来る12月31日に、C91にて以下の通り二次元アイドル音楽本『MIW』を発行します!
コミックマーケット91
2016年12月31日(土)
東京ビッグサイト
東U12b MIW製作委員会
(3日目の東2ホール、評論・情報島です)
当日頒布物
新刊『MIW−MUSIC OF IDOL WORLD−』
及び
既刊『フィクションは重なり合う――分析美学からアニメ評論へ――』
後者については、以下の記事をご覧ください。
『フィクションは重なり合う』kindle版リリース! - logical cypher scape
『フィクションは重なり合う』感想等まとめ - Togetter
こちらの本は、前半では分析美学を使ったアニメ評論、後半では二次元アイドルのデータブックのようなものとなっておりますが、新刊の『MIW』は、音楽のみに特化した同様のデータブックを作ってみようと思ったところから始まった企画です。
今回、セット割も予定しておりますので、この機会に2冊買い揃えていただけると、二次元アイドル作品資料集としてお役立ちかと思います。
『MIW−MUSIC OF IDOL WORLD−』
二次元アイドルの楽曲を数えたり、複数の作品の楽曲制作をしている作曲家(例えば、田中秀和さんはアイマス「自分REST@RT」とアイカツ「カレンダーガール」とWUG「少女交響曲」とあんスタ「Hoppin'Season」を作曲したとか)を調べたりした本です。
対象曲数は、1478曲!
129人分の作家別ガイドもあります!
今回の本は、大学の後輩でありつつ、アイマスをはじめとした二次元アイドルオタ仲間であるkamikusaとの合同製作です。
表紙は、乃木さんに描いていただきました。
目次
- 全体分析
- エッセイ
- 作品別ガイド
THE IDOLM@STER/THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS/THE IDOLM@STER MILLION LIVE/THE IDOLM@STER SideM/ラブライブ!/ラブライブ!サンシャイン!!/Wake Up, Girls!/Tokyo 7th シスターズ/8 beat Story♪/アイドルコネクト-AstersikLive-/プリティーリズムシリーズ/プリパラ/アイカツ!/アイカツスターズ!/うたの☆プリンスさまっ♪/少年ハリウッド/B-PROJECT/ツキウタ。/あんさんぶるスターズ!/アイドリッシュセブン/ドリフェス!/アイ★チュウ
- 作家別ガイド
バンナムサウンドチーム/MONACA/ベリーグー/TRYTONELABO/アッシュバニー/Time Files,inc/メロネスト/ハイキックエンタテインメント/スマイルカンパニー/アップドリーム/Arte Refact/Peak a soul+/SCOOP MUSIC/ポップホリック/onetrap/スーパーラブ/ファイブエイス/Hifumi,inc/ネット・同人出身/Elements Garden/三次元アイドル作家/ゲーム音楽作家/歌手・ミュージシャン/音楽プロデューサー/監督・声優等/その他
エッセイ
二次元アイドルの音楽の魅力を、各作品ごとであったり、他ジャンルとの比較であったりといった様々な切り口から語るエッセイを、8人の方に寄稿していただきました。
ニコ動でのアイマスMADなどを作られているハバネロP。アイマスの4シリーズにおける楽曲コンセプトを、アイドルソング寄りか、キャラクターソング寄りかという観点から、語ってもらっています。特に、後発のミリオンとSideMが、どのように音楽とキャラクターを結びつけて展開していっているのかが分かるかと思います。
二次元アイドル作品の多くは、声優が歌を歌い、ライブイベントも行います。二次元アイドルと音楽を考える上で、声優の音楽活動というのは、重要な隣接ジャンルです。バーニングさんには、ラブライブ!声優のうち3人の現在の音楽活動を書いてもらっています。さて、『ラブライブ!』は現在、続編である『サンシャイン!!』へとバトンを渡し、μ'sの物語は一度区切りがついています。そうです。三次元アイドルに卒業があるように、二次元アイドルも活動が永遠に続くわけではありません。その一方で、アイドルを演じた声優たちは新たな道へと進んでいきます。バーニングさんのエッセイは、その道行きを我々ファンがどのように応援していくか、ということも示唆しているように思えます。
- 一大「音楽と物語で紡がれる「孤独」との対峙」
10年以上続いているアイマスに対しては、ハバネロPに各シリーズを俯瞰した視点から、一区切りをつけたラブライブに対しては、バーニングさんに作品終了後も歩み続ける声優についてという視点からエッセイを寄せていただきました。
一方で、リリースからまだ3年に満たないナナシスについては、この作品が物語ろうとしているテーマとは何なのか、という内在的な視点からのエッセイを、一大さんに書いていただきました。
