2010-01-01から1年間の記事一覧

ディラン・エヴァンズ『感情』

感情は、理性的な判断を妨げるものと思われがちだが、実はそうではない。感情は「合理的」判断をするのに必須のものである、というのを基本スタンスに、感情にまつわる色々なトピックを紹介している本。 面白かったところだけピックアップ 3章 幸福への近道…

山本弘『MM9』

以前、これのテレビドラマ版がニコ生でやっていたことがあって(ドラマ「MM9」全13話一挙生放送~DVD発売記念NN9(なまなまナイン)~ - 2010/10/22 20:00開始 - ニコニコ生放送)、それを見たのを機に買った。 以前から人に勧められていたし。 怪獣が、地震…

長沼毅・藤崎慎吾『辺境生物探訪記』

NASAが砒素でDNAな感じのニュースがあったときに、Twitter上でどなたかが薦めていた本。 生物学者の長沼毅とSF作家・サイエンスライター藤崎慎吾の対談。 対談といっても、その場所がユニークで各章ごとに色んな「極限環境」を訪れている(予算の都合で全て…

『ゼロ年代日本SFベスト集成<F> 逃げゆく物語の話』大森望編

『ゼロ年代日本SFベスト集成<S> ぼくの、マシン』大森望編 - logical cypher scapeに引き続き こちらは、死にまつわる話が多かったように思える。 個人的な話だけど、最近時々ふとした拍子に死の恐怖に襲われたりして辛い。念のため、別に病気だったり…

カンディンスキーと青騎士展

三菱一号美術館にて。 初めて行ったのだが、丸の内の近代的なビルの中に煉瓦造りのモダンな造りの建物で、中庭にカフェとかがあって、「おしゃれ」な空間だった。 内装も当時を再現していて、暖炉の上に絵を展示していたりする。 初めてといえば、今回初めて…

ウィトゲンシュタイン『青色本』

文フリよりもさらに2週間くらい前に読み終わっていたのだが、なかなか書く時間がなかった。 帯に「もっとも読みやすいウィトゲンシュタイン」とあり、実際そうかもなあと思う。 といっても自分は、ウィトゲンシュタインの『論考』と『探求』の一部を読んだに…

お疲れ様です

文学フリマ、皆様お疲れ様でしたー 筑波批評はおかげさまで、完売いたしました。 本当にありがとうございます。 こちらの予想を超える売れ行きだったので、買いに来ていただいたのにもかかわらず、お渡しすることのできないことも多々ありまして、申し訳なく…

第11回文学フリマ告知!

筑波批評社で、新刊『筑波批評社2010冬(充電中)』を出します。 小展示ホール、ア−09になります。 目次 緊急座談会 これからの「フィクション」の話をしよう(高橋志行、佐藤翔、伊藤海彦、シノハラユウキ) 科学と文学のあいだを行き来すること――書評『…

ゼロ年代SF100(大森望編)

こういうのがあると、ついついチェックしたくなるねw 「ゼロ年代SF100」(大森望選) - 大森望 大森選の常ながら、これはSFなのか、というのも入っている。あと海外は、発表はゼロ年代じゃないんじゃないってのも混ざってるようだ。 さて、自分は一…

上田早夕里『華竜の宮』

「魚舟・獣舟」*1と同じ世界を舞台にした長編。 短編の方では、世界設定とかはぐっと押さえてあるけれど、こちらはプロローグから全開w この世界の舞台は、海面が隆起して多くの陸地が水没してしまった未来だけれど、プロローグはその水没よりも前の時代(…

上田早夕里『魚舟・獣舟』

『ぼくらの、マシン』で「魚舟・獣舟」が面白かったので、思わずこちらも読んだ。 「魚舟・獣舟」を含めて4本のタイトルが、もともと「異形コレクション」というアンソロジーが初出。なので、どれもSFではあるけれど、ホラータッチなところがある。 まあ…

『ゼロ年代日本SFベスト集成<S> ぼくの、マシン』大森望編

SF冬の時代は終わった、と宣言する傑作アンソロジー。 僕は完全にゼロ年代も後半に入ってからSFを読み始めたクチであって、まだまだSFファンと名乗るのもおこがましい限りではあるが、今SFが面白いと主張していきたい。 毎年上がり続けていると言わ…

『認知物語論キーワード』西田谷洋他

認知言語学の知見をベースにした物語論の更新。 文学研究者はいまだにソシュールとか言いかねないので、そこらへん更新していこうというような意図もあるらしい。 冒頭の論考では、文学研究と科学研究(ここでは特に言語学)の違いが指摘され、その違いを認…

Voc@loid M@ster祭り4

ボカロとアイマスが好きな俺得のイベント、ぼかます祭り 今回はなんといっても、人力の進歩がめざましすぎてやばかった というわけで、人力系を中心にいくつか紹介 今回のメインといってもいい、大合作動画 16分もあるのにセカチャク完走したらしく、それく…

冲方丁『ばいばい、アース』

冲方丁のデビュー後第一作、なのだがそれがあまりにもでかくて高い本だったので、当時は一部を除いて見向きもされなかった本、らしい。現在は、角川文庫から4分冊で出ているが、最初はハードカバー上下本二段組み、あわせて6090円だったらしい。スニーカー…

