フィルカルVol.6No.1


特集シリーズ2:科学的説明論の現在

「因果的説明論の現在」(清水雄也・小林佑太)

科学的説明論、とりわけ因果的な説明論の21世紀以降の展開について整理した論文

  • 20世紀の科学的説明論

20世紀において科学的説明論は、被覆法則説から因果メカニズム説へ、という流れがあった。これは、科学哲学の入門書とかでも紹介されていたりする。
本論は、因果メカニズム説を、因果の差異形成的側面と産出的側面の両方に触れている二面性があるという意味で、DP二面説の一種であると位置づける(「DP二面説」というのは本論における名称、多分)。

  • 現代の因果的説明説

21世紀以降、有力になっている説として3つ挙げている。

    • 可操性説

介入主義とも
なお、この可操性というのはmanipulabilityの訳で、操作可能性と訳しても問題ないようだが文字数的な理由で、本論では可操性と訳出したとのこと

20世紀に出ていたSalmonの因果メカニズム説に対して、新メカニズム説と呼ばれることもあるという(その場合、Salmonのメカニズム説は旧メカニズム説と呼ぶ。なお、新メカニズムの中にも新旧あって、新旧メカニズム説と新新メカニズム説があるらしい。ややこしい)
旧メカニズム説と同様、DP二面説の一種

カニズム説と同様、DP二面説の一種
産出に関するエキュメニズムと差異形成に関するカイロス基準によって特徴付けられる。

翻訳「 『深さ』の概略」(マイケル・ストレヴンス、清水雄也訳)

カイロス説の提唱者であるストレヴンスが、カイロス説について論じた自著『深さ』について自ら解説した論文の翻訳

モナドとしての哲学史研究」(稲岡大志)

哲学史研究の意義とは何なのか、これまで歴史的アプローチ、哲学的アプローチなどがあったの対して、筆者はプロジェクト型アプローチを提案する。
また、プロジェクト型アプローチの中のモデルとしてモナドモデルを提案する

悪い言語哲学入門 第3回 (和泉 悠)

言語行為論について
アスカの「あんた、バカぁ?」を例として
適合方向を持たない表出という言語行為もある

ウソツキの論理学(連載版)哲学的論理学入門 第4回「形式化、未完のプロジェクト」(矢田部俊介)

シミュレーションとしての形式論理学

哲学する人はどう呼ばれる(べき)か―梅原猛ポジショントークから考える」(谷川嘉浩)

哲学をやってる人は「哲学者」を名乗る方がいいのか「哲学研究者」を名乗る方がいいのか、という話を、異分野の人と協力する際の観点から述べたコラム
哲学者自身は、ある種の謙遜とかから「哲学研究者」と名乗りがちだけど、分野外の人からは変な含意もたれちゃうから「哲学者」と名乗った方がいいという話