春暮康一『オーラリメイカー』 - logical cypher scape2が第7回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作だったのだが、「あれ、そういえば自分、今までハヤカワSFコンテスト受賞作ってそんなに読んでいないのでは?」「創元SF短編賞の方が読んでいる気がするなー」と思ったので、Wikipediaで受賞作を確認していたところ、その自己認識とは違って、大体同じくらい読んでいるようだったので、表にしてみた。
なお、ハヤカワSFコンテストが今年で第10回、創元SF短編賞が第13回で、「え、どっちももう10年やってるの」ということにも驚いた。
ハヤカワSFコンテスト
第1回から第5回までの各回について、受賞作のうちいずれか1つは読んでいた。
で、第6回受賞作は読んでいなくて、第7回が上述の『オーラリメイカー』
第8回以降は全く読んでいない(なお、第10回受賞作はまだ本になっていないようなので、そもそも読もうとしても読めない)。
受賞作は大体その年の11月に単行本化されているようだが、自分の場合、その直後に読んでいる作品はほぼない(例外は『最後にして最初のアイドル』くらい)。
一応、読んだ本のブログ記事を見ると「本作は第○回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作で~」などと書いてはいるのだが、ハヤカワSFコンテスト受賞作だからという理由で読んでいなくて、普通に書評とかで気になったから読んでいるので、あんまりハヤカワSFコンテスト受賞作を読んだという自己認識がなかったのだと思う。
あと受賞作家のラインナップを見てると、小川哲はかなり継続的に読んでいるのだが、あんまり積極的にフォローしている作家がいないかもという印象はある。
逆に、倉田タカシ、春暮康一は、受賞後に書かれた他の作品を読んで興味をもったので、遡って受賞作も読んだ作家である。
また、最終候補作については出版されたものが少ないので、便宜上「未読」としたが、そもそも読もうと思っても読めないものがほとんど。
第1回(2013年) | 大賞 | 六冬和生『みずは無間』 - logical cypher scape2 | |
最終候補 | 『ファースト・サークル』坂本壱平/「オニキス」下永聖高/『テキスト9』小野寺整/「新世界より」泉氏 | 未読 | |
第2回(2014年) | 大賞 | 柴田勝家『ニルヤの島』 - logical cypher scape2 | |
最終候補 | 倉田タカシ『母になる、石の礫で』 - logical cypher scape2 | 倉田タカシは先に他の短編を読んでいて後追いで本作を読んだ | |
最終候補 | 『鴉龍天晴』神々廻楽市/「「オルフェウスの妻」伏見完/「月の王冠」梶原祐二 | 未読 | |
第3回(2015年) | 大賞 | 小川哲『ユートロニカのこちら側』 - logical cypher scape2 | |
佳作 | 『世界の涯ての庭』つかいまこと | 未読 | |
最終候補 | 「暗黒惑星」冬乃雀/「花屋旦那の事件帳 狗駆ける夜」茶屋休石/「Dystopiartwork」維嶋津 | 未読 | |
第4回(2016年) | 大賞 | 該当作なし | |
優秀賞 | 『世界の終わりの壁際で』吉田エン/『ヒュレーの海』黒石迩守 | 未読/吉田エンは『小説すばる』収録の短編を1作読んだことあり | |
特別賞 | 草野原々『最後にして最初のアイドル』 - logical cypher scape2 | ||
最終候補 | 「マキガイドリイム」斧田小夜/「ゴリンデン」西川達也 | 未読 | |
第5回(2017年) | 大賞 | 津久井五月『コルヌトピア』 - logical cypher scape2 | |
大賞 | 『構造素子』樋口恭介 | 樋口恭介については短編を2編程読んだことがある | |
最終候補 | 『赤いオーロラの街で』伊藤瑞彦/「スターダスト・レイン」愛内友紀/「オルゴール」平島摂子/「記憶の熱量」若里実 | 未読/この若里さんって漫画家の若里さん? | |
第6回(2018年) | 大賞 | 該当作なし | |
優秀賞 | 『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』sanpow(三方行成) | 未読。三方行成については短編を数編読んだことあり | |
