読書
第一次世界大戦全体の流れを新書一冊にまとめた本。 『軍靴のバルツァー』*1や上田早夕里『リラと戦禍の風』 - logical cypher scape2を読んで、第一次世界大戦が気になっていたので。なお、この本は『リラと戦禍の風』の参考文献として挙げられていた。 第…
19世紀末から20世紀初頭にかけてのヨーロッパの文化について 山川からでている「世界史リブレット」シリーズの中の1冊で、全部で100ページほどの小冊子である。そのため、内容的にはそこまで深く論じられているわけではないが、学術・文化にかんして概観でき…
宇宙倫理学についての論文集 京大で宇宙ユニットというのができて、2017年前後に宇宙倫理学が盛り上がっていた時期がある。「盛り上がっていた」と過去形で書いたが、現在も京大の中には宇宙倫理学の教育カリキュラムがある。続々と研究成果が出てくるという…
キュビスム展にいった際に思わず購入 表紙、出版日からして、キュビスム展にあわせて企画された本なのではないかと思う。キュビスム展の復習になりつつ、キュビスム展には(い)なかった画家やトピックも含まれており、よかった。 キュビスムというとピカソ…
「ロシア宇宙主義」「アフロフューチャリズム」「サイバースペース論」という三部構成で、近代や資本主義を脱しようとしたユートピア思想を概観していく。 SFマガジンでの連載をまとめたもの。 木澤佐登志の著作は以前から多少気になってはいたものの、自分…
1995年に発行された『批評空間』の臨時増刊号で、現代美術批評の重要文献の翻訳が掲載されいてたことで有名だが、なおかつ、長いこと絶版が続いていて、重要にもかかわらず入手不可能であったためにある意味で「伝説化」もしていた。しかし、今では電子化さ…
タイトル通り、近代の美学についての入門書なのだが、とても良い本だった。 「芸術」「芸術家」「美」「崇高」「ピクチャレスク」という概念ごとに章立てした5章構成の本となっているが、これらの概念は全て近代に成立した概念である。 「崇高」と「ピクチ…
サブタイトルは「感性的生活からの哲学入門」とある。なお、原著タイトルは”Aesthetic Life and Why It Matters”であり、この「感性的生活」はAesthetic Lifeの訳だと思われるが、本文中では「美的生活」と訳されている。 美的なものには何故価値があるのか…
ABSTRACTION展の図録で、企画の際に参照した先行研究として挙がっていて、日本語でまとまって読める抽象絵画の歴史についてのほぼ最新の文献っぽかったので、読んでみることにした。 テーマ別に章分けされており、抽象絵画は第1章と第3章 第2章にダダやシュ…
アフリカについてのルポルタージュ。ポーランドのジャーナリストである筆者が、1958年からおよそ40年に渡って取材してきたアフリカ各国でのルポ29篇からなっている。 「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」におさめられた1冊である。文学というとつい小説を…
単弓類の進化についてのポピュラー・サイエンス本。 タイトルの通り、哺乳類が哺乳類になる前の話で、古生代から中生代の話となっている。 哺乳類というと、中生代は恐竜に隠れた日陰者で、新生代から一気に世界を支配した、というイメージをもたれるが、実…
サブタイトルは先史世界の初期絵画表現。原著タイトルは”Scenes from Deep Ttime: Early Pictorial Representation of the Prehistoric World” 19世紀のパレオアートについての科学史 「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」展 - logical cypher scape2の副…
引き続き地球科学の本。過去の気候変動を復元する古気候学について。 『地球・惑星・生命』 - logical cypher scape2で読んで面白かった章と同じ筆者による関連書籍。 是永淳『絵でわかるプレートテクトニクス』 - logical cypher scape2と連続して読むと、…
プレートテクトニクスについての入門書 『地球・惑星・生命』 - logical cypher scape2のプレートテクトニクスの章*1が面白く、もう少し詳しく読みたいと思ったため手に取った。 そもそもプレートテクトニクス理論自体が1960年代に確立していった、比較的新…
