【10/15〆切】2025オールタイム・ベストSFアンケート実施中!|Hayakawa Books & Magazines(β)
ハヤカワがこんなことをやっていると偶々知って、やってみることにした。
◆項目
以下の6項目を対象とする。
1、国内長篇ベスト5
2、国内短篇ベスト5
3、国内作家ベスト5
4、海外長篇ベスト5
5、海外短篇ベスト5
6、海外作家ベスト5
とりあえず、自分のブログのSFカテゴリ記事を順に眺めながら、「とりあえず、これかなあ」というのをピックアップして、第一次候補作を選び、そこからさらにベスト5を選んだ。第一次候補作を選ぶのは楽だったが、5つに絞り込むのはちょっと悩んだ。
単に5作品ないし5人選ぶのではなく、順位も付ける必要があるらしい。それもちょっと難しかった。
以下、項目別に、第一次候補作とした作品も含めて紹介する。
1、国内長篇ベスト5
1位 《筺底のエルピス》 オキシタケヒコ
2位 グラン・ヴァカンス 飛浩隆
3位 デカルトの密室 瀬名秀明
4位 破滅の王 上田早夕里
5位 オーラリメイカー 春暮康一
《筺底のエルピス》シリーズはまだ完結していないわけだけど、まあやっぱこれ滅茶苦茶面白いし、1位にしてしまえ、と。
『グラン・ヴァカンス』は説明不要として、『デカルトの密室』はロボットの心と小説の一人称形式というのを組み合わせているところが、自分には刺さった。
上田の代表作は『華竜の宮』や『深紅の碑文』だろうし、実際、そちらにするかどうか迷ったんだけど、『破滅の王』のラストが好きなのであえてこちらにしてみた。ところで、今改めて確認していて、直木賞候補作になっていたことを思い出した。なら、代表作って言って全く問題ないな。
春暮康一は、現時点で『一億年のテレスコープ』をまだ読めていないのが心残り。
選外として、月村了衛《機龍警察》シリーズも入れるかどうか悩んだのだが、最近の掲載媒体が『ミステリマガジン』なので、厳密にはSFではないのでは(そんなことはないのだが)という屁理屈をつけることで、泣く泣く切ることにした。
あとは、伊藤計劃『虐殺器官』とか小川一水『第六大陸』とか仁木稔《HISTORIA》シリーズとかも候補であった。
それから、このブログには載っていないが、個人的な思い出の作品として、井上夢人『パワー・オフ』を。中学生の頃に読んだのだけど、この時期はSFとか全く読んでいなかった(小学生の頃に星新一読んでいたけれど)。人工生命というものへの興味のきっかけとなった。
2、国内短篇ベスト5
1位 宮内悠介「盤上の夜」
2位 飛浩隆「ラギッド・ガール」
3位 倉田タカシ「二本の足で」
4位 石黒達昌「冬至草」
5位 小川哲「魔術師」
オールタイムベストと言われてぱっと思い浮かんだのは「盤上の夜」であったので、文句なしに1位
長篇と短篇でなるべく同じ作者が重ならないようにしてみたのだが、廃園の天使シリーズだけはそれは無理だった。
3位と4位は僅差。個人的には同着3位くらいの感じ。
5位に関していうと、実は結構迷った。
津原泰水「土の枕」「五色の舟」、伊藤計劃「The Indifference Engine」、伴名練「なめらかな世界と、その敵」、あるいは上田早夕里作品などである。
今、上田早夕里作品のみ特定の作品名を書かなかったが、第一次候補作品を挙げたとき、上田作品はかなり複数あがったのである。「魚舟・獣舟」のほか、『夢見る葦笛』収録作から複数作品を候補にした。しかし、それが逆に徒になったというか、その中から一つに絞り込めなかったこと、また、長篇の方で上田作品を選んだことから、今回泣く泣く上田作品は選外とした。
上田作品では「ナイト・ブルーの記録」「アステロイド・ツリーの彼方」「プテロス」など、人間じゃない存在と感覚をつなぐ系の話が好き
