- 作者: シノハラユウキ
- 出版社/メーカー: logical cypher books
- 発売日: 2016/05/02
- メディア: Kindle版
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おーすごい、自分の本がAmazonで
フィクションの哲学とアニメ批評・文芸批評を架橋する一冊!
分析美学(ウォルトンによるごっこ遊び説など)やマンガ評論(伊藤剛の「マンガのおばけ」)を用いて、『SHIROBAKO』や『キンプリ』などのアニメ作品、『耳刈ネルリ』や『夢幻諸島から』などの小説作品から「分離された虚構世界」を見出し、それが鑑賞体験にどのような効果をもたらすかを論じた長編評論「フィクションは重なり合う――分離された虚構世界とは何か」付録「二次元アイドル比較」では、『アイマス』『ラブライブ!』『うたプリ』『アイカツ!』『プリパラ』などの人気作品から『ナナシス』や『あんスタ』といった今後ブレイク必至のアプリゲームまで、二次元アイドルコンテンツ全20作品について、企画概要や略史、主要スタッフなどのデータ、並びに独自の基準による比較チャートを掲載!
印刷版にあったミスを何カ所か見つけたので、見つけた限りについては修正しています。
フィクションは重なり合う――分離された虚構世界とは何か
本論のキーワードは「分離された虚構世界」!
これは、フィクション作品の内容であるにもかかわらず、物語世界で起きたとは考えがたい出来事や描写について、自分がそう名付けたものです。
さて、批評というのは、何らかの理論ないし枠組を用いて作品を論ずるものであり、あるいは、作品を論ずることを通して、理論ないし枠組を見出していくものではないかと思います。
世の中には色々な哲学理論などを用いた批評がありますが、分析美学を用いた批評、特にサブカルチャー批評はほとんど見たことがありません。
というわけで、本論は分析美学を用いて作品論を書けないだろうかという試みでもあります。
5/1文学フリマ東京にて『フィクションは重なり合う』発行 - logical cypher scape
目次
第0章 本論の概要〜宮森はドーナツをキメているのか〜
第1章 分離・非正確説・マンガのおばけ
1.1.分離とは何か
1.2.図像におけるフィクションの非正確説と美的判断について
1.3.「マンガのおばけ」について
第2章 分離された虚構世界と物語世界
2.1.虚構的真理
2.2.分離された虚構世界
第3章 分離された虚構世界の働き
3.1.物語世界に従属する分離された虚構世界
3.2.物語世界に重なり合う分離された虚構世界
第4章.小説における分離された虚構世界
4.1.『耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳』
4.2.『夢幻諸島から』
補論1.虚構性とミュージックビデオ
補論2 「キャラ」とは何か
補論3.他の論者による諸概念との関係
補論4.分析美学・描写の哲学・フィクションの哲学について
主要参考文献
ジョン・ブラウン"Seeing Things in Pictures"
伊藤剛『テヅカ・イズ・デッド』
高田敦史「図像的フィクショナルキャラクターの問題」
ケンダル・ウォルトン"Mimesis as Make-Believe"
ケンダル・ウォルトン"Fictionality and Imagination-Mind the Gap"
主要参照作品
P.A.WORKS『SHIROBAKO』(TVアニメ)
A-1 Pictures『四月は君の嘘』(TVアニメ)
タツノコプロ『プリティーリズム・オーロラドリーム』(TVアニメ)
タツノコプロ『KING OF PRISM by Pretty Rhythm』(劇場版アニメ)
石川博品『耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳』(小説)
クリストファー・プリースト『夢幻諸島から』(小説)
付録 二次元アイドル比較
やれアイマスだ、やれアイカツだ、2016年現在、二次元アイドルものは無数に存在しています。
これらの内容をちょっと整理して、一覧できれば便利なんじゃないかなーと思って作り始めたら、あれよあれよとふくれあがってしまい、一応「付録」なんですけど、本当に「付録」かこれはっていう分量になりましたw
全20作品について、企画概要とか主要スタッフとか声優の平均年齢とかについて書いてます。
二次元アイドル比較なのに、肝心のアイドルについてはあんまり書いてませんw 個々のアイドル(キャラクター)について書き始めたら、ほんと本が何冊あっても足りないので。
5/1文学フリマ東京にて『フィクションは重なり合う』発行 - logical cypher scape
目次
はじめに
THE IDOLM@STER
THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS
THE IDOLM@STER MILLION LIVE
THE IDOLM@STER SideM
ラブライブ!
ラブライブ! サンシャイン!!
Wake Up, Girls!
プリティーリズム
プリパラ
アイカツ!
アイカツスターズ!
