2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ダニエル・デネット『自由は進化する』

非常に面白かった。 基本的な方向性としては、僕はデネットとそれほど違わないので「マジかよ」みたいな衝撃というか新しい発見はないけれど、勉強になった部分はかなりあった。 何か長くなったので、目次。 内容と関係ない感想 前提 この本は哲学の本か科学…

「簡単哲学史」うp

哲学とは何か のおまけとして 簡単哲学史 というのを書いてみた。 ただし、哲学史といっても、そんなものを書くのはとても不可能なので、項目や固有名詞のリストにとどめた。 「おまけ」とか「リストにとどめた」とか言ってるけど、これ作るのでも結構大変で…

『物語の(無)根拠』第2章

『物語の(無)根拠』目次 第二章 メタ物語から物語へ 選択の根拠 物質か精神か 量子力学と自由意志 選択と喪失――ゲーム的リアリズム 自由で責任を持つ主体 非日常と日常を巡るサブカルチャー史 責任の不可能性と時間の暴力 第一章で論じられた「物語の自律…

「哲学とは何か」という文章うp

「哲学とは何か」を読む 大仰なタイトルだなあ、と思う。 ほとんど衝動的に書いた文章で、その名の通り「哲学とは何か」について今思っていることをそのまま書いた。 哲学だけでなく、人文的な学問*1というのは、他の多くの人からは、一体何なのか分かられて…

『物語の(無)根拠』第1章

『物語の(無)根拠』第一章html版を公開する。 『物語の(無)根拠』html版公開に関して 基本的に僕の活動範囲はweb上であって、僕の文章を読んでくれる人がいたり、あーだこーだと意見を交わすことのできる場というのもweb上にある。 というわけで、自分の…

BravoskiVol.2

旭岳がやばい! なんだこれ!すげぇ!旭岳すげぇ! あと安比もすげぇ!安比! プロスキーヤーの生活というのもすごいなあ、と思う。 夏の間、ずっとバイトし続けて、冬の間、山にこもるという生活。 それから児玉毅の奥さんへのインタビューが面白い。 この…

日本について(東浩紀の一貫性)

『思想地図』の募集要項で A : 日本語で思考することの意味を問う(東浩紀氏設定) 1970年代以降の日本の思想あるいは作品(ジャンル、メディアは問わない)をひとつ取り上げ、日本語で考え発表することの意味を軸として、作家論あるいは作品論を展開…

『心の哲学入門』金杉武司

心の哲学面白いなあ! 心の哲学についてもっと勉強したいなあ、と思った*1。 今まで、ネットとかでかろうじて集めていた知識が、かなりはっきりと分かってきた。 やはり入門書というのはよいものだ。 心の哲学に関しては、基礎文献集とかあったけど、こうい…

『マルコビッチの穴』

この前、深夜にやってた奴。 CMがやけに細かく入ってた。 天井が低くてみんな背中丸めて歩いているのが面白くて笑えた。 なんか小難しい映画かと思ってたら、全然そんなことなかった。 小難しく考えようと思えば小難しいことも言えそうな気はするけど、そん…

パトナム『理性・真理・歴史』

上の記事が長すぎるので、こちらは短めにいきたい。 後半はかなり流し読みしたところもあるし。 戦後アメリカ哲学の総まとめ的な感もある。 クワイン(実在主義批判)、デヴィッドソン(相対主義批判)、グッドマン(実在主義批判)の考え方が、基本的に継承…

「現前性」について

「リアリズムとリアリティ」のつづき。 リアリティという言葉を、伊藤剛にならって、「現前性」と「もっともらしさ」に分類した。 大抵、リアリティという語が使われるときは、「もっともらしさ」についてのことが多いが、フィクションについて考察するので…

文学フリマ感想その2

感想その1はこちら URLを書いていないと、スパムとして弾かれるため、今回、トラックバックを送る先、というのを書いています。 はてなは、idトラックバックというシステムがありますが、それにすると最新記事にトラックバックが送られてしまうので、文学フ…

リアリズムとリアリティ

正直、早くPCの電源切って本読みながら寝たい気分なんだけど、 「3つのリアリズム」(らいたーずのーと)を読んだら、そうも言っていられなくなった。 まず、リアリズムとリアリティという言葉を区別したいと思う。 リアリズム、というのは、リアルに描くこ…

グレッグ・イーガン『万物理論』

大作なので、あまり間をおかずに読めてよかった。 扱われているトピックの数が非常に多く、その点で他のイーガン作品と趣を異にしている感はある。 この作品では、万物理論というタイトルに違わず*1、理論物理学が扱われている一方で、バイオテクノロジーも…