感覚拡張SFと勝手に呼んでいるが、「盤上の夜」もその類いだと思っている。
それから上田「氷波」と、藤井大洋「軌道の環」は、それぞれ土星、木星の違いはあれど、そこにダイブしていく話で、こういうのも好き。
それ以外には、藤野可織「いつかたったひとつの最高のかばんで」、麦原遼「それでもわたしは永遠に働きたい」、柴田勝家「クランツマンの秘仏」も候補に入れたが、この3作品はいずれも大森望編『ベストSF2021』 - logical cypher scape2収録作品。
3、国内作家ベスト5
オキシタケヒコについては、《筺底のエルピス》シリーズと『波の手紙が響くとき』の2大タイトル、それから他いくつかのSF短篇いずれも好きなので。『おそれミミズク』は未読だけど……
上田早夕里は、上述の通り、短篇ベストで一次候補には複数作品を挙げていたもののベスト5に残せなかったこともあり、また、長篇では『破滅の王』をベスト5入りさせたが、無論『華竜の宮』に始まるオーシャン・クロニクルシリーズも面白いわけで。
飛浩隆が本当に(1位、2位ではなく)3位でいいのか、というのは迷ったけれど、長篇・短篇ともにベスト5に入れたのでバランス調整してしまったところはある(全部門でランクインしたのに全部門で1位にできなかった。他の人が1位に入れてるでしょ、という意味でのバランス調整もある……)。
正直、順位付けずに同着にしたい
瀬名秀明は思い入れのある作家であり、ベスト5入りは確実なのだが、これまた思い入れのある作家が4位でいいのかという問題はある。どちらかといえば自分側の問題として、2010年代に発表された作品を全然読めておらず、トータルに判断できないというところ(それを言い出すと、上田や飛の作品だって読めてない作品全然あるのだが)。
自分がプロパーなSFジャンルに興味を持つようになったきっかけの一つが、伊藤計劃と円城塔のデビューであって、これまた、同着で2人をランクインさせたいところではあるのだが、既に5人の枠を使い切ってしまっており、これも悩んだ。
円城塔については、SF作家であるのは間違いないとしても、彼の活動ジャンルはSFに限ったものではなく、言ってしまえば、ジャンル円城塔みたいなところもなくはない、みたいな屁理屈をこねることによって、泣く泣く外すこととした。
(なんかこの記事、ベスト5に選んだ理由よりベスト5から外した理由ばっかり書いてないか?)
その他、候補としては、冲方丁、小川一水、小川哲、倉田タカシ、新城カズマ、春暮康一、伴名練、宮内悠介を挙げていた。
ところでここに挙げた候補作家は、基本的に、長篇、短篇いずれかで候補作品があがっている作家だが、冲方丁と新城カズマだけは作品レベルでは候補にあげていなかった。
冲方丁についていうと、圧倒的に《シュピーゲル》シリーズが好きなのだけど、あれはやっぱりライトノベルとして読むことに意味がある作品だと思っていて(ライトノベルとSFが排他的ではないとしても)、でも《マルドゥック》シリーズも含めて、SF作家としてベストに挙げておきたい人でもあるな、と
新城カズマについていうと、自分が読んでいる作品が少なくてというのがあるのだけど、一方で、その自分が読んだ多くはない作品の中や、あるいはSNSで書いていたりする未来予測が面白くて、SF作家としてベストに挙げたいと思った。
4、海外長篇ベスト5
1位 グレッグ・イーガン『ディアスポラ』
2位 キム・スタンリー・ロビンスン『グリーン・マーズ』
3位 パオロ・バチガルピ『ねじまき少女』
4位 アルカジイ&ボリス・ストルガツキー『ストーカー』
5位 ブルース・スターリング『スキズマトリックス』
上位3作品はまあ自分の中では特に問題なく
ロビンスンを《マーズ》三部作とするか、その中の一つである『グリーン・マーズ』にするか迷いつつ、結局後者に。
