日本現代文学
去年に引き続き、実家に帰ったら置いてあったので読んだ(『文藝春秋2023年9月号』(市川沙央「ハンチバック」ほか) - logical cypher scape2) 今回、読んだという記録のみ文藝春秋2024年9月号[雑誌]作者:藤原正彦,塩野七生,保阪正康,佐藤優,清武英利,内館…
1965年(昭和40年)から1985年(昭和60年)にかけての戦後昭和史を描いた小説だが、そこは磯崎作品なので、一筋縄ではいかない。 年末年始にかけて読んでいた。磯崎作品はよく正月に読んでいるよんだーと思ったけど、磯崎憲一郎『往古来今』 - logical cyphe…
2013年に刊行された阿部和重初の短編集 「初」というのに驚くが、今まで出してきた作品集は中編を含むということで、純然たる短編集としては初らしい。 ところで自分は、2014年に阿部和重・伊坂幸太郎『キャプテンサンダーボルト』 - logical cypher scape2…
芥川賞選評 ハンチバック 宮﨑駿監督との真剣勝負 本田雄 赤ちゃんはAIより天才だ! 今井むつみ 実家に帰った際に当該号が置いてあったので読んだ。 むろん「ハンチバック」目当てで読んだのだが(実家にあったのも同じ理由)、それ以外についてもちらっと…
この作品を読もうと思ったのはタイトルが恐竜だったから、では決してなくて、以下の矢野さんのツイートによる。 滝口悠生さんの「恐竜」(『文藝』2023・秋)、めちゃ良いですね。ここ最近の滝口作品のなかでもとても好き。保育園するからだだと思いました、…
久しぶりに図書館で文芸誌の棚を見ていたら(というか『文藝』の別の号を探していたのだけど)、表紙にある「フォークナー」「イーガン」「犬王」の文字が目に入ってきたので、思わず手に取ってしまった。文藝 2022年夏季号河出書房新社Amazon ◎特集2 フォー…
伊坂幸太郎が、自分の好きな小説でドリームチームを組んだという短編アンソロジー 自分は先に伊坂幸太郎編『小説の惑星 オーシャンラズベリー篇』 - logical cypher scape2を読んだが、どちらから先に読めばよいとかいうことはないので、このちょっと不思議…
伊坂幸太郎が、自分の好きな小説でドリームチームを組んだという短編アンソロジー 自分は伊坂幸太郎をほとんど読んだことがない(『死神の精度』と阿部和重との共著である『キャプテンサンダーボルト』くらい)が、収録されている作家を見て気になったので読…
身近な人の死を引き寄せてしまう体質の名探偵トランジと、彼女の友人で何故かトランジと一緒にいても死なないピエタの友情ないしシスターフッドを描いた物語。 元々、短編(藤野可織『おはなしして子ちゃん』 - logical cypher scape2収録)として書かれた作品…
以前、文学読もうかという気持ち - logical cypher scape2という記事を書いたが、 2ヶ月ほど経ち、日本戦後文学について、自分の中で一段落ついてきたので、これに該当する奴をリンクしておく。 なお、上記の記事を書いたよりも前のものも含む。 日本文学(…
西崎憲の編集によるムック本シリーズ「kaze no tanbun」 「特別ではない一日」「移動図書館の子供たち」「夕暮れの草の冠」の全3巻なのだが、収録されている作家のメンツを見比べて、3巻中2巻目という中途半端さながら「移動図書館の子供たち」を手に取って…
藤野可織の最新短編集。長さ的には、掌編・ショートショート的なものも結構入っている。 初出媒体は文芸誌を中心としつつ、結構色々な媒体が混ざっている。 初出で最も古いのは2009年の「れいぞうこ」だが、それを除くと、2014年~2019年の作品+書き下ろし1…
デビュー作「いやしい鳥」を含む3篇を収録した作品集 鳥、恐竜、胡蝶蘭がそれぞれ登場し、少し奇妙な世界を展開する。 藤野作品は以前から雑誌やアンソロジーで少しずつ読んでいたが、最近ふと、もう少しちゃんと読もうかと思い立ち、藤野可織『おはなしして…
長編「鳥獣戯画」、短編「我が人生最悪の時」、乗代雄介による解説、年譜を収録した文庫 (なお、磯崎のサキの字は、本当は立サキ) 磯崎作品は何故かよく分からないが好きでよく読んでいるが、長編を読むのは7年ぶりだった。まあそんなことは気にせずに読ん…
高山羽根子の芥川賞受賞後第一作で、映画・映像をテーマにした長編小説 ということで、以前から気になっていたが、大森望編『ベストSF2021』 - logical cypher scape2 の中で、大森望が、プリースト『隣接界』*1に喩えていたのが最終的なきっかけとなり手に…
