哲学

『現代思想2017年3月臨時増刊号 総特集=知のトップランナー50人の美しいセオリー』

各分野の著名人・専門家50人に「お気に入りの、深遠で、エレガントで、美しいセオリーは何か?」に答えてもらう企画 もともと、『知のトップランナー149人の美しいセオリー』という海外の本があって、それの日本版というもの。元ネタの方は読んでない。 生物…

ロバート・P・クリース『世界でもっとも美しい10の科学実験』

古代から現代まで、物理学における「美しい」科学実験について紹介するとともに、科学実験における美についての哲学的エッセイがまとめられている本 筆者の専門は哲学・科学史で、『フィジックス・ワールド』誌でコラムを担当している。 ちなみに、訳は青木…

科学における美とは何か

といった大上段な問いに答える用意はないのだが、ロバート・P・クリース『世界でもっとも美しい10の科学実験』 - logical cypher scapeと『現代思想2017年3月臨時増刊号 総特集=知のトップランナー50人の美しいセオリー』 - logical cypher scapeとを連続…

稲葉振一郎『宇宙倫理学入門』

サブタイトルは「人工知能はスペースコロニーの夢を見るか」 宇宙倫理学、というのは応用倫理学の一分野として近年新たに生まれつつある分野であり、実際のところ様々なテーマが考えられる分野だが、この本では、「リベラリズムという立場において許容できる…

『フィクションは重なり合う』kindle版リリース!

フィクションは重なり合う: 分析美学からアニメ評論へ作者: シノハラユウキ出版社/メーカー: logical cypher books発売日: 2016/05/02メディア: Kindle版この商品を含むブログ (6件) を見るKindle ダイレクト・パブリッシングサービスを利用して、販売を開始…

森元良太・田中泉吏『生物学の哲学入門』

哲学的観点から、主に進化論・進化の総合説を主軸に生物学史を追っていくような形の教科書 普通に生物学の勉強になった。 これ、もちろん明らかに「生物学の哲学」の本だと思うし、読んでいて結構「哲学者っぽい書き方だな」と感じるところはあるんだけれど…

『フィルカルvol.1no.2』

「分析哲学と文化をつなぐ」雑誌第2号 『フィルカルVol.1No.1』 - logical cypher scape フィルカル Vol. 1, No. 2 | philcul 哲学への入門 「自由論入門 第2回」(高崎 将平) 文化としての分析哲学 ●特集シリーズ:分析哲学とモダニズム 論文「モダニズム…

「宇宙倫理学研究会: 宇宙倫理学の現状と展望」

JAXA Repository / AIREX: 宇宙倫理学研究会: 宇宙倫理学の現状と展望 筆者は、呉羽真、伊勢田哲治、磯部洋明、稲葉振一郎、岡本慎平、神崎宣次、清水雄也、水谷雅彦、吉沢文武、 海外の研究と国内の研究がざっとまとめられていてよかった。宇宙倫理学と一言…

『フィルカルVol.1No.1』

「分析哲学と文化をつなぐ」雑誌として創刊されたもの 掲載論文、大体どれも面白くて、満足度高い。 フィルカル Vol. 1, No. 1 | philcul 哲学への入門 「自由論入門」(高崎 将平) 文化としての分析哲学 ●特集シリーズ 論考「分析哲学とモダニズム」(長田 怜…

野家啓一・門脇俊介編著『現代哲学キーワード』

全10章に分かれて、キーワードごとに解説されているガイドブック。 一つのキーワードあたり、基本的に1見開き2ページで書かれているのだが、内容はその2ページにぎゅっと濃縮されている感じ。 第1章 現代哲学の座標軸(野家啓一・門脇俊介) 第2章 論理…

ジョン・パスモア『分析哲学を知るための哲学の小さな学校』

分析哲学の入門書ではあるが、タイトルや装丁からイメージされるような初心者向けの本ではなくて、3冊目以降くらいに読むのがちょうどよさそうな本。 分析哲学について全く知らなくて、一から始めたいというのであれば、 八木沢敬『分析哲学入門』 - logical…

デイヴィッド・ルイス「フィクションの真理」(樋口えり子訳)

以前読んだグレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第2章 - logical cypher scapeで、ルイス説についてまとめられていたけど、まあ当たり前だけど、大体同じだった。 マイノング主義ではうまくいかないことがあるので、「然々の…

科学基礎論学会WS「現実とフィクションの相互作用」「意識のハードプロブレムは解決されたか」科学哲学会WS「心の哲学と美学の接続点」

今月は2つ学会に行って、3つWSを聞いてきたので、簡単にメモ 科学基礎論学会秋の研究例会は、11月7日に東大駒場キャンパスで 日本科学哲学会は、11月21日・22日に首都大学東京で開催 科学基礎論学会WS「現実とフィクションの相互作用」 松本大輝「虚構的情動…

アポストロス・ドクシアディス、クリストス・パパデミトリウ『ロジ・コミックス』

サブタイトルは「ラッセルとめぐる論理哲学入門」 バートランド・ラッセルの半生を描くグラフィックノベル 著者の名前として、記事タイトルには、アポストロス・ドクシアディスとクリストス・パパデミトリウの名前を挙げたが、作画として、アレコス・パパダ…

