『日経サイエンス2017年11月号』『Newton2017年11月号』『ナショナルジオグラフィック2017年10月号』

日経サイエンス2017年11月号

記憶をつくり変える  井ノ口 馨

連合記憶の話
記憶の脳神経メカニズムとして、記憶は、神経細胞の集団=セルアセンブリとして符号化されている。何か活動しているときに、あるセルアセンブリが活性化する。その時のことを思い出すときも、そのセルアセンブリが活性化する。
マウスの実験で、マウスを丸い部屋に入れて丸い部屋についての記憶を形成させるのと、何かどこか見知らぬ部屋に入れて電気ショックを与えて、電気ショックの恐怖についての記憶を形成させる。
それぞれ別の記憶なので、丸い部屋に入れても特になんも反応しない。
しかし、丸い部屋の記憶に関するセルアセンブリと、電気ショックの恐怖の記憶に関するセルアセンブリを同時に活性化してやってから、丸い部屋に入れると、電気ショックの恐怖の記憶を同時に思い出して、身をひるませる反応をみせる。
こうして、新しい連合記憶を生み出すことができる。
この時、セルアセンブリを活性化させるために使われている技術が、光遺伝学
また、光遺伝学では、活性化ではなく抑制させる技術も同様にあって、そっちを使うと、連合していた記憶が分離する。
記憶の連合メカニズムとしては、それぞれのセルアセンブリの中でオーバーラップする細胞があって、それが増えていくことで連合する、ということが分かってきたということらしい。
何か強烈な出来事があって、その出来事の前後の些細な出来事も覚えている、というようなケースについても、その脳神経メカニズムが解明されている。


これは結構すごい話だよなあ
ところで、以前、ATRでも記憶を操作する技術の話があったはず。あっちも、技術として光遺伝学を使っていた。あと、ニューロフィードバックとかなんとか

カッシーニ土星探査13年  C. ポルコ

タイトル通り、カッシーニの探査を振り返る記事
やはり、タイタンやエンケラドゥスの話が主
もともと4年のミッションが、13年前で延長された。13年やっても、0.5土星年なんだなーと
でも、そのおかげで、様々なシーズンの土星を観測することができた、と。
衛星イアペトゥスの話、知らなかったので面白かった
白と黒の2色になっている。片方はアルベドが上がってさらに気温が下がって、もう片方はアルベドが下がって気温が上がっていくことによって、2色に分かれた、と。

誰が作ったのか? 最古の石器発見で揺らぐ定説  K. ウォン

ケニアのロメクウィ3遺跡で、330万年前から発見された石器について。
従来は、300〜200万年前に石器が作られるようになって、それがホモ属とそれ以外のホミニンを分ける分水嶺になったと考えられていた(オルドヴァイ型石器の話とか)。
それが、330万年前から発見されて、しかもホモ属じゃないかもしれない、と。
誰が作ったのかはわからないのだけど、アウストラロピテクス・アファレンシスかケニヤントロプスかとか考えられているらしい。
ただ、近年の類人猿の調査などから、ホモ属とそれ以外のホミニンとの差がそれほど離れていなくて、原始的な石器なら作れたかもしれない、となってきている、と。
しかし、では何が違ったかというと、情報伝達の精度が違って、石器ができてもそれが長期的に伝わっていかないとかなんとか

ダンスの進化 人はなぜ踊るようになったのか  T. シンガー

他の個体と同調する能力の話とか、二足歩行能力の話とか
色々、ダンスの進化にかかわる研究とか仮説とかの話
ダンスがなんで進化したか明らかにするのは結構難しい、ということだった

クルマ社会から駐車場をなくす  C. ラッティ/A. ビダーマン

自動運転、カーシェア、ライドシェア(相乗り)で、自動車利用の効率化がどんどん図られるようになっていくのではないか、と
理論的には、カーシェアとライドシェアをすすめると、今ある車を20%まで減らせるとか。
一方で、ちゃんと標準化しないとうまくいかないよねーとか、郊外化が進むのではとか、逆に車の稼働率が高まって大気汚染が進むのではとか、デメリットの可能性にも触れられている。
自動運転が進むことで起きる交通の変化の一例として、信号機のない交差点であるスロット交差点について。
スロット交差点とは、進入してくる車に対してスロットを割り当てていく。飛行機の滑走路のようなもの。

(追記20171019)太古の地球を月から探る

公式アカウントが流してて、あれこの記事読んでないなと思って確認した。
太古の地球を月に探る〜日経サイエンス2017年11月号より | 日経サイエンス
リンク先、おそらく本誌の記事をそのまま掲載している。
地球の磁気圏が、太陽風を遮って月を覆う時に、地球の酸素イオンが月まで流出しているらしい。
何かこの話見覚えあるなと思って検索したら、https://twitter.com/sakstyle/status/826225739561209856
があった。
太古の地球云々は、もしかしたらそうやって月まで流出してった酸素の中に、太古のものが保存されているの「かも」という話のようだ。

Newton2017年11月号

宇宙にあふれる系外惑星 第1回 想像を絶する惑星たち!

異形の惑星特集
カラーイラストがあって楽しい
巨大な輪を持つ惑星のイラストが特に目をひいた
不規則な減光が観測されて、それが巨大な輪なのではないか、と(ただしそれは一回だけの観測なのでまだ確定ではない)
異様に巨大なので、非常に不安定なはずで、シミュレーションしてみたら、惑星の自転と逆方向に回転してたら安定するとの結果が。
他には、中心星に近すぎて、4000度もある惑星とか
さらには中心星に落下していく惑星とか
エキセントリック・ジュピターとか
中心星が連星で、さらにその近くにもう一つ連星系があって、太陽が4つある惑星とか

謎多きマンタを追って

写真をパラパラと見た

ナショナルジオグラフィック2017年10月号

天然ガスとトナカイの民

シベリアのトナカイ遊牧民ネネツについての記事
ソ連時代から支配を受けていた民だが、最近は、地球温暖化などによっても生活がおびやかされており、さらに、天然ガス開発が追い打ちをかけている。
パイプラインや車道が設置されることで、遊牧ルートがふさがれてしまうという問題が起きている。
開発会社は、ある一定の期日、時間だけ、交通止めして、車道にそりが通りやすいような布を敷いて、共存をはかっている。
子供たちが、パイプラインを「銀のドラゴン」と呼んでいるというキャプションがついていたのが印象に残った。