『DUNE/デューン 砂の惑星』

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による同名SF小説の映画化作品。
ヴィルヌーヴ監督作品というと、『メッセージ』 - logical cypher scape2、[
『ブレードランナー2049』 - logical cypher scape2]を見たことがあるが、映像化困難とされるSF作品請け負い監督のような位置づけになってきているように見える。
原作未読で、公開当初はそれほど興味も向いていなかったのだが、ちょっと見てみようかなと思って見てみた。
2部作として制作されており、パート2が今秋公開予定らしい。うまく予定を組めれば劇場で見たい気もする。
で、本作は2部作の前半にあたるので、物語自体は途中までとなる。知ってて見たので気にならなかったが、展開がわりとゆっくりなので、知らないで見ていると「これちゃんと終わるの?」→「終わらないじゃん!」ってなったと思う(ただ、冒頭で「Part1」という字幕はでる)。
ものすごく簡単なあらすじをいうと、アトレイデス公爵は、宇宙皇帝の命により、砂漠の惑星アラキスへと領地替えされるが、これは罠で、元々この惑星の領主であったハルコンネン男爵軍に襲撃され、公爵は殺される。で、主人公である公爵の息子ポールは、命からがら脱出し、アトラスの先住民=フレメンのもとへと赴く、というもの。
ポールとフレメンが合流することになるんだろうなーというのは、最初の方から示唆されるのだけど、フレメンがなかなか出てこない。というか、フレメンのところに受け入れられたところで終わるので、2時間半かけた長大なプロローグみたいな感じすらある。
というわけで、物語的には地味なところがあるが、映像的には、そこはやはり『メッセージ』『ブレードランナー2049』を手がけたヴィルヌーヴなので期待を裏切らない、というか、SFファンタジーな絵を色々見れて楽しい。トンボのような航空機であるソプターがやはり見ていて楽しかった。
あとは音楽。ブレランの時と同じ人が担当しているらしいが、今回もまた、(音楽なのかSEなのかよく分からないけど)ぶぉぉぉんって音がやたらと鳴り響いていて、ヴィルヌーヴ節なのかなあと思って聞いていた。


吹き替えで見たのだけど、アトレイデス公爵(主人公の父親)が森川で、主人公の剣術の師匠が芳忠さんだった。あ、あと、主人公の主治医がツダケン
っていうか、チャニって内田真礼だったのか、気付かなかった。
ダンカンかっこいいよダンカン(CV:安元洋貴


アラキスは砂漠の星なのだけど、この砂漠からは「スパイス」というのが産出していて、これが巨万の富をもたらす。
アラキスのスパイス採掘事業は、アラキスの領主であるハルコンネン男爵が独占していて、先住民であるフレメンを弾圧している。
フレメンは砂漠の民で勇敢な戦士たる人々。砂漠の中で生きるための様々な技術を有しているが、宇宙には進出していないっぽい。
一方、惑星カラダンの領主であるアトレイデス公爵は、他の領主たちからの信頼が厚いが、それゆえに宇宙皇帝から疎まれていた。皇帝は、アトレイデス公爵にアラキスへの領地替えを命じる。しかし、これはアトレイデスとハルコンネンを争わせて、アトレイデスを謀殺してしまおうという罠であった。
主人公のポールは、アトレイデス公爵とレディ・ジェシカのあいだの一人息子。
レディ・ジェシカは、アトレイデスの愛妾という位置づけらしいが、アトレイデスに他に正妻がいる・いたような描写は、少なくとも本作ではなくて、普通に見てると公爵夫人にしか見えない。
ただ、ジェシカはベネ・ゲゼリットという女性からなる謎の教団の一員なので、そのあたりの都合で妻ではないのかもしれない。彼女がベネ・ゲゼリットだというのはアトレイデスもポールも知っている。で、本来、ベネ・ゲゼリットの女子にだけ伝えられる「ボイス」という人の行動を操る能力を、ポールに密かに伝授している。
また、ポールは、未来視の夢を見るという能力も持ち合わせている。で、この夢の中で何度もフレメンの女性チャニの姿が出てくる。
アトレイデス公爵軍のダンカンは、ポールにとっては、頼れる兄的な存在であり、ダンカンもかわいがっている。ダンカンは、アラキス先遣隊に選ばれるが、ダンガンが死ぬ夢を見たポールはそれを止めようとする。
アトレイデス家の本隊がアラキスに到着後、先遣隊だったダンカンとも無事合流する。ダンカンはフレメンらとの交流を深め、砂漠でのサバイバル技術を極めていることに感銘し、すっかりフレメン贔屓となっている。
公爵とポールは、帝国の監察官であり研究者でもあるカインズ博士とともに、スパイス採掘の現場へと赴く。
このカインズ博士は帝国人だが、ほとんどフレメン同様の生活を送っている(フレメンの夫がいて死別しているらしい)。アトレイデスらに友好的ではあるけれど、ハルコンネンからの採掘装置の引継が雑だったことについては何もしていなかった。
採掘現場で、サンドワームの襲撃にあう。
このサンドワームという超巨大な蟲が、アラキスを特徴づけている。規則的な音に反応して襲いかかってくる、巨大な口をもった生き物。
この後、ハルコンネン男爵軍と皇帝親衛隊による夜襲がある。
捕縛されたアトレイデス公爵は、男爵に一矢報いるために毒をふきかけるも、公爵は死に、男爵は生き延びる。
ポールの主治医は、妻を男爵に人質にとられたために、公爵を裏切るが、公爵に対して男爵暗殺用の毒を渡したり、公爵の印や砂漠でのサバイバル用テントをポールに残したりする。
ポールとレディ・ジェシカはかろうじて脱出し、ダンカンやカインズ博士と合流。二人は命に代えて彼らを守り、二人は、砂嵐やサンドワームの潜む砂漠を越えて、フレメンの居住地へと辿り着く。
ポールは、そこでようやく、夢で見ていた女性とも知り合う。一方、ポールをうけいれることに最後まで反対したフレメンの男と決闘する。からくも勝利をおさめたポールは、フレメンにさらに奥地へと案内される。
終わり。


砂漠の民と地下資源というのは、露骨にアラブ世界を想起させるものだが、実際、原作はそうした影響を受けていて、それに対する批判もあるようだ。
Wikipediaを見るとそれこそポリティカルコレクトネス的批判もあるようだ(白人救世主の物語になってる点とアラブ系の俳優が起用されていない点)
なお、カインズ博士はアフリカ系の女優が演じている。フレメンの中にもアフリカ系っぽい人がいたような。