吉川浩満『理不尽な進化』

進化論についての言説史的な(?)エッセー(?)。どういう本なのか一言で説明するのはちょっと難しいが、「何故非専門家は進化論について誤解するのか」「何故グールドは混乱した議論を展開したのか」という問いをたて、非専門家やグールドがアホだからと…

グレゴリー・カリー『フィクションの本性』("THE NATURE OF FICTION")第5章

フィクションとは、作者が読者にごっこ遊びさせる意図で作られたものであり、フィクションの内容を解釈するとは虚構的な作者の信念を解釈することである、というカリーの主張をもとにしたフィクションの哲学の本 5章で最後となる。 グレゴリー・カリー『フィ…

グレゴリー・カリー『フィクションの本性』("THE NATURE OF FICTION")第4章

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第1章 - logical cypher scape グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第2章 - logical cypher scape グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATU…

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第3章

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第1章 - logical cypher scape グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第2章 - logical cypher scapeの続き Chapter3. Interpretation 3.1. Relationalism …

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第2章

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第1章 - logical cypher scapeの続き Chapter2. The Structure of Stories 2.1. Truth in fiction and fictional worlds 2.2. Being fictional 2.3. Lewis's theory 2.4. More on make-b…

グレゴリー・カリー『フィクションの性質』("THE NATURE OF FICTION")第1章

ウォルトンのKendall L. Walton "Mimesis as Make-Believe :On the Foundations of the Representational Arts" - logical cypher scapeに引き続き*1、分析美学のフィクション論の本 まだ読んでいる途中で、とりあえず第1章の部分について 1990年初版、…

デイヴィッド・ルイス『反事実的条件法』

様相論理を用いて反事実的条件法を分析し、また様相実在論についても主張している本。 難しいと聞いていたので今まで敬遠していたが、いよいよ手に取ってみた。しかし噂に違わず難しかったので、かなり飛ばし読み。内容についてはあまり分からなかったが、と…

グレアム・プリースト『論理学』

岩波の「1冊でわかる」シリーズの奴。再読。一冊丸々じゃなくて、8割くらいの再読。 前半演繹、後半帰納。 神の存在証明の話とかちょくちょく出てくる 1 妥当性 2 真理関数 3 名前と量化表現 4 記述と存在 5 自己言及 6 必然性と可能性 7 条件文 8 …

植原亮『実在論と知識の自然化』

サブタイトルは、「自然種の一般理論とその応用」 自然種についての実在論の議論と認識論の自然化について書かれた博論の書籍化。 三部構成になっており、一部は自然種の一般理論、第二部はその応用で、生物種の存在論と人工物の存在論について、第三部は認…

八木沢敬『神から可能世界へ 分析哲学入門上級編』

分析哲学入門シリーズ、いよいよ上級編 八木沢敬『分析哲学入門』 - logical cypher scape 八木沢敬『意味・真理・存在 分析哲学入門中級編』 - logical cypher scape アンセルムスによる神の存在証明を分析哲学の観点から論ずるという形をとっており、帯や…

ラプラス『確率の哲学的試論』(内井惣七訳)

最近、科学哲学の本を読んでいて、やはり確率大事だなと思ったのと、戸田山『哲学入門』の参考文献で、訳者解説が確率の哲学入門となっていると紹介されていたので、読んだ。 ラプラスの書いた本編が160ページくらい、訳者解説が70ページくらいあるので、訳…

N.R.ハンソン『科学的発見のパターン』

ハンソンというと、観察の理論負荷性であり、この本でもそれについて扱っているわけだが、逆に言うとそれしか知らなかった。 科学哲学の入門書とか教科書とかを読めば、必ず名前が出てくるけれど、クワイン=デュエムのテーゼとクーンのパラダイム転換との間…

哲学書リスト

春秋社の現代哲学への招待シリーズ、はてどれくらい読んだのだろうかと気になったので、リストアップしてみることにした。 春秋社 現代哲学への招待 哲学者は何を考えているのか (現代哲学への招待Basics)作者: ジュリアンバジーニ,ジェレミースタンルーム,J…

アレックス・ローゼンバーグ『科学哲学』

科学哲学はやはり面白いなあ 科学哲学の面白さは、問題意識が哲学の中では比較的分かりやすい点にあるのではないか。 分析哲学の入門書を読むと、普通は、フレーゲの明けの明星と宵の明星がどうの、という話から始まる。あれは面白いけれど、最初に突然読ま…

戸田山和久『哲学入門』

「意味」とか「表象」とか「自由」とかいったような、あるのかないのかはっきりしないけどあると思われるものを、物理的世界像の中に位置づけようという、いわゆる自然主義・自然化プログラムの本 あるのかないのかはっきりしないけどあると思われるもの*1を…

エリオット・ソーバー『過去を復元する』三中信宏訳

難しかったので、途中で読むのを断念した……orz サブタイトルは「最節約原理,進化論,推論」 生物学哲学の本だが、科学哲学、生物体系学、統計学がある程度分かっていることが前提で、統計学の話がばかすか出てきたあたりで挫折 この本は、生物体系学の論争…