押井守『アサルト・ガールズ』

冒頭・英語にしただけでいつもの押井節なナレーション。ただ、冒頭でここまで説明してくれるのはかなり親切で、その意味でいつもの押井じゃない。 押井版モンハンみたいなの始まる。 おー、『Avalon』と違ってアクション多いー?! という期待も即座に砕かれ…

『ギャラクティカ』

シーズン4まで見終わった。スピンオフを除けば全部見たことになる。 4シーズンに渡るテレビドラマシリーズなので、あらすじをまとめるのは大変なので割愛。 アメリカのスペオペもので、『宇宙空母ギャラクティカ』*1のリメイクなのだけど、ポスト911的な…

三中信宏『進化思考の世界』

三中さんの○○思考の世界シリーズ第三弾。 第一弾→三中信宏『系統樹思考の世界』 - logical cypher scape 第二弾→三中信宏『分類思考の世界』 - logical cypher scape 今回も、進化論の話であるけれど、いわゆる普通の進化論の話ではなく、系統樹を巡ってその…

カント『判断力批判』(上)

上巻だけ。目次を見て下巻に惹かれなかったので、というか最初はとりあえず崇高論だけ読むつもりだったので、上巻しか買わなかった。 そういえば、ブログに書き損ねたけれど、以前『純粋理性批判』も中巻だけ、読んだのだったw これは、読書会に途中から途…

テリー・ギリアム『ローズ・イン・タイドランド』

ギリアムのアリス もっと、『パンズ・ラビリンス』みたいなのを想像していたのだけど、そうではなかった。 ってかすごい。 10歳の少女ジェライザ=ローズは、父親が売れないミュージシャンで両親が揃ってヤク中。 ってか、父親はヘロイン注射を娘にやらせ…

黒沢清『回路』

前も見たことがあるんだけれど、多分寝ながら見ていたせいで全然覚えていなかったので再試聴 ま、そんな映画は他にもあるけれどw 再試聴した理由は、『俺俺』を読みながら思い浮かんだ作品の一つだったからでもある。結果的には、あんまり似てなかったけど…

星野智幸『俺俺』

表紙の石田徹也がなかなかいいよね ちなみに僕は、石田徹也をカラスヤサトシで知りました 何だか読んでいる間に、色々な似ている作品を思い浮かべながら読んでた。 まあ主に阿部和重の『IP』とか ちょっと気になるナラティブの仕掛けとかもあったんだけど…

哲学的な萌えをみんなで作ろうぜみたいな企画があるそうです

哲学的な何か、あと科学とかの飲茶さんが、http://tetugakunovel.sakura.ne.jp/index.htmlというのを始めたそうで、その宣伝です。 なんでお前が飲茶さんの宣伝してんの? って話ですが、急に飲茶さんからmixiメッセージが来たので。 いや、僕もびっくりしま…

『東京ゴッドファーザーズ』

今敏監督追悼ということで、まだ見ていなかった本作を見た*1。 とはいうものの、「今監督が亡くなったのでまだ見ていない作品を見ようと思い立つ」→「本作を借りる」→「実際に見る」の間がそれぞれわりとあいてしまい、「返却期限考えるともう見ないと!」み…

エリオット・ソーバー『進化論の射程』

三中さんの本で紹介されていた本で、ようやく読めた*1。 日本語サブタイトルは「生物学の哲学入門」、原著タイトルはそのものずばり“Philosophy of Biology”である。 では、生物学の哲学とは何か。まあ、何かと問われてはっきりとした答えが出せるものでもな…

『プレステージ』

『インソムニア』と『プレステージ』も近いうちにビデオで見ようと思う。 『インセプション』 - logical cypher scape と言ったとおり、『プレステージ』を見た やっぱ、ノーラン面白いなあ 『インセプション』は何だかんだいってハッピーエンド的な終わり方…

SFマガジン10月号

SFマガジン創刊50周年の次は、ハヤカワ文庫SF創刊40周年だって 「夜来る」が載ってるので買ってみた マルドゥック・スクランブル楽しみだなあ アイザック・アシモフ「夜来る」 うおっ、面白っ テッド・チャン的な面白さ、って言い方は時系列に圧倒的にお…

『借り暮らしのアリエッティ』

パンフレットの背表紙がネタバレ 神木くんってこんな喋り方だったっけ? 表面張力すげぇ! 樹木希林マジ樹木希林! EDが日本語だ 小人は本当にいるんだ!! というような感想でした*1。 理由はよく分からないけど、あんまりジブリっぽくないように感じた 冒…

マイケル・シェイボン『ユダヤ警官同盟』

帯を見ると、「このミステリーがすごい!3位!」「ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞3冠!」とあり、ミステリなのかSFなのかという感じがするが、まあたぶんハードボイルド*1 訳者あとがきには、「改変歴史SF+ハードボイルド・ミステリ+純文学という、…

佐藤亜紀『ミノタウロス』

赤軍と白軍のあいだで内戦が起こり、混沌とした情勢下にあるウクライナを舞台に、獣のように生きた青年の物語。 主人公の青年はもとは地主の息子であり、頭は良いのだが、学校のくだらなさに早々に見切りを付けて地元に戻ってくる。そんな中戦争が始まり、チ…