黒沢清『回路』

前も見たことがあるんだけれど、多分寝ながら見ていたせいで全然覚えていなかったので再試聴
ま、そんな映画は他にもあるけれどw 再試聴した理由は、『俺俺』を読みながら思い浮かんだ作品の一つだったからでもある。結果的には、あんまり似てなかったけど。
飛び降りシーンをワンカットで撮ったのって『回路』だったのね*1


ホラー的な演出でいくんだけどホラーじゃない。
『LOFT』とかはそもそも、怖くすらないんだけど、一応『回路』はレンタルビデオ屋でホラー棚に置いてるだけあって、映像的には怖いようにできている。
でも実際怖くないのは、物語自体はホラーとは違う形で進行しているからだと思う。
いや、表面的にはホラー的な進行なんだけども


麻生久美子有坂来瞳組と加藤晴彦小雪組が交互にでてくる。
麻生・有坂は、会社の同僚が自殺し、また別の同僚が幽霊見てしまって精神が病んでしまう中で事態を明らかにしようとするが、結局、有坂も幽霊見ちゃって、有坂も死んじゃう。
『回路』の場合、死ぬと影になってしまうのだが、最終的にその影も粉々になっちゃう。
それにしても、麻生は自殺した同僚の死体は見ちゃうし、見ず知らずの人の飛び降り自殺見ちゃうし、有坂の死も見ちゃうし、踏んだり蹴ったり。その割には、結構さっぱりしている気がした。
ってか、麻生って結構かわいいね。
加藤・小雪は、PCに疎い加藤がネットに繋いだ瞬間、幽霊画像とかでまくってなんだこりゃってなって人に相談したら、突然小雪が声かけてきて、2人でそのサイトの謎を解き明かそうみたいな流れに。00年頃の、まだCRTディスプレイのPCとか古いIEの画面とか出てきて、ちょっとテンション上がるw
こっちの加藤・小雪組は、テーマっぽいことを説明台詞で色々喋ってくれるパートw
あの世がいっぱいになったから幽霊が溢れだしてきたーとか、生きてても孤独なのに死んでも永遠の孤独なんてイヤーとか。
加藤は、死なんてお断りだ! って奴で、霊も拒絶する。拒絶するんだけど、実際に手に触れちゃったーっていうシーンがいい。小雪と一緒に逃げようとするのだけど、小雪は戻ってしまう。
小雪を助けに行く途中で麻生と合流。
「なんか見えてきた、希望が」ってセリフはここらへんで出てきた。でも、あんまりそういうシーンでもないような。麻生と2人で車に乗っているシーン。バスとか車とか乗るシーンがちょいちょいある映画だった。
小雪は死んじゃうけど、最後はよかったーみたいな笑顔で死んでく。
で、加藤も幽霊に会っちゃって、麻生と2人で街中を疾走。最後には、飛行機が落ちていくシーンがあってカッコイイw 妙に画面が暗かったり影がかかっているようになっているのは、押井もやっていたような気がするけど、予算的な問題なんだろうか。でもカッコイイ。
最後の最後に、役所登場。安心の役所クオリティ。
加藤も影になっちゃうけど、麻生は「幸せ」らしい。

回路 [DVD]

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*1:合成してワンカットのように見せているんだけど、一応本当に飛んでいる