Tokyo 7th シスターズ
少年ハリウッド
凡例・注意事項
二次元アイドル比較チャート(1)
うたの☆プリンスさまっ
AKB0048
普通の女子高生が【ろこどる】やってみた
アイドルクロニクル
アイドリズム
アイドリッシュセブン
あんさんぶるスターズ!
アイ★チュウ
VENUS PROJECT
ミリオンドール
B- PROJECT
ドリフェス!
関連項目・資料
二次元アイドル比較チャート(2)
参考文献
※「うたの☆プリンスさまっ」から「ドリフェス!」については、筆者は未鑑賞・未プレイ作品のため、記載量は少ないです。
twitterでいただいた感想
フィクションは重なり合う
>RT 原稿読ませてもらいましたが,メタい表現の本質ってなんだろう,みたいなことに関心のある人はきっと読むと楽しいと思います
— /dʒaˈbrafkjuː/ (@ja_bra_af_cu) April 16, 2016
分析美学の基礎知識なんてなくても、この本を読むために必要な知識はきちんと説明されているので、自分の知っている作品に引き寄せることができる評論だと思います。ぜひご覧くださいませ!
— 荻野ユウ(みとこん) (@OginoYou) April 15, 2016
シノハラユウキ『フィクションは重なり合う 分析美学からアニメ評論へ』を77頁まで読んだ。丁寧かつ明瞭な導入で、題材に選ばれた作品が未見でも面白い。フィクションの中の虚構、心象風景や信頼できない語り手を巡る論考で、第4章の題材は『耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳』と『夢幻諸島から』
— biotit (@biotit) May 1, 2016
@biotit 具体的にはネルリにおけるレイチの語りの特性や、『夢幻諸島から』の各話の矛盾と解答の仮説、および各話によって異なる趣向などがまとめ上げられている。非常に濃密な本。未見の題材の実作や、参考文献にも手を広げてしっかり味わいたいと思った。やはりキンプリを実体験すべきか。
— biotit (@biotit) May 1, 2016
一応キンプリについて語ってるのは見つけた。分析美学における虚構性の判断の事例として取り上げていてかなり興味深い。
— びおれん@ののリサはドライヴしてる (@phanomenologist) May 1, 2016
プリティーリズムオーロラドリームにおける「プリズムジャンプで発生したフルーツを観客が食ってる」問題を取り上げていてワロタ。
— びおれん@ののリサはドライヴしてる (@phanomenologist) May 1, 2016
既存のフィクションについての議論を援用した上で定義される「分離された虚構世界」は概念として十分な強度を持っています。
— kamikusaP (@kkamikusa) April 29, 2016
それを用いて語られていく各々の作品論は、これまで僕たちが無自覚に受け入れていたフィクションの描かれ方について、気づきを与えてくれるものです。(続 #bunfree
『フィクションは重なり合う』に登場する「分離された虚構世界」の概念は、kamikusaくんも書いているように、既存の作品に登場するいろいろな不思議な現象を説明してくれるものでした。
— 荻野ユウ(みとこん) (@OginoYou) April 29, 2016
読み進めるうち、本論で扱われていない私の好きな作品までも紐解かれていくのを感じてワクワクしました。
補論2〜補論4は、そういう解説めいたものである一方、「補論1.虚構性とミュージックビデオ」は、どっちかというと試論という感じで、あまり詰められなかった一方、個人的にはここ面白いぞと思っている部分。
— シノハラユウキ (@sakstyle) April 23, 2016
二次元アイドル比較
言及されている作品数は25に上り、作品の歴史・概要やスタッフ(特に声優・音楽スタッフ)に着目した内容となっています。一部作品については比較チャートなども載っていたりするのがアツいです。この二次元アイドル全盛期に、このような俯瞰が出来る資料は素晴らしい。 #bunfree
— kamikusaP (@kkamikusa) April 29, 2016
二次元アイドル(男)が死ぬほど好きなのでシノハラユウキさんの二次元アイドル考察読むの死ぬほど楽しくて楽しくて死んだ
— みきぷるーん (@mikipruuuuuuune) May 1, 2016
うたプリもアイナナもサイドエムもB-proもキンプリも載ってるから優秀
— みきぷるーん (@mikipruuuuuuune) May 1, 2016
昨日買ったやつ、文体読みやすいしキンプリ扱ってるし二次元アイドル分析あってその中にちゃんと声優の項目もあるし、なによりうたプリでちゃんと「攻略アイドルは13人」って書いてるところに心からの拍手を送らざるをえない……!
— 魚雷さん (@tkkr_g) May 2, 2016
男性アイドルものについては未プレイのため、かなり付け焼き刃なところだったんですが、上の感想ツイートにあるように、男性二次元アイドルファンの方からも合格点もらえたようでほっとしてます。