今月の文芸誌(『群像2007年12月号』『新潮2007年12月号』)

群像 創作合評「つぎの著者につづく」 このR氏というのは、村上春樹のことなのではないか、という小池昌代の指摘。 つまり、SREのリチャードとジェイムスとリタの話が村上春樹っぽいと円城塔は実際に誰かに言われたのではないか、と仮定して読んだらしい。…

パトナム「水槽の中の脳」

これの続き。 本当は、授業内で読む予定だったのだが、都合で中止になってしまったので、個人的に読んでみた。 懐疑説の議論の例として出てくることの多い「水槽の中の脳」だが、そして実際その要素も含んでいるのだが、議論の文脈はそれとは異なる。 むしろ…

文学フリマ感想その1

今日までに読み終わったものの感想。 今後も、読み終わり次第随時書いていく予定。 感想その2 CRITICA Vol.1 探偵小説研究会。 友達用で、渡す前に瀬名秀明インタビューと千野帽子の文章を読んだ。 法月綸太郎による瀬名インタビューは、インタビューという…

テッド・チャン『あなたの人生の物語』

最近、自分の中でプチSFキャンペーン。 ディックの次は、チャン。 センス・オブ・ワンダーってこういうものかということを感じた。 バビロンの塔 のっけから、舞台が古代バビロニア。 バベルの塔を建設している人たちの話。大工たちが、塔の中で生活してる…

文学フリマ報告

昨日、文学フリマが無事終わりました。 来て下さった方、手にとって下さった方、本当にありがとうございました。 手伝ってくれた全てのみなさん、文学フリマ運営事務局のみなさん、文学フリマに参加していた全てのサークルの方々、お疲れ様でした。 おかげさ…

文学フリマ告知

もうすでに何度か言っていますが、再びアナウンスさせていただきます。 来る11月11日、文学フリマに出ます。 『物語の(無)根拠』シノハラユウキ 阿部和重『グランド・フィナーレ』『ミステリアスセッティング』、佐藤友哉『世界の終わりの終わり』『灰…

文化と政治

今日、ブクマした3つのエントリが、それぞれ別のところで見つけた*1のにも関わらず、同じ問題系を巡っているように感じられたので、紹介してみる。完全に単なる偶然なんだけど。 最初は 橋本努「リチャード・ローティを脱構築する」 私的な領域(つまり文化…

サール「心・脳・プログラム」

9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。 他の週の授業はこちら 今回が最終回。 本当は、パトナムもやる予定だったのだが、先生の都合で中止に。 近々借りて読む予定だが、誰かが元の場所に戻さなか…

フィリップ・K・ディック『ヴァリス』

思っていたほど、読みにくくなかった。 意外とすんなり読める。 死と救済についての物語である。 救済とは、永遠のことでもある。 主人公(わたしかつファット)は、ある1人の女性の自殺を契機に、苦悩し始める。 この物語は、いかに死を受け入れるか、とい…

今日買ったCD

DienBienPhu Sound Trackアーティスト: DJまほうつかい&AENさん出版社/メーカー: Commune Disc発売日: 2007/11/11メディア: CD購入: 9人 クリック: 376回この商品を含むブログ (6件) を見るUNCLE JOHNアーティスト: SPECIAL OTHERS出版社/メーカー: Babestar…

UBC-jamVOL.21

無料ライブ。このメンツが無料で見れるなんてすごいなあ。 低音がよく効いていました。 まず、ハルカリ。 そういえばハルカリってちゃんと聞いたことがなかった。 クラブ寄りのパフィーって感じだけど、かなり踊れた。歌はラップなんだけど、音はテクノポッ…

『パンズ・ラビリンス』

超面白い! 滅茶苦茶面白い!! そして、オフィリアが可愛い! オフィリア可愛いよ、オフィーリア!! あと、メルセデスがかっこいいなあ。 舞台は1944年のスペイン*1 軍人と再婚した母親とともに山奥へと引っ越す少女、オフィリア。 彼女は、妖精に、地…

フィリップ・K・ディック『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』

この手の、夢かうつつかみたいな話は、ほんとに面白い。 幻覚から覚めたと思ったら、まだ幻覚だった、というシーンは、今となっては確かにベタかもしれないが、やっぱり面白いな。 ニューヨークの自分の事務所に戻ってきたはずなのに、そのデスクの陰に怪物…

グッドマン「帰納法の新たな謎」

9月から11月まで、週に1本論文を読んできて、ディスカッションするという授業を取っています。 他の週の授業はこちら 帰納法というと、ヒュームの問題がある。 帰納法というのは、果たして妥当な推論であるのか、という問題だ。 まあ、帰納法というのは…