哲学

マイケル・ワイスバーグ『科学とモデル――シミュレーションの哲学入門』(松王政浩 訳)

科学におけるモデルとは何か、ということについての科学哲学の本。 モデルの分類、モデルとは何であるのか、モデリング行為とはどのようなことをしているのか、といったことが主に論じられている。 具体例が豊富で、科学者が実際に何をやっているのかという…

スティーヴン・マンフォード、ラニ・リル・アンユム『哲学がわかる 因果性』(塩野直之・谷川卓訳)

因果性の哲学の入門書 因果性とは一体何なのか、ヒュームからスタートして、様々な哲学上の学説を紹介・解説していく。 筆者らが、傾向性主義の立場に立っているため、最終的にはその立場にたどり着くようにできている。 訳者解説にあるが、おおむね2〜5章…

『現代思想2017年12月臨時増刊号 総特集=分析哲学』

多岐にわたるトピックを扱っていて、普段あまり触れてないジャンルについても知ることができてよかった。 個人的には、倉田さんの社会存在論、井頭さんの自然主義、佐藤さんの倫理学あたりが特に、勉強になったなー面白いなーという感じだった。 今回、特徴…

倉田剛『現代存在論講義2 物質的対象・種・虚構』

倉田剛『現代存在論講義1 ファンダメンタルズ』 - logical cypher scapeの続刊 1巻が総論だとしたら、2巻は各論と述べられており、サブタイトルにある通り、「中間サイズの物質的対象」(構成や通時的同一性の話)、「種」、「可能世界」、「虚構的対象」が…

『シリーズ新・心の哲学3意識篇』(佐藤論文・太田論文)

心の哲学、特に意識にかかわる話題の論文集。その中から、予測コーディング理論を取り上げている佐藤論文と、現象的意識の統一性について論じている太田論文のみをとりあえず読んだ。シリーズ 新・心の哲学II 意識篇作者: 信原幸弘,太田紘史出版社/メーカー:…

『ワードマップ心の哲学』(一部)

前半は、心の哲学入門としてオーソドックスな項目が並ぶが、加えて、倫理学や美学などの隣接領域とオーバーラップするような項目や、これまでの入門書ではなかなか取り上げられていなかったような近年の知見、さらにこの手の本として珍しいのは、精神医学と…

美学会・科学基礎論学会・科学哲学会

10月から11月にかけて参加した学会 とりあえず、どの題目を聞いたくらいはメモっておくことにした 第68回美学会全国大会(@國學院大学) 大会プログラム 10/7 研究発表 松粼俊之(石巻専修大学) 表象的特性としての知覚的クオリアと美的クオリア―フレーゲ…

『フィルカルVol.2No.2』

「分析哲学と文化をつなぐ」雑誌、通算4号 これまでただの一読者として読んできて、自分が投稿するとかは全然考えていなかったのだけど、気付いていたら投稿していた。 というわけで、シノハラユウキ「メディアを跨ぐヴィヴィッドな想像」が掲載されていま…

D・ルイス『世界の複数性について』(出口康夫監訳、佐金 武・小山 虎・海田大輔・山口 尚 訳)

様相実在論についての本 D.ルイスの本は、以前、デイヴィッド・ルイス『反事実的条件法』 - logical cypher scapeも読んだ 『フィクションは重なり合う』の構想段階で、タイトル案として『虚構世界の複数性について』というものも考えていたので、やはり読ま…

藤川直也『名前に何の意味があるのか 固有名の哲学』

固有名について、それがどのように指示を行っているかの哲学的説明と、「その意味は指示対象に尽きる」というミル的な立場から、ミル説への反論として持ち出される問題について解決を図る本。 固有名の哲学というと、ラッセルの記述説とクリプキの直接指示説…

金杉武司「自己知と自己認知」(『シリーズ新・心の哲学1認知篇』)

『シリーズ新・心の哲学』の中で、とりあえず自己知の章だけ読みたかったのでそれだけ。 ただ、他の章も気になったものがあるので、後日また読むかもしれない。 第1章は、フォーだーの思考の言語説(LOT)及び概念原子論とそれに対する認知心理学のプロ…

鈴木貴之『ぼくらが原子の集まりなら、なぜ痛みや悲しみを感じるのだろう』

サブタイトルは「意識のハード・プロブレムに挑む」 意識の自然化に挑むものであり、「本来的表象はすべて意識経験である」という「ミニマルな表象理論」を展開する。 結論部に筆者の主張がまとめられているので、一部を以下に引用する。 ◎意識経験は全て知…

清塚邦彦『フィクションの哲学 改訂版』

新章が追加されたということで、取り急ぎそこの部分だけ読んだ。フィクションの哲学 〔改訂版〕作者:邦彦, 清塚発売日: 2017/06/24メディア: 単行本 第七章 フィクションの意義と意味 この章のタイトル、目次だけ見てた時、どういうことかわかってなかったん…

ジェシー・プリンツ『はらわたが煮えくりかえる』(源河亨訳)

サブタイトルは、「情動の身体知覚説」 認知科学、心理学、文化人類学などの情動研究に基づいた、情動についての哲学の本。 情動についての哲学とは、つまり、情動についての理論的・概念的な分析がなされているということ。そもそも情動とは一体何なのかと…

源河亨『知覚と判断の境界線』

サブタイトルは、「「知覚の哲学」基本と応用」であり、そのタイトル通り、知覚の哲学の基本から始まり応用問題に至る。著者の博士論文を元にした著作であり、既存の理論の紹介だけでなく、後半では、著者による「高次モード知覚説」が論じられることとなる…

