認知科学・神経科学・意識研究

浅田稔『ロボットという思想』

認知発達ロボティクスについての本。 CB2という、赤ちゃんを模したヒューマノイドは、一時期よく写真を目にしたが、それを開発したプロジェクトに関わるものが主。 この本、出た当初から気になってはいたのけど、結局読まないままでいて、谷口忠大『記号創発…

谷口忠大『記号創発ロボティクス』

ベイズによる学習を使って、カテゴリーや言語を自律的に獲得させるロボットを作ることで、「知能とは何か」という問題にアプローチするという本。 作ることで対象を理解する、いわゆる構成論的アプローチについても一章を割いて解説している。 経験的なデー…

スティーブン・ミズン『心の先史時代』

スティーヴン・ミズン『歌うネアンデルタール』 - logical cypher scapeの著者による、認知考古学の観点から人類の心の進化について論じた本。 本書のポイントとなる概念は「認知的流動性」であり、これは『歌うネアンデルタール』でも出てきたものだが、そ…

大津由紀雄・波多野誼余夫編著『認知科学への招待』

optical_frogさんが、語用論についての解説としておすすめしていたので flip out circuits: 文献メモ:西山 (2004)「語用論と認知科学」 これだけ読むつもりだったけど、他にも面白そうなのがあったのでいくつかの章を読んだ。 あとは斜め読み。 章ごとに書…

スティーブン・ピンカー『心の仕組み』

ちくま学芸文庫になったのでそっちの方で読んだ。 心の科学についてまとまって読める。 すなわち、認知科学(心の演算理論)と進化生物学(自然淘汰による進化論)が合体した進化心理学による、心の説明である。 心は進化によってデザインされた演算装置であ…

岡ノ谷一夫『小鳥の歌からヒトの言葉へ』

2010年にこれの新版が出ているのだけど、それに気付いていなかったのと、図書館に置いてなかったのから、2003年に出た旧版の方を読んだ。 筆者のジュウシマツ研究についてまとめられている。 内容も面白かったけれど、事細かに、この実験は学部4年の誰それ…

ディラン・エヴァンズ『感情』

感情は、理性的な判断を妨げるものと思われがちだが、実はそうではない。感情は「合理的」判断をするのに必須のものである、というのを基本スタンスに、感情にまつわる色々なトピックを紹介している本。 面白かったところだけピックアップ 3章 幸福への近道…

ゲアリー・マーカス『心を生み出す遺伝子』

氏か育ちか対立に対して、どっちもだよということを言っている話。 基本的な話は、まあ遺伝子のことをある程度知っていれば知っていることが多いかな、という感じ。 そんな中で、へえと思ったことは 遺伝子は思った以上にリアルタイムに機能していること。生…

ジェラルド・M・エーデルマン『脳は空より広いか』

脳神経科学者エーデルマンによる、「意識」についての研究の一般向け啓蒙書。 基本的には、全くその通りだよなあと思いつつ読んだけれども、うむむまだよくわからんなーという部分もあった。 とりあえず、まずは本の内容をざっと紹介。 意識について エーデ…

ジョン・ハリソン『共感覚』

話しかけるような文体で進んでいくので読みやすい。 心理学の基本的な考え方なども分かる。 心理学の基礎→共感覚について、という構成ではなくて、共感覚について話ながら、必要になれば基礎的な話を適宜行うという構成なので、読んでいる分には非常に楽なの…

アントニオ・ダマシオ『感じる脳』

これは面白かった! 感情とは一体何かということについて、かなり踏み込んで仮説を構築している感じがする。 具体的な部分について、まだ分かっていないところがあるとも言っているが、大まかなアウトラインはできている。 何よりも、感情とは内部状態につい…

スーザン・ブラックモア『「意識」を語る』

哲学者、心理学者、神経科学者などなどの「意識」研究者へのインタビュー集。 著者のスーザン・ブラックモアは、『ミーム・マシンとしての私』の著者。僕は、このタイトルと名前しか知らなかったので、てっきり生物学者か何かだと思っていたので、訳者解説を…

下條信輔『サブリミナル・インパクト』

作者の9年ぶりの一般向け書籍。あとがきによると、「(一般向けの本の)十年間断筆宣言」をしていたらしいので、ほぼ宣言通りということか。 一般向けの本書き始めたら学者はやばいなどという話もあるが、下條信輔は何というかそこの絶妙なバランスを保とう…

ニコラス・ハンフリー『赤を見る』

ちょっと装丁がかっこいい、心理学と心の哲学の本。 著者のハンフリーは、イギリスの心理学者だが、現在は哲学の教授もやっているらしく、この本も心理学者の本というよりは哲学者の本という感じに出来上がっている。 というのは、この本は、心理学の実験結…

坂井克之『心の脳科学』

脳機能イメージングによる研究をしている著者による、脳科学入門。 今、ここまでわかってきていて、ここから先がわからないということがわかる。筆者自身が、こんなにわかってきたのか、まだこんなにわかっていないのかということを思いながら読めるのではな…

「脳から見た心の世界 Part3(別冊日経サイエンス)」

他人を映す脳の鏡 ミラーニューロンの話。イタリア・パルマ大学の研究グループによる。 任意の動作において発火するニューロンなのだが、自分がその動作をやるときでも、相手がその動作をやるときでも発火する。 心の理論とか、共感とか、言語とかに関連して…

『書きたがる脳―言語と創造性の科学』アリス・W・フラハティ

書きたがる脳 言語と創造性の科学作者: アリス・W・フラハティ,茂木健一郎,吉田利子出版社/メーカー: ランダムハウス講談社発売日: 2006/02/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 61回この商品を含むブログ (28件) を見る内容について書く前に、余談。 原…

『サブリミナル・マインド』下條信輔

人間は、自分のこともあんまり自覚できてない、という話。 『ユーザー・イリュージョン』なんかと共に読むと、非常に面白いかと。 人間の「意識」というのは、けっこうショボい。 物事を知覚したり、判断したり、という情報処理のほとんどは、「無意識」「閾…

『こころの情報学』西垣通

こういう学問を、一体なんて呼べばいいのか分からないのだけど、まあこういう学問の入門書としてはすごくよくまとまっている本。 新しい発見は少なかったけれど、今まで読んだり考えたりしてきたことを整理するのに役に立った。 これだけの内容を、特にジャ…

『<意識>とは何だろうか』下條信輔

「来歴」と「環境世界」という二つの軸から、脳と心・意識の関係を探る。また、このアプローチによって、経験説と生得説、あるいは機能主義と行動主義の和解・融合をも目指す。脳科学などにおいて、心をやるのに神経の機能だけみてても仕方がない、という立…