最終候補 | 「陰花 kagehana」梶原祐二/「無名標」九条鷹/「最初の殺人」耳目/「名前と臓器が交差する220と284」小橋徹/「なかよくしようよ」蒜山目賀田 | 未読 | |
第7回(2019年) | 大賞 | 該当作なし | |
優秀賞 | 春暮康一『オーラリメイカー』 - logical cypher scape2 | ||
特別賞 | 「不可視の檻」葉月十夏 | 未読 | |
最終候補 | 「耳調師セツと小さな赤の女王」成田杣道/「Earth II Europa」瀧本無知/「ハチェットマンズ・ディストーション」水町綜 | 未読 | |
第8回(2020年) | 大賞 | 該当作なし | |
優秀賞 | 「ヴィンダウス・エンジン」十三不塔/「電子の泥舟に金貨を積んで」竹田人造 | 未読。竹田作品は『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』に改題されている | |
最終候補 | 「それがぼくらのアドレセンス」酒田青枝/「サムライズ・リグ」毒島門左衛門/「識閾の弔歌」満腹院蒼膳 | 未読 | |
第9回(2021年) | 大賞 | 『スター・シェイカー』オスタハーゲンの鍵 | 未読 |
優秀賞 | 『サーキット・スイッチャー』安野貴博 | 未読 | |
最終候補 | 「機構―In the System―」満腹院蒼膳/「ドーン・プロトコル」江島周/「このしらす」塩崎ツトム | 未読 | |
第10回(2022年) | 大賞 | 『標本作家』小川楽喜 | 未読 |
特別賞 | 『ダイダロス』塩崎ツトム | 未読 | |
最終候補 | 「スランバー・デイズ」江島周/「アクアリウム・ララバイ」麻上柊/「白のマチエール」小田明宜 | 未読 |
創元SF短編賞
第1回の宮内悠介『盤上の夜』を除くと、第3回までは受賞作を全然読んでいなかった。
しかし、作家ベースで見ると、高山羽根子やオキシタケヒコなどかなり積極的に単著を読んでいる作家もいるし、坂永雄一や酉島伝法など、年刊SF傑作選などを通じてわりと読んでいてもう少し読みたいなあと思っている作家もいる。
オキタケヒコについていうと、創元SF短編賞とっているのをあまり認識していなかったな。
逆に、第4回から第10回までは、なんと毎回受賞作を読んでいる!
これは、これらが収録された『年刊日本SF傑作選』をほぼ毎年読んでいたためである。
自分の中で「創元SF短編賞はよく読んでるなー」という認識があるのはこのためである。
*1
一方で、この時期の受賞作は、個別に面白かったり、同じ作家の他作品を別のアンソロジーで読んだり等もしているのだが、その後積極的にフォローしている作家はいなさそう。
第11回以降は『年刊日本SF傑作選』がなくなったために、新たに創刊された『Genesis』というアンソロジーに受賞作が掲載されているが、自分はこのアンソロジーを読んでいないため、読めていない。
また、ハヤカワSFコンテストのところで、第8回以降は読めていないと書いたが、第8回は2020年で、創元SF短編賞の第11回も2020年なので、2020年以降読んでる本の数が減ったので読んでいないともいえる*2
1回(2010年) | 受賞 | 「あがり」松崎有理 | 未読 |
佳作 | 「うどん キツネつきの」高山羽根子 | 未読。2019年頃から読むようになった。ところで、高山のWikipediaを見るに本作の単行本が出たのは2014年で作家活動もそれ以降本格化したようだ? | |
大森望賞 | 「さえずりの宇宙」坂永雄一 | 未読。短編をいくつか読んではいる | |
日下三蔵賞 | 「土の塵」山下敬 | 未読 | |
山田正紀賞 | 宮内悠介『盤上の夜』 - logical cypher scape2 | ||
第2回(2011年) | 受賞 | 「皆勤の徒」酉島伝法 | 未読。短編をいくつか読んではいる |
佳作 | 「繭の見る夢」空木春宵 | 未読 | |
大森望賞 | 「花と少年」片瀬二郎 | 未読。短編を2編ほど読んだことはある | |
日下三蔵賞 | 「Kudanの瞳」志保龍彦 | 未読 | |
堀晃賞 | 「ものみな憩える」忍澤勉 | 未読 | |
第3回(2012年) | 受賞 | 「〈すべての夢|果てる地で〉」理山貞二 | 未読。短編を2編ほど読んだことはある |
優秀賞 | 「プロメテウスの晩餐」オキシタケヒコ | 未読。2013年にSFMに掲載された「エコーの中でもう一度」から知って読み始めた | |