ナナシスの作詞家についての、とある謎、そして歌詞の中で謳われるメッセージ性から、いかに音楽を通して作品世界を物語っているかが伝わってきます。
架空の講義風という形式で、長大ながらもわかりやすく、『アイカツ!』がいかなる点で偉大であるかを語ってくれるのが甘粕さんのこちらのエッセイとなります。
和声とファンクを対置し、それぞれの時間の捉え方の違いを確認した上で、和声的時間=物語とファンク的時間=物語という視点でもって90〜10年代のアニメ・サブカルチャー史を紐解きながら、『アイカツ!』という作品の意義を説いていきます。
- 高井くらら「『うたの☆プリンスさまっ♪』から見る二次元アイドルと音楽の関係」
男性二次元アイドルとして、長く広く愛されているうたプリ。総合批評誌『ヱクリヲ』でも活動している高井さんに、音楽という切り口から、うたプリの全体像を書いてもらっています。
アニメ、ゲーム、さらにコラボイベントやライブなど、多岐にわたるメディアミックスを貫くものとして音楽があり、そしてそれ故に、音楽こそが、二次元キャラクターという架空の存在を「存在」たらしめているのだと論じています。
- 沼本奈々「ジャニヲタが見つけた二次元アイドルの魅力〜アイドリッシュセブンとジャニーズ楽曲〜」
同じく『ヱクリヲ』などで活動されている沼本さんですが、10年以上のジャニヲタ。ふとしたきっかけでアイナナへとはまったことで見えてきた、ジャニーズとアイナナの類似性について書いてもらっています。
僕のように、女性二次元アイドル側の人間としては、アイナナのような男性二次元アイドルは全然詳しくないので、高井さんのエッセイとあわせて、よい入門編となります。
しかしそれだけではなく、うたプリやジャニーズは知っていても、まだまだ新興のタイトルであるアイナナについては触れるきっかけがないという方も多いかと思いますが、そういう方向けの入門にもなるかと思います。
- のーねーむ「次元の狭間で」
沼本さんは、元々ジャニーズという三次元アイドルから、アイナナという二次元アイドルにはまった方でした。一方、元々ミリオンライブやWUGなど二次元アイドルを推していて、最近、地下アイドルの現場に通うようになったのが、のーねーむさん。
二次元アイドルと三次元アイドル、近いようで遠い2つの世界があるわけですが、のーねーむさんには、音楽の点から、両者の同じ点、違う点を書いてもらいました。
次元の違いにこだわらず、好きな音楽を見つけていきたいと思わせてくれます。
- 梅谷蘭歩「ヅカオタは見た!!宝塚と二次元アイドルのよく似た世界」
ジャニーズ、地下アイドルに続くは、宝塚です。
アイマスやラブライブのことが好きなオタクにとっては、宝塚というのはあんまり縁のない世界ではないかなと思うのですが、とはいえ、宝塚とマンガ・アニメが近しいジャンルというのも事実です。
10年以上ヅカオタだった梅谷さんは、シンデレラガールズとの出会いをきっかけに、二次元アイドルの世界にも足を踏み入れ、宝塚と二次元アイドルはよく似ていると主張されています。
プリリズやうたプリ、そしてデレマスと宝塚との間の意外な(?)、あるいは当然の(!)類似関係について大いに語ってもらっています。
全体分析
アイマスがサービス開始されてから11年余り、多くの楽曲がリリースされてきています。
本誌では、対象作品の全楽曲をリストアップし*1、このデータに基づき、以下の分析を試みました。
・作品別楽曲数ランキング
・作品シリーズ別楽曲数割合
・楽曲数年次推移
・作詞・作曲家別楽曲数ランキング
・複数作品に渡って楽曲提供を行っている作詞・作曲家リスト
・作曲家別作品間類似度
・類似度による、作品及び作詞・作曲家相関マップ
例えば、作品シリーズ別楽曲数割合は、こんな感じになっています。
今回、二次元アイドルの音楽についての本を作るにあたって、作詞家、作曲家に注目することを当初から企画していました。
作詞家、作曲家の中には、複数の作品に楽曲提供を行っている者たちが多くいます。
逆に言えば、作品の間で共通している作詞家・作曲家の数によって、作品間の類似度を測れるのではないか。
そうしたことを試みたのが、作品間類似度と相関マップです。
ためしに、一部分をお見せします。
作品別ガイド
作品ごとに、どのような楽曲があるかの概略を書いています。さらに、代表的な作詞家・作曲家リストのほか、その作品に楽曲を書いている作詞家・作曲家が、他のどの作品で何の曲を書いているかの一覧表を付しています。
ラブライブ!及びラブライブ!サンシャイン!!については、かじもとさん、プリパラについては、じゃぶらふきゅーさんに執筆協力してもらっています。
楽曲リスト
今回、集計対象とした楽曲のリストです。
紙面では読みにくいので、別途Excelファイルをダウンロードできるようにしています。
*1:2016年10月31日発表分まで。なお調査能力不足で一部不完全となっている