現代思想2019年5月臨時増刊号 総特集=現代思想43のキーワード


本屋で見かけたので少し眺めました。
目次は青土社 ||現代思想:現代思想2019年5月臨時増刊号 総特集=現代思想43のキーワードを参照
この中で多少目を通してみたのは「加速主義 / 仲山ひふみ」「反出生主義 / 戸谷洋志」「宇宙倫理 / 呉羽真」「ゲノム編集 / 八代嘉美」「エモい / 山田航」「Vaporwave / 銭清弘」「擬人化 / 松下哲也」
あとは、AIの項目書いている人が、科学史の人で人工知能研究史やっている人なんだなーとか、『ドローンの哲学』という本、そういえばあったなーとか、SF作家の樋口さんがポストアポカリプスの項目書いてるなーとか、

  • 反出生主義

反出生主義については、以前から同意できない気持ちがあり、こんなツイートをしたこともある


この記事で改めてまとめられいて、「苦は悪い」はいいとして「苦の不在はよい」と「快の不在は悪くない」の非対称性の議論が引っかかっているのかなあと思った。
その後、多少ググってみたら、このあたりを巡ってかなり色々な立場が入り乱れての論争になっているっぽい
まあ別に非対称でもいいのかもしれないが、「苦を減らすこと・なくすことはよい」とは思うが、「苦の不在」についてはよいのか悪いのか、俺にはよくわからない。

  • 宇宙倫理

『宇宙倫理学』は論文集であるため、個々のトピックについては論じていたが、そもそもどうして宇宙倫理なのか、ということに応えきれなかったと筆者
状況論の説明(民間企業の進出とか)や、従来の倫理学にとっても宇宙倫理というトピックから見直すべき点があるという話
で、最後に、科学基礎論学会シンポジウム「宇宙科学の哲学の可能性――宇宙探査の意義と課題を中心に」 - logical cypher scape2でも少し話がでていたが、地球についてのイメージが「ゆりかご」から「家」に変化していることを指摘。これが、宇宙進出したことによる人類の自己イメージの深化だとした上で、最近でも、宇宙開発を人類の必然として語る論があるけど、それはこのイメージの変化を全く踏まえていない、ということを指摘するのが宇宙倫理学の役割の1つと論じている。
参考文献の中に近刊があり、宇宙総合学研究ユニットで出している本があるっぽい

  • エモい


とか言ってたけど、よい記事だった
エモいという言葉は今はバズワードとなっているけれど、元がロックのジャンルの1つであるエモであるところから、「エモい」の変遷をたどっている
eastern youthなど、日本のエモが、わりと札幌出身が多いらしく(これも札幌のあるレコードショップがエモコアを入れてて云々みたいなのがあるらしい)、全然知らなかった。でもって、歌詞の中で初めて「エモい」が出てきた曲の歌詞も、郊外と地平線がどこまでも伸びる光景が描かれていて、筆者は、北海道的な想像力があるというようなことを書いていた
その後、ロック以外の音楽に登場する「エモい」も見ている。大森靖子の歌詞とかBiSのキャッチコピーとか。BiSにおける使われ方では、「萌える」と対置されて使われていたと指摘されているのも面白い(BiSは、萌えるではなくてエモい、みたいな内容のコピーのつけ方をしている)
さらに「エモい」という言葉の使い方への批判が、最初に若い世代から出てきたということとかを、落合陽一とかの「エモい」を「あはれ」の現代版として解釈するのとかとあわせて論じている


ちなみに(?)自分のtwilogを検索してみたところ、自分が「エモい」をtwitter上で使ったほぼ最初の例は、2012年に、MOGRAでのfu_mouさんのDJを聴いていた時っぽい

  • Vaprowave

最近、obakewebで、分析美学ブログとしてもめちゃくちゃ活躍されている銭清弘さんの記事
僕は、vaporwaveってちゃんと知ったのはobakewebでです