読書

スティーブ・ブルサッテ『恐竜の世界史』

恐竜の黎明期から絶滅まで、恐竜がいかに進化し生きてきたのかを描いた恐竜入門。 1984年生まれの筆者自身や筆者の研究仲間による最新の研究成果を交えながら、恐竜の歴史をトータルに見せてくれる。 プロローグ 恐竜化石の大発見時代 1 恐竜、興る 2 恐竜、…

フィルカルVol.6No.1

フィルカル Vol. 6, No. 1―分析哲学と文化をつなぐ―作者:長門 裕介,神戸 和佳子,稲岡 大志,長田 怜,谷田 雄毅,清水 雄也,小林 佑太,松林 要樹,吉川 孝,玉田 龍太朗,和泉 悠,矢田部 俊介,筒井 一穂,池田 喬,中西 淳貴,源河 亨,谷川 嘉浩,難波 優輝,桜川 ひか…

乾敏郎・阪口豊『脳の大統一理論』

サブタイトルは「自由エネルギー原理とはなにか」 フリストンの自由エネルギー原理についての入門書 同じ作者による乾敏郎『感情とはそもそも何なのか』 - logical cypher scape2でも、自由エネルギー原理について解説しており、内容としては一部重複するが…

石津智大『神経美学―美と芸術の脳科学』

タイトル通り、神経美学についての入門書 筆者は、ゼキのところで共同研究していたこともある研究者 もちろん、人文系の美学とは異なるところも色々あるが、しかし、人文系の美学とも接続可能な議論も色々なされていると思う。 後半で出てくる2つの美という…

生井英孝『空の帝国 アメリカの20世紀』

20世紀アメリカの航空史について書かれた本だが、空軍に関する政治史を中心に大衆文化論を混ぜたような一冊。 筆者は、もともと写真を中心とした視覚文化論が専門らしい。本書も、歴史書というよりは文化論の視点から書かれた読み物という雰囲気だが、その…

加藤聖文『満鉄全史』

満鉄こと南満州鉄道株式会社の設立から終焉まで、まさに全史の本 政治史の中で捉え、いかに満州を巡る日本の政策(国策)が一貫しないものであり、満州支配が混乱したものであったかを論じていく。 その時々の総裁など、人物に注目した記述ですすんでいくの…

青田麻未『環境を批評する』

筆者の博士論文を元にした環境美学についての本 英米系環境美学をサーベイし、環境を批評するという観点から「鑑賞対象の選択」と「美的判断の規範性」という2つのテーマで整理している。 元々環境美学のいう環境は、自然環境を意味していたが、その後の発…

imdkm『リズムから考えるJ-POP史』

新年一発目は、リズムから考えていた 元々、realsoundで連載されていたものに大幅に加筆された本*1 連載当時読んでいて面白かったので、本も読んだ 本来なら出てくる音源も聴きながら読むべきなんだが、ほとんど聞かずに読んでしまった。知らない曲の方が多…

土屋健『化石の探偵術』

サブタイトルは、「読んで体験する古生物研究室の世界」とあり、古生物学研究の方法論についての入門書 化石を掘るための道具や地図の読み方・書き方から始まり、どのようなところを掘ればいいか、地層からどのようなことが分かるか、掘り出したあとの化石を…

”All Yesterdays: Unique and Speculative Views of Dinosaurs and Other Prehistoric Animals”

筆者は、 Darren Naish、John Conway、 C.M. Kosemen 以前読んだDerek D. Turner "Paleoaesthetics and the Practice of Paleontology(美的古生物学と古生物学の実践)" - logical cypher scape2の参考文献に出てきていた本だったので、手に取った。 All Yest…

岩下朋世『キャラがリアルになるとき』

筆者が『ユリイカ』などに書いてきたキャラクター論を集めた論集。2011年〜2016年の間に書かれたもの(と書き下ろし一編)が収録されている。 第1部がマンガ、第2部が仮面ライダー、テニミュ、ラッパーなどを題材にしたもの、となっている。 Ⅰ マンガのなか…

D.Lopes "The 'Air' of Pictures"

絵画の表現について 分析美学では、表現というのは、作品が何らかの感情を表現していることを指し、特に音楽における表現が論じられている。 絵画については触れられることが少ない この論文は、ロペスの絵画(画像)論についての本の第2章である。 「この曲…

田口善弘『生命はデジタルでできている』

バイオインフォマティクスの観点から、ゲノム、RNA、タンパク、代謝について、今進められている研究、まだ何が分かっていないのかなどについて解説されている本 また、タイトルに「デジタル」とあるが、ゲノムを中心とした生命機構をデジタル処理装置と見な…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史7』

7巻は「近代2 自由と歴史的発展」伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史2』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著…

デイヴィッド・ライク『交雑する人類』(日向やよい訳)

