哲学

鬼界彰夫『『哲学探究』とはいかなる書物か――理想と哲学』

全3巻が予定されている「ウィトゲンシュタイン『哲学探究』を読む」シリーズの第1巻にあたる 『探求』の§89~§133にあたる部分を読み解く なお、第2巻では§134~§242、第3巻では§243~§693を扱うことが予告されている。 この§69~§133にあたる部分を本書は…

発表内行為?

追記(20190806) twitterで色々書いたので追記 長い上に、色々紆余曲折するので、結論としては最後に引用しているakadaさんの見てくださいこの記事だけだとうまく伝わっていないだろうけど、自分が何にそんなに引っかかっているのか改めて気付いたこととし…

Milena Ivanova「科学の美的価値」

原題は、Aesthetic Values in Science 科学において、「この理論は美しい」とかいった形で、美や美的価値に言及されることがあるけれど、これは科学においてどういう役割を果たしているのか、という論文 筆者は、科学哲学が専門で、ケンブリッジ大学所属 以…

現代思想2019年5月臨時増刊号 総特集=現代思想43のキーワード

現代思想 2019年5月臨時増刊号 総特集◎現代思想43のキーワード (現代思想5月臨時増刊号)作者: 千葉雅也,松本卓也,渡辺ペコ,トミヤマユキコ,清田隆之出版社/メーカー: 青土社発売日: 2019/04/12メディア: ムックこの商品を含むブログを見る 本屋で見かけたの…

西村清和『感情の哲学』

美学研究者として著名な筆者による、「感情の哲学」論。サブタイトルに「分析哲学と現象学」とあるが、分析哲学的な感情についての議論の陥りがちな陥穽を指摘している。その陥穽に現象学をパッチしている、ようなところもあるが、現象学よりも分析哲学側の…

アストロバイオロジーの哲学

アストロバイオロジーの哲学、という分野があるらしいということを、以前、以下のシンポジウムで少し聞きかじったので、ちょっとググったりして見つけた論文を読んでみた。 軽く検索して見つけられて、pdfがそのままweb上で公開されていて、テーマ的に読みや…

キム・ステレルニー『進化の弟子 ヒトは学んでヒトになった』

サブタイトルにあるとおり、ヒトのヒトたる特徴がどのように生まれてきたか、についての本 キーワードの一つは「徒弟学習apprentice learningモデル」である。 徒弟が親方から技術を盗んで覚える、という学習スタイルによって、ヒト族は知識や技術を伝達し、…

イアン・ハッキング『知の歴史学』(出口康夫、大西琢朗、渡辺一弘 訳)(一部)

ハッキングの1973年から1999年の間に書かれたものを集めた論文集 第一章に「歴史的存在論」という、論文集全体につうじる概要的な論文がおさめられており、論文集全体のタイトルも原題では『歴史的存在論』。『知の歴史学』は日本語版タイトルで、フーコーの…

網谷祐一『理性の起源』

サブタイトルには「賢すぎる、愚かすぎる、それが人間だ」とあり、人間の特徴として挙げられる理性について、一方では科学技術を発展させるなど「賢すぎる」側面がありながら、他方で、近年の行動経済学などで人間はどうもあまり合理的に行動しないようだと…

堀田義太郎「差別の規範理論―差別の悪の根拠に関する検討―」『社会と倫理 第29号 2014年』

『差別はいつ悪質になるのか』(http://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-60354-9.html)という書名を見かけて検索していたら、翻訳者の1人による2014年の論文がヒットしたので、読んでみた。 http://rci.nanzan-u.ac.jp/ISE/ja/publication/se29/29-08hot…

科学基礎論学会シンポジウム「宇宙科学の哲学の可能性――宇宙探査の意義と課題を中心に」

6/16・17に千葉大で行われた科学基礎論学会のうち、16日のシンポジウムに参加してきた。 近年、宇宙科学・探査についての人文社会科学的アプローチが増えてきている。 全然フォローしきれているわけではないが、これまでこのブログで扱ったものとしては、以…

戸田山和久『恐怖の哲学』

ホラー映画を題材にして、情動の哲学、フィクションの哲学、死の害の形而上学、意識の哲学など、哲学の各分野の議論を紹介しつつ、筆者のホラー映画愛も盛り込まれている本 (入門書だけ読んでおわりがちな)自分にしては珍しく、この本の元ネタのいくつかを…

『フィルカルVol.3 No.1』

分析哲学と文化をつなぐ雑誌通巻5号 急にこれまでの倍くらいの分厚さに 今回は、分析美学の論考が2本に、前号の「大森靖子と推論主義」に対するリプライ、イベントのレポート記事などもあって盛りだくさんとなっている。 また、本号に「創造と複製-芸術作品…

デイヴィド・チャーマーズ「ヴァーチャルとリアル」

チャーマーズが、VRについてのデジタリズム実在論を主張している論文 Chalmers, David J. "The virtual and the real." Disputatio 9.46 (2017): 309-352. ヴァーチャルリアリティはリアルか?:VRの定義、存在論、価値 - Lichtungにおいて紹介されており、…

三中信宏『思考の体系学』

サブタイトルは「分類と系統から見たダイアグラム論」 分類や系統を視覚的に表現するために用いられるダイアグラム、本書では特に系統樹に関して、その数学的な基礎と存在論的な基礎を示していく本 三中信宏『系統樹思考の世界』 - logical cypher scapeや三…