建築家である青木淳による「建築文学」アンソロジー ここでいう「建築文学」というのは、編者が建築的だと考える文学のことであり、必ずしも建築物が出てくる文学という意味ではない。ただし、候補となる作品があまりにも多くなったので、「日本文学」と「建…
SFじゃない小説(文学とか)も読もうと思って手に取ったのが、しかし藤野可織という……結局、SFに近い何かを読んでしまう奴 芥川賞作家だし主に四大文芸誌で活動している作家なので、実際、SFではなく文学の作家ではあるのだが、年刊SF傑作選に何度か入ってい…
石黒達昌の電子書籍版短編集 『日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女』(伴名練編) - logical cypher scape2を読んだ勢いで手に取った。 どういう経緯で成立した企画なのかはよく分からないのだが、石黒については電子書籍オリジナル短編集というのがいく…
芥川賞受賞作 [asin:B08BLD5YJ3:detail] 沖縄・港川が舞台 未名子は、子どもの頃からとある私設資料館の整理を手伝っている。各地でフィールドワークをしていた在野研究者の順(より)さんが、沖縄で集めた様々な記録 一方、未名子は、問読みという一風変わっ…
群像 2020年 01 月号 [雑誌]講談社Amazon 〈新連載小説〉ゴッホの犬と耳とひまわり 長野まゆみ 〈新年短篇特集〉 見るな 瀬戸内寂聴 焚書類聚 皆川博子 タンパク 高樹のぶ子 カズイスチカ 高橋源一郎 星を送る 高村 薫 漏斗と螺旋 山尾悠子 UFOとの対話 保坂…
神町トリロジー完結編! 『シンセミア』『ピストルズ』に続く、山形県神町を舞台にした三部作の最終章 さらに『ニッポニアニッポン』『グランド・フィナーレ』『ミステリアスセッティング』ともつながっている。 (なので以前は、神町サーガという呼び方をし…
文藝 2018年冬季号河出書房新社Amazon 高山羽根子「居た場所」 芥川賞候補作となっており、選評での評価も高く、最近、立て続けに高山の短編を読んでわりと面白かったので読んでみた。 介護実習生として「私」の町へとやってきた小翠は、ある日、自分が初め…
上田岳弘は上田岳弘『太陽・惑星』 - logical cypher scape2と上田岳弘『私の恋人』 - logical cypher scape2を読んでいて、「ニムロッド」も『群像』に掲載された時点で読みたいなーと思ってたんだけど(いや、ほんとに)、今度でいいかーと思っているうち…
(1997年の笙野頼子「使い魔の日記」から2006年の古井由吉「白暗淵」まで) 笙野頼子「使い魔の日記」(1997年1月号) 小川国夫「星月夜」(1998年1月号) 稲葉真弓「七千日」(1998年2月号) 保坂和志「生きる歓び」(1999年1…
戦後、沖縄がアメリカに占領されていたように、北海道がソ連に占領されていたら、というパラレルな歴史を歩んだ日本(日印連邦)を舞台に、「最新゛(サイジン)」というニップノップグループ(ニップノップとは、彼らが生み出したヒップホップのサブジャン…
『ナショナルジオグラフィック2017年11月号』 翼竜 空を飛ぶ世にも奇妙なモンスター 『日経サイエンス2017年12月号』 海外ウォッチ ソーラー推進宇宙船に期待/宇宙資源と国際法/ランゲオモルフの謎 『Newton2017年12月号』 角のある動物たち 『数学セミナ…
SFマガジン SFマガジン 2017年 04 月号早川書房Amazon上田早夕里の、オーシャンクロニクルシリーズ! 短編の連載が始まった! 誌上では追わずに単行本を待つことになるかと思うので、単行本化が楽しみ それ以外にアニメ「正解するカド」の特集などがあった。…
(川上弘美から小川洋子まで) 川上弘美「形見」(2014年2月号) 藤野可織「アイデンティティ」(2013年8月号) 滝口悠生「かまち」(2013年4月号) 津村記久子「台所の停戦」(2012年12月号) 筒井康隆「大盗庶幾」(2012年12月…
短編3つをざっと読み 諏訪哲史「岩塩の女王」 久しぶりに諏訪哲史読んだような気がする。 「アサッテの人」「りすん」「ロンバルディア遠景」は読んでて、あと比較的最近「ある平衡」を半分くらいまでは読んだけど だからあんまり諏訪哲史の作風どうこうは…
文學界 文學界2016年10月号文藝春秋Amazon 宮内悠介「カブールの園」 アメリカで暮らす日系三世で、IT系ベンチャーを大学時代の友人と立ち上げた女性の話。 かなり直球に、三世のアイデンティティを巡る物語となっている。 彼女は、小学生の頃にいじめにあっ…