哲学

「自然科学の哲学」ほか(飯田隆編『哲学の歴史11 論理・数学・言語―20世紀2』)

主に分析哲学史についての巻だが、分析哲学以外の章と、あとコラムをいくつか読んだ。 総論 科学の世紀と哲学 飯田隆 自然科学の哲学 ドイツ語圏における展開 今井道夫 フランスにおける展開 小林道夫 フレーゲ 金子洋之 ラッセル 戸田山和久 コラム1 「概…

野家啓一編『哲学の歴史10 危機の時代の哲学―20世紀1』

引き続き、中公の『哲学の歴史』 いわゆる大陸系哲学あるいは現象学の潮流に位置する人たちで、また、戦後の人たちも一部含むが、概ね20世紀前半から戦間期に活躍していた人たちが中心となっている巻 知っているようで知らない人たちで、「へえそういうこと…

「カッシーラー」「ヴェーバー」他(須藤訓任編『哲学の歴史9 反哲学と世紀末―19-20世紀』)

中公の『哲学の歴史』!! 本についての話をする前に個人的な話をするが、これは、自分が学生だった頃に発刊されたシリーズで、なんかすごいの出たなあと思っていた。その後も近くの図書館で見かけたりして*1「いつか読むぞ!」「いつ読むんだ?」というのを…

矢代梓『年表で読む二十世紀思想史』

1883年~1995年までの、欧米の哲学・思想・文学・芸術を編年体で綴った本。 「世紀転換期・戦間期について読む(哲学思想篇)*1」の一環として手に取った本なのだが、タイトルと目次(あとはAmazonの該当ページとか)だけ見て図書館で予約した本なので、実際…

木田元『マッハとニーチェ―世紀転換期思想史』

タイトルは「マッハとニーチェ」だが、基本的にはマッハの思想とその影響について 『大航海』での連載をもとにした本。 「世紀転換期」という言葉知らなかったけど、使い勝手よさそう マッハについては、原子論をめぐってボルツマンと対立し、アインシュタイ…

応用哲学会2024年大会

銭清弘 ルールとしてのジャンル 山田圭一 ChatGPTとウィトゲンシュタイン ―言葉の意味を理解するとはどういうことか?― 石田知子 無知を産む装置としてのパラダイム——遺伝暗号解読競争からの教訓—— 金 雲龍 効果的利他主義は非規範的であるべきか 下道亮成 …

伊勢田哲治・神崎宣次・呉羽真編著『宇宙倫理学』

宇宙倫理学についての論文集 京大で宇宙ユニットというのができて、2017年前後に宇宙倫理学が盛り上がっていた時期がある。「盛り上がっていた」と過去形で書いたが、現在も京大の中には宇宙倫理学の教育カリキュラムがある。続々と研究成果が出てくるという…

攻殻機動隊 M.M.A. - Messed Mesh Ambitions_ISSUE #01 特集_東洋的|The East

攻殻機動隊のグローバルサイトなるものが立ち上がり、その中で士郎正宗へのインタビューがあるのが話題となっているが、他にも論考記事が掲載されている。 普段、こういう記事へのリアクションはブクマでしているし、これらの記事についてもブクマでもよかっ…

ブルース・ククリック『アメリカ哲学史』(大厩諒・入江哲朗・岩下弘史・岸本智典訳)

サブタイトルに「一七二〇年から二〇〇〇年まで」とあり、18世紀からの宗教哲学、19世紀からのプラグマティズム、20世紀からの分析哲学の三部構成で書かれた本。 元々、フィルカルvol.5 no.2 - logical cypher scape2でアメリカ哲学史特集が組まれたりと、ア…

桑野隆『20世紀ロシア思想史 宗教・革命・言語』

20世紀のロシアにおける哲学や思想に一体どんなものがあるのか、概略をつかむのにちょうどよい入門書ないしハンドブック かなり広範に扱っているが、ページ数は手頃な長さにおさまっている。その点、個々の思想について説明が少なくなってしまっているところ…

『現代思想2022年1月臨時増刊号 総特集=ウィトゲンシュタイン』

『論考』刊行100周年を記念した特集号。 本誌前半には『論考』について、中盤には「倫理学講話」について、後半には『探求』についての論文が収録されている。 『論考』の読み方が時代によってどのように変遷してきたかを論じている吉田論文、ダイヤモンドの…

『現代思想2021年12月号(特集=大森荘蔵)』

大森荘蔵の弟子筋にあたる人たち(前半に並んでいる人たち)は、大森との思い出を述べたのち、それぞれの大森論を展開している。 自分は大森荘蔵には全然触れていないのだが、野家、飯田、丹治、野矢という、現在における日本分析哲学のビッグネームが並んで…