4位と5位については、今年読んだばかりの作品なので、今年読んだことによる印象の強さが作用しているのは否めないが、オールタイムベストにあげても全くおかしくない作品だろう。
選外としては、ほかにイアン・マクドナルド『火星夜想曲』もあった。
それから入れるかどうか迷いつつも、しかしSFど真ん中というわけでもないからなあという理由で外したものとして、イタロ・カルヴィーノ『レ・コスミコミケ』、クリストファー・プリースト『夢幻諸島から』、スティーヴン・ミルハウザー『マーティン・ドレスラーの夢』がある。
ミルハウザーについていうと、自分も別にSFと思って読んでいないんだけど、藤野可織作品をSFカウントするなら、ミルハウザーもカウントしておいた方がいいよなあと思って、一応一次候補作品に入れたのだった。
それから、基本的にブログに記録の残っている作品から選んでいるのだが、例外としてマイケル・クライトン『ジュラシック・パーク』がある。自分が生まれて初めて読んだSF小説なのではないか、と思われるので。章タイトルがフラクタル図形だったのが印象に残っている。
5、海外短篇ベスト5
1位 パオロ・バチガルピ「第六ポンプ」
2位 グレッグ・イーガン「孤児惑星」
3位 テッド・チャン「息吹」
4位 キム・チョヨプ「ローラ」
5位 ジョン・ヴァーリイ「ブラックホールとロリポップ」
「第六ポンプ」と「息吹」は説明不要だろう。
イーガンの「孤児惑星」は『ビット・プレイヤー』(2019)に収録されている作品である。イーガンというと「しあわせの理由」とか「ワンの絨毯」とかが有名だろう。あるいは「暗黒整数」とか。イーガンのベスト短篇として挙げることになるわけだが、「孤児惑星」でいいだろうかというのは悩んだ。しかし、やはり自由浮遊惑星を舞台にしたアストロバイオロジーSFというわけで、トップレベルに好きな作品なのには違いない。
キム・チョヨプは今年読んだばかりなのでそれにより印象が強く残っているということもあるが、それを除いても「ローラ」は優れた作品だと思う。題材も個人的に好きな感覚拡張SFに近い(拡張してるわけじゃないが。同じ短編集に収録されている「マリのダンス」も拡張していないけど感覚拡張SFの系統で面白い)。
同じく、最近読んだ作家として、サラ・ピンスカーも何か、というか「深淵をあとに歓喜して」を入れたかったのだけど、5つという限られた枠には入れられなかった。
ベスト5に入れた作家の他の作品でいうと、バチガルピは「フルーテッド・ガールズ 」、イーガンは「暗黒整数」「七色覚」、テッド・チャンは「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル 」、ヴァーリィは「カンザスの幽霊」とも迷った。
ベスト5に入れられなかった作家としてはケン・リュウは結構候補にあがってて「良い狩りを」「太平洋横断海底トンネル小史 」「ビザンチン・エンパシー 」とか。
それからアレステア・レナルズも何か入れたいと思いつつ、入れられず。「ダイヤモンドの犬 」とか「ジーマ・ブルー」とかを候補にあげていた。
それから、別にSFというわけでもないけれど広い意味ではSFかなという意味でスティーヴン・ミルハウザーから「映画の先駆者」とか。ミルハウザーは、いわゆる異常論文というか架空ノンフィクション風の作品がいくつかあって、それらはSFのサブジャンルかなと思うけど、その系統の作品。
6、海外作家ベスト5
1位 グレッグ・イーガン
2位 パオロ・バチガルピ
3位 ジョン・ヴァーリイ
4位 テッド・チャン
5位 アレステア・レナルズ
海外作家は、そもそも作家単位で読んでる人が少ないのであまり迷わず。
レナルズは、邦訳されてる作品はわりと読んでるんだけど、そもそも邦訳されてない作品が多い。