない。」と述べたが、そのスライドの中で岡田は、フィクションを鑑賞するにあたっては「「想像の産物に現実らしい一貫性を与える表現を達成…

ラリイ・ニーヴン『無常の月 ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン』(小隅黎・伊藤典夫訳)

1960年代~70年代にかけて書かれたニーヴンの短篇傑作選 『20世紀SF〈3〉1960年代・砂の檻』 - logical cypher scape2を読んで気になった作家の1人 また、ブルース・スターリング『スキズマトリックス』(小川隆・訳) - logical cypher scape2の解説で、60…