『心の哲学入門』金杉武司

心の哲学面白いなあ!
心の哲学についてもっと勉強したいなあ、と思った*1
今まで、ネットとかでかろうじて集めていた知識が、かなりはっきりと分かってきた。
やはり入門書というのはよいものだ。
心の哲学に関しては、基礎文献集とかあったけど、こういう入門書は今までなかったのではないだろうか、と思う。
心の哲学の入門書というと『ロボットの心7つの哲学物語』というのがあって、僕はこれを全然何も知らない*2頃に読んで、とても影響を受けた。
今になって再び読み返してみると、心の哲学について論じていたということが分かって、当時よりもさらに面白く読めた。パトナムとか出てくるし、ここで書いてあることが、どういう立場から書かれているのかが分かるようになったし。
この本は、心の哲学の基本的な流れをおさえている上に、さらに作者の柴田正良の考え方も書いてあって、それが非常に分かりやすく書いてあるので、とてもいい本なんだけど、この本のあと一体どこへ行けばいいのかが、ちょっと分からない。
さて、こちらの本は、最後のブックガイドがついている、という点でそこはおさえてある。
さらに『ロボットの心』が、「ロボットは心を持てるか」という一つの問いを巡って、少しずつ進んでいくのに対して
こちらは、心の哲学で問題になっている、5つの問題をそれぞれ取り上げている。まあ、順番に読んだ方がいいには違いないのだけど、必ずしもそれら5つの問題が一直線に並んでいるわけではない。
そして、それらの問題の中で、〜主義、〜主義というのが一体どういう主張なのかが説明されている。
だから、自分にとっては、心の哲学の中でも特にこの問題に興味があって、この〜主義が考えに近いかもなあ、ということが分かる。
そういうわけで、心の哲学マッピングするのに役立つ。
ただし、〜主義という言葉は出てくるものの、具体的に誰がいつ頃それを提唱したのか、ということは全く書かれていない。その点はちょっと不満なんだけど、今までネットとかで仕入れていた知識が役に立った(^^;


序章 「心とは何か?」という問い
第1章 心の因果性
第2章 心と意識
第3章 心の志向性
第4章 心の合理性
第5章 心の認識
おわりに

個人的に、面白いと思ったのは、心の志向性と心の認識の話。
心についてというと、意識のことがよく問題にされるのだけど、これを読んで、それほど興味を持たなかった。
ただ、心の認識のことを考える上では、意識についても考えておく必要があるとも思う。
志向性の問題は、心に留まらず、表象、表現にも関わってくる問題なのでかなり興味深い。
でも、どちらの話題も、ここから先は入門としては難しいので専門書読んでねって話を切られた。
そういえば、自由意志の問題とかは、この本では扱っていない(心の因果性のことを追求していくとそこに行き着くかもしれない。志向性の目的論的説明と進化論の話とか)。
あと、心の認識あたりについてだと、フロイトってやっぱすごかったんじゃないか、と思った。
自己認識に関して心の哲学の議論を進めていくと、もう一度フロイト精神分析理論を参照する必要が出てくるのではないか、と思ったり。


心の哲学入門

心の哲学入門

ロボットの心-7つの哲学物語 (講談社現代新書)

ロボットの心-7つの哲学物語 (講談社現代新書)

*1:ああしかし、一体僕はこれ以外の分野に関してもなんどそう思ったことか

*2:そもそもこの本に書かれているのが、哲学なのか科学なのかもよく分かっていなかった