マイケル・ワイスバーグ『科学とモデル――シミュレーションの哲学入門』(松王政浩 訳)

科学におけるモデルとは何か、ということについての科学哲学の本。 モデルの分類、モデルとは何であるのか、モデリング行為とはどのようなことをしているのか、といったことが主に論じられている。 具体例が豊富で、科学者が実際に何をやっているのかという…

スティーヴン・マンフォード、ラニ・リル・アンユム『哲学がわかる 因果性』(塩野直之・谷川卓訳)

因果性の哲学の入門書 因果性とは一体何なのか、ヒュームからスタートして、様々な哲学上の学説を紹介・解説していく。 筆者らが、傾向性主義の立場に立っているため、最終的にはその立場にたどり着くようにできている。 訳者解説にあるが、おおむね2〜5章…

『現代思想2017年12月臨時増刊号 総特集=分析哲学』

多岐にわたるトピックを扱っていて、普段あまり触れてないジャンルについても知ることができてよかった。 個人的には、倉田さんの社会存在論、井頭さんの自然主義、佐藤さんの倫理学あたりが特に、勉強になったなー面白いなーという感じだった。 今回、特徴…

倉田剛『現代存在論講義2 物質的対象・種・虚構』

倉田剛『現代存在論講義1 ファンダメンタルズ』 - logical cypher scapeの続刊 1巻が総論だとしたら、2巻は各論と述べられており、サブタイトルにある通り、「中間サイズの物質的対象」(構成や通時的同一性の話)、「種」、「可能世界」、「虚構的対象」が…

『シリーズ新・心の哲学3意識篇』(佐藤論文・太田論文)

心の哲学、特に意識にかかわる話題の論文集。その中から、予測コーディング理論を取り上げている佐藤論文と、現象的意識の統一性について論じている太田論文のみをとりあえず読んだ。シリーズ 新・心の哲学II 意識篇作者: 信原幸弘,太田紘史出版社/メーカー:…

『ワードマップ心の哲学』(一部)

前半は、心の哲学入門としてオーソドックスな項目が並ぶが、加えて、倫理学や美学などの隣接領域とオーバーラップするような項目や、これまでの入門書ではなかなか取り上げられていなかったような近年の知見、さらにこの手の本として珍しいのは、精神医学と…

美学会・科学基礎論学会・科学哲学会

10月から11月にかけて参加した学会 とりあえず、どの題目を聞いたくらいはメモっておくことにした 第68回美学会全国大会(@國學院大学) 大会プログラム 10/7 研究発表 松粼俊之(石巻専修大学) 表象的特性としての知覚的クオリアと美的クオリア―フレーゲ…

『フィルカルVol.2No.2』

「分析哲学と文化をつなぐ」雑誌、通算4号 これまでただの一読者として読んできて、自分が投稿するとかは全然考えていなかったのだけど、気付いていたら投稿していた。 というわけで、シノハラユウキ「メディアを跨ぐヴィヴィッドな想像」が掲載されていま…

D・ルイス『世界の複数性について』(出口康夫監訳、佐金 武・小山 虎・海田大輔・山口 尚 訳)

様相実在論についての本 D.ルイスの本は、以前、デイヴィッド・ルイス『反事実的条件法』 - logical cypher scapeも読んだ 『フィクションは重なり合う』の構想段階で、タイトル案として『虚構世界の複数性について』というものも考えていたので、やはり読ま…

藤川直也『名前に何の意味があるのか 固有名の哲学』

固有名について、それがどのように指示を行っているかの哲学的説明と、「その意味は指示対象に尽きる」というミル的な立場から、ミル説への反論として持ち出される問題について解決を図る本。 固有名の哲学というと、ラッセルの記述説とクリプキの直接指示説…

金杉武司「自己知と自己認知」(『シリーズ新・心の哲学1認知篇』)

『シリーズ新・心の哲学』の中で、とりあえず自己知の章だけ読みたかったのでそれだけ。 ただ、他の章も気になったものがあるので、後日また読むかもしれない。 第1章は、フォーだーの思考の言語説(LOT)及び概念原子論とそれに対する認知心理学のプロ…

鈴木貴之『ぼくらが原子の集まりなら、なぜ痛みや悲しみを感じるのだろう』

サブタイトルは「意識のハード・プロブレムに挑む」 意識の自然化に挑むものであり、「本来的表象はすべて意識経験である」という「ミニマルな表象理論」を展開する。 結論部に筆者の主張がまとめられているので、一部を以下に引用する。 ◎意識経験は全て知…

清塚邦彦『フィクションの哲学 改訂版』

新章が追加されたということで、取り急ぎそこの部分だけ読んだ。フィクションの哲学 〔改訂版〕作者: 清塚邦彦出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2017/06/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 第七章 フィクションの意義と意味 この章のタ…

ジェシー・プリンツ『はらわたが煮えくりかえる』(源河亨訳)

サブタイトルは、「情動の身体知覚説」 認知科学、心理学、文化人類学などの情動研究に基づいた、情動についての哲学の本。 情動についての哲学とは、つまり、情動についての理論的・概念的な分析がなされているということ。そもそも情動とは一体何なのかと…

源河亨『知覚と判断の境界線』

サブタイトルは、「「知覚の哲学」基本と応用」であり、そのタイトル通り、知覚の哲学の基本から始まり応用問題に至る。著者の博士論文を元にした著作であり、既存の理論の紹介だけでなく、後半では、著者による「高次モード知覚説」が論じられることとなる…