認知科学・神経科学・意識研究

乾敏郎『感情とはそもそも何なのか』

日本語で読める本で、自由エネルギー原理についてわりと詳しく説明している本だと聞いて、読んでみた で、そのあたりがまとまっていてとても面白かった 筆者は、マー『ビジョン』の翻訳者でもあり、川人光男とも共同研究していたりする人。認知神経科学者? …

エリック・R・カンデル『なぜ脳はアートがわかるのか―現代美術史から学ぶ脳科学入門』

神経科学の大家であるカンデルが、主に抽象絵画を対象に、芸術と神経科学を結びつけて論じている本。 なお、カンデルは、美術と神経科学について他にも著作がある。もともと、記憶や学習について研究しており、それでノーベル賞も受賞しているが、芸術との関…

クリス・フリス『心をつくる――脳が生み出す心の世界』

人間の様々な心的現象を、脳が予測によって作り上げたモデルによるものとして説明する 近年、急速に、脳と心の理論として台頭しつつある予測コーディング理論だが、2008年(原著)と10年前に書かれた本書は、既にそのような立場からまとめあげられた入門書と…

大平英樹「予測的符号化・内受容感覚・感情」

予測コーディング理論を感情もふくめて脳の統一モデルとして考える論文 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ems/3/1/3_ES3-0002/_pdf predictive codingに関連したいくつかの疑問 - 蒼龍のタワゴト-評論、哲学、認知科学-で紹介されていた。 予測コーディ…

デビッド・マー『ビジョン――視覚の計算理論と脳内表現――』(一部)

計算論的神経科学の古典ということで一応手に取ったが、第1部とエピローグをざっと眺めたのみ。 原著が出たのは1982年とクレジットされているが、訳者あとがきによると、著者のマーは1980年に35歳で白血病により亡くなっているらしい。「はじめに」には、「…

『シリーズ新・心の哲学3意識篇』(佐藤論文・太田論文)

心の哲学、特に意識にかかわる話題の論文集。その中から、予測コーディング理論を取り上げている佐藤論文と、現象的意識の統一性について論じている太田論文のみをとりあえず読んだ。シリーズ 新・心の哲学II 意識篇作者: 信原幸弘,太田紘史出版社/メーカー:…

甘利俊一『脳・心・人工知能』

数理的神経科学の入門書的な本(講談社ブルーバックス) (数理的ないし理論的)脳科学研究と人工知能研究の歴史を、個人的な研究史と絡めながら概説してくれている。 この本が出たばかりの頃、ちらっと見て、まあこのジャンルの概論なら心の哲学関連でも眺…

リチャード・グレゴリー『脳と視覚――グレゴリーの視覚心理学』(一部)

神経科学関係の勉強 - logical cypher scapeで書いた、飯島さんの発表の中で、グレゴリーの「仮説としての知覚」という考え方が言及されていたので、とりあえず眺めてみた。 章立てを見れば分かるが、基礎的なところから視覚についての概論を行っている教科…

理化学研究所脳科学総合研究センター編『つながる脳科学』(一部)

神経科学関係の勉強 - logical cypher scapeで、神経科学関係をざっと漁ろうと思ったので、これの一部だけ読んだ。 オプトジェネティクス(光遺伝学)の登場率が高い。画期的な方法だったようだ。 第1章 記憶をつなげる脳 理化学研究所脳科学総合研究センタ…

神経科学関係の勉強

科学基礎論学会の「源河亨著『知覚と判断の境界線 :「知覚の哲学」基本と応用』合評会」において、飯島さんの発表から興味を惹かれて(美学会・科学基礎論学会・科学哲学会 - logical cypher scape)、ちょっと神経科学関係についてざっとあさってみたくなっ…

『日経サイエンス2017年11月号』『Newton2017年11月号』『ナショナルジオグラフィック2017年10月号』

日経サイエンス2017年11月号 日経サイエンス 2017年11月号出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2017/09/25メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る 記憶をつくり変える 井ノ口 馨 連合記憶の話 記憶の脳神経メカニズムとして、記憶は、神経…

ジェシー・プリンツ『はらわたが煮えくりかえる』(源河亨訳)

サブタイトルは、「情動の身体知覚説」 認知科学、心理学、文化人類学などの情動研究に基づいた、情動についての哲学の本。 情動についての哲学とは、つまり、情動についての理論的・概念的な分析がなされているということ。そもそも情動とは一体何なのかと…

『日経サイエンス2017年3月号』

特集:脳を作る 脳を見る 実験室で誕生 脳オルガノイド J. A. ノブリヒ オルガノイドとは培養された臓器のこと 体細胞から幹細胞を作り、そのうち神経性外胚葉を培地で培養して、人間の脳のオルガノイドを作る研究 医学的な研究を目的としている。 マウスに…

ジュリオ・トノーニ/マルチェッロ・マッスィミーニ『意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論』

意識を経験科学的に測定するには一体どのようにすればよいのか、という本。 「統合情報量」という新たな物理量を提案し、これを測定することによって、意識の有無を調べることができるとする。 心・意識の科学に関する本を読むの、考えてみると結構久しぶり…