大森望賞 | 「テラの水槽」皆月蒼葉 | 未読 | |
日下三蔵賞 | 「頭山」舟里映 | 未読 | |
飛浩隆賞 | 「エヌ氏」渡邊利道 | 未読。かなり以前から相互フォローしている方。最近は創元SF文庫の巻末解説をよく書かれているという印象 | |
第4回(2013年) | 受賞 | 「銀河風帆走」宮西建礼 | 年刊日本SF傑作選『極光星群』 - logical cypher scape2 |
優秀賞 | 該当作なし | ||
大森望賞 | 「The Unknown Hero: Secret Origin」鹿島建曜 | 未読 | |
日下三蔵賞 | 「狂恋の女師匠」高槻真樹 | 未読 | |
円城塔賞 | 「不眠症奇譚」与田Kee | 未読 | |
第5回(2014年) | 受賞 | 「風牙」門田充宏 | 大森望・日下三蔵編『年刊日本SF傑作選さよならの儀式』 - logical cypher scape2 |
受賞 | 「ランドスケープと夏の定理」高島雄哉 | 未読 | |
優秀賞 | 該当作なし | ||
大森望賞 | 「女友達」有井聡 | 未読 | |
日下三蔵賞 | 「懐柔」浦出卓郎 | 未読 | |
瀬名秀明賞 | 「剣はデジャ・ブ」合戸周左衛門 | 未読 | |
第6回(2015年) | 受賞 | 「神々の歩法」宮澤伊織 | 大森望・日下三蔵『折り紙衛星の伝説 年刊日本SF傑作選』 - logical cypher scape2 |
優秀賞 | 該当作なし | ||
大森望賞 | 「この凍えた世界に生まれる前に」宇部詠一 | 未読 | |
日下三蔵賞 | 「君たち教室に入りなさい」伊藤知子 | 未読 | |
恩田陸賞 | 「バッコちゃん」逸見真由 | 未読 | |
第7回(2016年) | 受賞 | 「吉田同名」石川宗生 | 大森望・日下三蔵編『年刊日本SF傑作選 アステロイド・ツリーの彼方へ』 - logical cypher scape2 |
優秀賞 | 該当作なし | ||
大森望賞 | 「細胞れみんの冥界震度ライブ」フカミレン | 未読 | |
日下三蔵賞 | 「狂えよ。」梓見いふ | 未読 | |
山本弘賞 | 「虹の石」各務都心 | 未読 | |
第8回(2017年) | 受賞 | 「七十四秒の旋律と孤独」久永実木彦 | 大森望・日下三蔵編『行き先は特異点 年刊日本SF傑作選』 - logical cypher scape2 |
優秀賞 | 該当作なし | ||
長谷敏司賞 | 「銀の滴降る降る」久野曜 | 未読 | |
第9回(2018年) | 受賞 | 「天駆せよ法勝寺」八島游舷 | 大森望・日下三蔵編『プロジェクト:シャーロック 年刊日本SF傑作選』 - logical cypher scape2 |
優秀賞 | 「機械はなぜ祈るか」南雲マサキ | 未読 | |
大森望賞 | 「夏の結び目」織戸久貴 | 未読 | |
日下三蔵賞 | 「感喜に染まれ」能仲謙次 | 未読 | |
新井素子賞 | 「アドバーサリアル・パイパーズ、あるいは最後の現金強盗」竹田人造 | ハヤカワと両方とってたのかこの人! | |
第10回(2019年) | 受賞 | 「サンギータ」アマサワトキオ | 大森望・日下三蔵編『おうむの夢と操り人形 年刊日本SF傑作選』 - logical cypher scape2「ラゴス生体都市」でゲンロンSF新人賞も受賞している。そちらは未読だkindle積んでる |
優秀賞 | 「飲鴆止渇」斧田小夜 | 未読 | |
日下三蔵賞 | 「『サハリン社会主義共和国近代宗教史料』(二〇九九)抜粋、およびその他雑記」谷林守 | 未読 | |
宮内悠介賞 | 「回転する動物の静止点」千葉集 | 未読 | |
第11回(2020年) | 受賞 | 「蒼の上海」折輝真透 | 未読 |
選考委員奨励賞 | 「大江戸しんぐらりてい」夜来風音 | 未読 | |
第12回(2021年) | 受賞 | 「射手座の香る夏」松樹凛 | 未読 |
優秀賞 | 「神の豚」溝渕久美子 | 未読。相互フォローしているのだけどSF書いているの知らなかったので受賞知ったとき驚いた記憶 | |
第13回(2022年) | 受賞 | 「風になるにはまだ 」笹原千波 | 未読 |
*1:なお、第1回から第3回の受賞作も『年刊日本SF傑作選』に収録されているが、何故かこの3年間は『年刊日本SF傑作選』自体を読んでいない。