日本地球惑星科学連合の30周年*1を記念して出版された一般向け論文集 日本地球惑星科学連合は、地球惑星科学に関連している学会等の連合組織 「宇宙惑星科学」「地球生命科学」「固体地球科学」「大気水圏科学」「地球人間圏科学」の5つのセクションからな…
カール・ウーズを主人公に据えて、アーキアの発見と3ドメイン説および遺伝の水平伝播説について、科学者たちの人間模様のドラマも織り交ぜた科学史なしいドキュメンタリーの本 サブタイトルは「ゲノムに刻まれた全く新しい進化史」で、原題はThe Tangled Tre…
脳の活動というと、イコールでニューロンの活動と思いがちだし、実際に脳の研究はそのような前提で進められてきたが、ニューロン以外の活動(非シナプス的相互作用)も実はかなり重要である、ということを紹介してくれる本 以前から、グリア細胞が実は脳の情…
データ可視化について、実践的な観点からその心構えを説いてくれる本。 データ可視化というのは、数表をグラフなど視覚的にわかりやすい形で表現することを指す。上で「心構え」と言ったのは、具体的なツールの使い方などではなく、データ可視化に取りかかる…
サブタイトルは失われた魅惑のペルム紀世界とある通り、ペルム紀を扱った本。 ペルム紀を単独で取り上げた本というのはとても珍しいだろう。 古生物といえば圧倒的に恐竜が人気の中心だろうが、その直前の時代にあたるペルム紀も面白いぞ、と古生物サイエン…
自由に見るのでもなく、知識を当てはめるのでもなく、何に注目し、何を探して見ていくかという、絵画を見る方法を教えてくれる本。この手の本としては以前、布施英利『構図がわかれば絵画がわかる』 - logical cypher scape2を読んだことがあるものの、あま…
アメリカ文学研究者で翻訳者である筆者が、主に20世紀後半以降に書かれた実験小説を色々紹介してくれる本。 今、海外文学読むぞ期間を個人的に展開中だけれど、それのガイドになればなあと思って。それ以前から気になっていた本ではあるけれど。 どういう手…
山口輝臣・福家崇洋編『思想史講義【大正篇】』 - logical cypher scape2に引き続き、今度は戦前昭和篇 もともと日本思想史とか全然だったので、大正篇も知らないことが多くて勉強になったところではあるが、とはいえ、大正篇は、自分の従来持っていた日本史…
カルヴィッキによる画像の意味についての本 言語哲学を応用し、言語的表現と比較しながら論じられる。 具体的には、カプランの「内容」と「キャラクター」の区別を画像にも適用するというもの。 第1章で、本書全体の概要を説明している。 その中で本書をミー…
サブタイトルに「一七二〇年から二〇〇〇年まで」とあり、18世紀からの宗教哲学、19世紀からのプラグマティズム、20世紀からの分析哲学の三部構成で書かれた本。 元々、フィルカルvol.5 no.2 - logical cypher scape2でアメリカ哲学史特集が組まれたりと、ア…
『宇宙開発未来カレンダー 2022-2030's』という本をパラパラと眺めている。 カレンダーというタイトルだが、どちらかといえばロケット・宇宙機カタログという感じの本で、今後打ち上げが予定されているロケットや探査機・人工衛星と、現在運用中の探査機・人…
20世紀のロシアにおける哲学や思想に一体どんなものがあるのか、概略をつかむのにちょうどよい入門書ないしハンドブック かなり広範に扱っているが、ページ数は手頃な長さにおさまっている。その点、個々の思想について説明が少なくなってしまっているところ…
サブタイトルは、「日米同盟、憲法9条からNSCまで」 防衛政策史研究者による本で、タイトル通り、戦後日本の安全保障政策の歴史を論じた本である。 小林義久『国連安保理とウクライナ侵攻』 - logical cypher scape2を調べていたら、関連する本として出てき…
珍しく時事ネタ。 タイトルにある通りで、ロシアのウクライナ侵攻を受けて改めて国連安保理とは何かについて書かれた本。 筆者は、共同通信で長年国連取材に当たっていた記者で、その経験を踏まえて、国連安保理の歴史について書かれている。 研究者ではなく…
普段こういう本、つまり文化人類学の本や食文化の本を読んでいないし、本を読むほどの興味関心を抱いている分野ではないのだが、しかし、日常生活において、料理や食文化についてちょっとした疑問を抱くことは度々あって、その都度、wikipediaを読んだりして…
大正新興美術運動を研究している著者*1の評論集。 大正振興美術運動については、ゲルハルト・リヒター展 - logical cypher scape2で近代美術館の常設展を見ていて知ったのだが、その後、大正期新興美術運動の概容と研究史 | 日本近代美術史サイトをざっと眺…