サブタイトルは「古代DNAが解き明かす新サピエンス史」てまあり、遺伝学による人類史研究の本 筆者は一時期ペーポの研究所にいた人で(今は独立した研究室を持っている)、この本のタイトル的にも、ネアンデルタール人やデニソワ人と現生人類との交雑の話かな…

河合信和『ヒトの進化七〇〇万年史』

ちくま新書のkindleセールで購入 そのタイトル通り、700万年のヒト(ホミニン)の進化史についての本だが、記述の主軸はむしろ発見・研究の方にある 誰がどこでどのように発見したのかという観点から進んでいく感じ そのため、若干構成の難しさがある。 章わけ…

Derek D. Turner "Paleoaesthetics and the Practice of Paleontology(美的古生物学と古生物学の実践)"

古生物学の科学哲学の本で、その美的側面を強調している。 タイトルのPaleoaestheticsは、直訳するなら「古美学」になるだろうが、ここでPaleo-としているのは古生物学Paleontologyとかけているからであり、また、古生物学の美学、というよりは、古生物学の…

リチャード・ウォルハイム『芸術とその対象』(松尾大・訳)

芸術作品とは一体どのようなものなのかというテーマを取り上げながら、美学の様々な論点を論じていく。 原著は1968年刊行だが、1980年の第二版より6つの補足論文が追加されている。 本論文は、65の節からなるが章わけなどはされていない。ただ、目次代わりに…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史6』

6巻は「近代1 啓蒙と人間感情論」伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史2』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著…

ジョナサン・ロソス『生命の歴史は繰り返すのか?』(的場知之・訳)

サブタイトルにある通り「進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む」本 進化は、何百年何千年あるいはそれよりさらに長いスパンかけて起きるものであり、人間には直接観察できない、とダーウィン以来思われてきたわけだが、実際にはもっと短いスパンでも進化は起…

チャールズ・コケル『生命進化の物理法則』

生き物の(広義の)デザインに物理的にどのような制約条件があるのか、ということを、生態から個体、細胞、 遺伝、代謝、元素と、上の階層から下の階層へと進む形で見ていく本。 筆者はアストロバイオロジーの研究者であり、この本も3分の2程度はアストロバイ…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史3』

3巻は「中世1 超越と普遍に向けて」 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史2』 - logical cypher scape2 本書で展開されるこの時代のキーワードは…

ミゲル・シカール『プレイ・マターズ 遊び心の哲学』(松永伸司・訳)

タイトルにある通り、遊び・遊び心についての本である。 ジャンルとしてはゲームスタディーズにあたり、本書もビデオゲームの例が多くあるが、筆者によれば、本書はあくまでも「遊び」についての本であって、ゲームについての本ではない。ゲームは、遊びの一…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史2』

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』 - logical cypher scape2に引き続き第2巻 全8巻シリーズで、第2巻は「(古代2)世界哲学の成立と展開」 目次を見ればわかる通り、宗教の比率が高いが、そんな中執筆陣も(人により差はあるが)…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』

ちくま新書でスタートした世界哲学史シリーズ 全8巻刊行予定のうちの第1巻で「(古代1)知恵から愛知へ」 自分も「哲学」といえば、プラトンに起源をもつ知的伝統という理解をしているので、哲学=西洋哲学という感覚が強く、どうしても西洋以外の哲学のこ…

石田尚子「フィクションの鑑賞行為における認知の問題」

teapot.lib.ocha.ac.jp いま気づいたんですが、石田尚子さんの博論全文がお茶の水女子大学のリポジトリに上がってますね。「フィクションの鑑賞行為における認知の問題」 https://t.co/iEXKkxporm— MORI Norihide / 森 功次 (@conchucame) 2020年1月27日 森…

倉田剛『日常世界を哲学する』

社会存在論の入門書的な本 ただし、結構前提知識が必要な部分があり、しかも紙幅の都合で何気なく省略されたりしている部分もあったりする 「社会存在論? サールとかがやってるのは知ってるけど、日本語で読めるの少なくてあんまりよく知らないんだよね」く…

藤崎慎吾『我々は生命を創れるのか』

サブタイトルは「合成生物学が生みだしつつあるもの」とあり確かに合成生物学の話ではあるが、生命の起源研究の中に合成生物学を位置づけている感じ 藤崎が、この分野の研究者に取材した連載記事が元になっている。 面白そうだなと思ったから読み始めたわけ…

たつざわ「芦田漫画映画製作所の通史的な解明」

(おそらく)2018年5月の文フリで購入し、その直後に読み終わっていたもの 感想メモも、読んだ当時に書いているのだが、何故かブログに載せずに放置されていたので載せる 何故か、というか、おそらく同時期に買った他の同人誌と一緒に感想をあげるつもりだっ…

飯田隆『新哲学対話』

プラトンが書かなかったソクラテスの対話編、とでもいうか、まあ二次創作というか。 4本が収録されているが、例えばそのうちの「アガトン」は、『饗宴』のあとも残って話を続けていた4人の対話の記録、ということになっている。 ところで、フィルカルVol.4 N…