フィルカルVol.6No.1

特集シリーズ2:科学的説明論の現在 「因果的説明論の現在」(清水雄也・小林佑太) 翻訳「 『深さ』の概略」(マイケル・ストレヴンス、清水雄也訳) 「モナドとしての哲学史研究」(稲岡大志) 悪い言語哲学入門 第3回 (和泉 悠) ウソツキの論理学(連載…

トッド・E・ファインバーグ,ジョン・M・マラット『意識の神秘を暴く 脳と心の生命史』(鈴木大地 訳)

サールの「生物学的自然主義」を引き継ぎ「神経生物学的自然主義」を掲げる筆者らによる神経生物学的な意識研究の本 前著『意識の進化的起源』のダイジェスト的な本らしく、前著の方を未だ読めていなかったので、とりあえずこっちを手に取ってみた。 基本的…

Marco Tamborini "Technoscientific approach to deep time"

古生物学(歴史科学)の科学哲学論文 古生物学において、いかに被説明項たる現象がテクノロジーによって生産され、処理され、提示されているか。 テクノロジーと不可分であることを示す。 Derek D. Turner "Paleoaesthetics and the Practice of Paleontology(…

フィルカルvol.5 no.2

対談「哲学対話:言葉による言葉の吟味としての」 (山田圭一、池田喬、佐藤暁) 特集1:描写の哲学 「描写の哲学を描写する」(松永伸司) 「イメージを切り貼りするとなにがどうなるのか インターネットのミーム文化における画像使用を中心に」(銭清弘) 「キャラ…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史8』

今年1月から刊行の始まった「世界哲学史」シリーズ。いよいよ完結の第8巻(と思いきや、12月 に別巻が出るらしいが) 8巻は「現代 グローバル時代の知」伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史7』

7巻は「近代2 自由と歴史的発展」伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史2』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史6』

6巻は「近代1 啓蒙と人間感情論」伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史2』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著…

『フィルカルvol.5 no.1』

2019フィルカルリーディングズ 特集1 いけばなの美学 ポピュラー哲学の現在 特別連載 ウソツキ論理学 哲学的論理学入門第1回 矢田部俊介 特集2 学問と勉強のジェンダー・ギャップ 特集3 「ELSI」というビッグウェーブ 分析系ニーチェ研究の招待 大戸雄真 メ…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史5』

5巻は「中世3 バロックの哲学」伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史2』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史4』

4巻は、「中世2 個人の覚醒」伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史2』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史3』

3巻は「中世1 超越と普遍に向けて」 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』 - logical cypher scape2 伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史2』 - logical cypher scape2 本書で展開されるこの時代のキーワードは…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史2』

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』 - logical cypher scape2に引き続き第2巻 全8巻シリーズで、第2巻は「(古代2)世界哲学の成立と展開」 目次を見ればわかる通り、宗教の比率が高いが、そんな中執筆陣も(人により差はあるが)…

伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編著『世界哲学史1』

ちくま新書でスタートした世界哲学史シリーズ 全8巻刊行予定のうちの第1巻で「(古代1)知恵から愛知へ」 自分も「哲学」といえば、プラトンに起源をもつ知的伝統という理解をしているので、哲学=西洋哲学という感覚が強く、どうしても西洋以外の哲学のこ…

倉田剛『日常世界を哲学する』

社会存在論の入門書的な本 ただし、結構前提知識が必要な部分があり、しかも紙幅の都合で何気なく省略されたりしている部分もあったりする 「社会存在論? サールとかがやってるのは知ってるけど、日本語で読めるの少なくてあんまりよく知らないんだよね」く…

飯田隆『新哲学対話』

プラトンが書かなかったソクラテスの対話編、とでもいうか、まあ二次創作というか。 4本が収録されているが、例えばそのうちの「アガトン」は、『饗宴』のあとも残って話を続けていた4人の対話の記録、ということになっている。 ところで、フィルカルVol.4 N…

古田徹也『ウィトゲンシュタイン 論理哲学論考』

『論考』の入門書で、『論考』やウィトゲンシュタインをあまりよく知らない人でも読めるようにと書かれており、実際、とても読みやすい。 自分は、ウィトゲンシュタインについて多少興味があって入門書くらいは読んでいたりするけれど、わりと『探求』の頃の…

フィルカルVol.4 No.3

特別寄稿「谷賢一『従軍中のウィトゲンシュタイン』(工作舎、2019)を巡る哲学的随想」(鬼界 彰夫) 特集1:『論理哲学論考』と文化をつなぐ 古田徹也『ウィトゲンシュタイン論理哲学論考』出版記念誌上ブックフェア 特集2:山口尚『幸福と人生の意味の哲学』 「…

現代思想2019年9月号 特集=倫理学の論点23

タイトルにあるとおり、様々なジャンルでの論点が分かるような、コンパクトな原稿が多数収められていて、色々と入口によい感じの特集。全部は読んでいないけれども。現代思想 2019年9月号 特集=倫理学の論点23作者:岡本裕一朗,奥田太郎,池田喬,長門裕介,福永…