倉田剛『現代存在論講義1 ファンダメンタルズ』

以前、紀要で書かれていた倉田剛『「現代存在論入門」のためのスケッチ』 - logical cypher scapeが、待望の著作としてまとめられた本 元論文と同様の箇所ももちろんあるが、第二講義のメタ存在論の章など、元論文にはなかったトピックなども増えている。 基…

WS「クワイン以後のメタ存在論」@第76回日本哲学会

とりあえず、行ってきたよというメモのみ 日本哲学会は土日に行われていたが、一部WSが金曜の夜に開催していてそれに参加。土日の方は行ってない。 会場が、一橋のマーキュリータワーという建物だったんだけど、タワーというからには近代的な高層ビルなのか…

SEP「科学におけるモデル」ほか

Models in Science (Stanford Encyclopedia of Philosophy) 部分的に眺めたので、その時に書いたメモを放っておく SEP「科学におけるモデル」 意味論 世界の一部(ターゲットシステム)についてのモデル 現象のモデル モデルってそもそもどういう種類の表象…

ネルソン・グッドマン『芸術の言語』(戸澤義夫・松永伸司訳)

待望の邦訳 原著についてはネルソン・グッドマン『Languages of Art』 - logical cypher scapeというか、超文フリにて新刊『筑波批評2013春』! - logical cypher scapeでレジュメをまとめたので、こちらの記事では内容まとめません。 ただまあ、やはり…

『フィルカルVol.2No.1』

分析哲学と文化をつなぐ雑誌 通算3冊目で、特集はアイドルだけど、それ以外にも、フィクション作品による哲学とは何かとか、ゲーム『超攻合神サーディオン』論、「意図の誤謬」翻訳などが載っていて、濃い内容となっている。 フィルカル Vol. 2, No. 1 | ph…

『現代思想2017年3月臨時増刊号 総特集=知のトップランナー50人の美しいセオリー』

各分野の著名人・専門家50人に「お気に入りの、深遠で、エレガントで、美しいセオリーは何か?」に答えてもらう企画 もともと、『知のトップランナー149人の美しいセオリー』という海外の本があって、それの日本版というもの。元ネタの方は読んでない。 生物…

ロバート・P・クリース『世界でもっとも美しい10の科学実験』

古代から現代まで、物理学における「美しい」科学実験について紹介するとともに、科学実験における美についての哲学的エッセイがまとめられている本 筆者の専門は哲学・科学史で、『フィジックス・ワールド』誌でコラムを担当している。 ちなみに、訳は青木…

科学における美とは何か

といった大上段な問いに答える用意はないのだが、ロバート・P・クリース『世界でもっとも美しい10の科学実験』 - logical cypher scapeと『現代思想2017年3月臨時増刊号 総特集=知のトップランナー50人の美しいセオリー』 - logical cypher scapeとを連続…

稲葉振一郎『宇宙倫理学入門』

サブタイトルは「人工知能はスペースコロニーの夢を見るか」 宇宙倫理学、というのは応用倫理学の一分野として近年新たに生まれつつある分野であり、実際のところ様々なテーマが考えられる分野だが、この本では、「リベラリズムという立場において許容できる…

『フィクションは重なり合う』kindle版リリース!

フィクションは重なり合う: 分析美学からアニメ評論へ作者: シノハラユウキ出版社/メーカー: logical cypher books発売日: 2016/05/02メディア: Kindle版この商品を含むブログ (6件) を見るKindle ダイレクト・パブリッシングサービスを利用して、販売を開始…

森元良太・田中泉吏『生物学の哲学入門』

哲学的観点から、主に進化論・進化の総合説を主軸に生物学史を追っていくような形の教科書 普通に生物学の勉強になった。 これ、もちろん明らかに「生物学の哲学」の本だと思うし、読んでいて結構「哲学者っぽい書き方だな」と感じるところはあるんだけれど…

『フィルカルvol.1no.2』

「分析哲学と文化をつなぐ」雑誌第2号 『フィルカルVol.1No.1』 - logical cypher scape フィルカル Vol. 1, No. 2 | philcul 哲学への入門 「自由論入門 第2回」(高崎 将平) 文化としての分析哲学 ●特集シリーズ:分析哲学とモダニズム 論文「モダニズム…

「宇宙倫理学研究会: 宇宙倫理学の現状と展望」

JAXA Repository / AIREX: 宇宙倫理学研究会: 宇宙倫理学の現状と展望 筆者は、呉羽真、伊勢田哲治、磯部洋明、稲葉振一郎、岡本慎平、神崎宣次、清水雄也、水谷雅彦、吉沢文武、 海外の研究と国内の研究がざっとまとめられていてよかった。宇宙倫理学と一言…

『フィルカルVol.1No.1』

「分析哲学と文化をつなぐ」雑誌として創刊されたもの 掲載論文、大体どれも面白くて、満足度高い。 フィルカル Vol. 1, No. 1 | philcul 哲学への入門 「自由論入門」(高崎 将平) 文化としての分析哲学 ●特集シリーズ 論考「分析哲学とモダニズム」(長田 怜…

野家啓一・門脇俊介編著『現代哲学キーワード』

全10章に分かれて、キーワードごとに解説されているガイドブック。 一つのキーワードあたり、基本的に1見開き2ページで書かれているのだが、内容はその2ページにぎゅっと濃縮されている感じ。 第1章 現代哲学の座標軸(野家啓一・門脇俊介) 第2章 論理…