『日経サイエンス2015年11月号』

ちゃんと読んでなくて、ぱらっと眺めただけだけど、気になった記事だけメモ ゲノムに見えたタコの高度知能 これ、http://www.oist.jp/ja/news-center/press-releases/20839に対する解説記事なんだけど、特に、タコの認知機能について解明が進むだろうという…

浅田稔『ロボットという思想』

認知発達ロボティクスについての本。 CB2という、赤ちゃんを模したヒューマノイドは、一時期よく写真を目にしたが、それを開発したプロジェクトに関わるものが主。 この本、出た当初から気になってはいたのけど、結局読まないままでいて、谷口忠大『記号創発…

谷口忠大『記号創発ロボティクス』

ベイズによる学習を使って、カテゴリーや言語を自律的に獲得させるロボットを作ることで、「知能とは何か」という問題にアプローチするという本。 作ることで対象を理解する、いわゆる構成論的アプローチについても一章を割いて解説している。 経験的なデー…

スティーブン・ミズン『心の先史時代』

スティーヴン・ミズン『歌うネアンデルタール』 - logical cypher scapeの著者による、認知考古学の観点から人類の心の進化について論じた本。 本書のポイントとなる概念は「認知的流動性」であり、これは『歌うネアンデルタール』でも出てきたものだが、そ…

大津由紀雄・波多野誼余夫編著『認知科学への招待』

optical_frogさんが、語用論についての解説としておすすめしていたので flip out circuits: 文献メモ:西山 (2004)「語用論と認知科学」 これだけ読むつもりだったけど、他にも面白そうなのがあったのでいくつかの章を読んだ。 あとは斜め読み。 章ごとに書…

スティーブン・ピンカー『心の仕組み』

ちくま学芸文庫になったのでそっちの方で読んだ。 心の科学についてまとまって読める。 すなわち、認知科学(心の演算理論)と進化生物学(自然淘汰による進化論)が合体した進化心理学による、心の説明である。 心は進化によってデザインされた演算装置であ…

岡ノ谷一夫『小鳥の歌からヒトの言葉へ』

2010年にこれの新版が出ているのだけど、それに気付いていなかったのと、図書館に置いてなかったのから、2003年に出た旧版の方を読んだ。 筆者のジュウシマツ研究についてまとめられている。 内容も面白かったけれど、事細かに、この実験は学部4年の誰それ…

ディラン・エヴァンズ『感情』

感情は、理性的な判断を妨げるものと思われがちだが、実はそうではない。感情は「合理的」判断をするのに必須のものである、というのを基本スタンスに、感情にまつわる色々なトピックを紹介している本。 面白かったところだけピックアップ 3章 幸福への近道…

ゲアリー・マーカス『心を生み出す遺伝子』

氏か育ちか対立に対して、どっちもだよということを言っている話。 基本的な話は、まあ遺伝子のことをある程度知っていれば知っていることが多いかな、という感じ。 そんな中で、へえと思ったことは 遺伝子は思った以上にリアルタイムに機能していること。生…

ジェラルド・M・エーデルマン『脳は空より広いか』

脳神経科学者エーデルマンによる、「意識」についての研究の一般向け啓蒙書。 基本的には、全くその通りだよなあと思いつつ読んだけれども、うむむまだよくわからんなーという部分もあった。 とりあえず、まずは本の内容をざっと紹介。 意識について エーデ…

ジョン・ハリソン『共感覚』

話しかけるような文体で進んでいくので読みやすい。 心理学の基本的な考え方なども分かる。 心理学の基礎→共感覚について、という構成ではなくて、共感覚について話ながら、必要になれば基礎的な話を適宜行うという構成なので、読んでいる分には非常に楽なの…

アントニオ・ダマシオ『感じる脳』

これは面白かった! 感情とは一体何かということについて、かなり踏み込んで仮説を構築している感じがする。 具体的な部分について、まだ分かっていないところがあるとも言っているが、大まかなアウトラインはできている。 何よりも、感情とは内部状態につい…

スーザン・ブラックモア『「意識」を語る』

哲学者、心理学者、神経科学者などなどの「意識」研究者へのインタビュー集。 著者のスーザン・ブラックモアは、『ミーム・マシンとしての私』の著者。僕は、このタイトルと名前しか知らなかったので、てっきり生物学者か何かだと思っていたので、訳者解説を…

下條信輔『サブリミナル・インパクト』

作者の9年ぶりの一般向け書籍。あとがきによると、「(一般向けの本の)十年間断筆宣言」をしていたらしいので、ほぼ宣言通りということか。 一般向けの本書き始めたら学者はやばいなどという話もあるが、下條信輔は何というかそこの絶妙なバランスを保とう…

ニコラス・ハンフリー『赤を見る』

ちょっと装丁がかっこいい、心理学と心の哲学の本。 著者のハンフリーは、イギリスの心理学者だが、現在は哲学の教授もやっているらしく、この本も心理学者の本というよりは哲学者の本という感じに出来上がっている。 というのは、この本は、心理学の実験結…

坂井克之『心の脳科学』

脳機能イメージングによる研究をしている著者による、脳科学入門。 今、ここまでわかってきていて、ここから先がわからないということがわかる。筆者自身が、こんなにわかってきたのか、まだこんなにわかっていないのかということを思いながら読めるのではな…