R.Hopkins ”Depiction"

映画の哲学の教科書の中にある、描写についての章(第6章)
The Routledge Companion to Philosophy and Film (Routledge Philosophy Companions)

Moving and still depictions
What is depiction?
Seeing film as pictures
What do we see in film?
The unity of cinematic representation

Moving and still depictions

映画と静止画の違いについて
単に、時間を表象しているか否かという違いではない(静止画も時間を表象する)
表象の性質とその内容の性質との関係が問題
→ネオンサインは映画ではない。ネオンサインは時間を通じて変化するけど、その変化が表示内容の変化を規定しているわけではないから。


映画は普通描写をする。しかし、必ず描写をしなければならないのか。
2001年宇宙の旅』の最後のシーン(スターゲート)や、Derek Jarman's Blueは描写しているのか。

What is depiction?

記号説→知覚説→経験説(seeing-in)
基本的に、経験説の立場にたつ

Seeing film as pictures

トロンプルイユは、画像pictureではないように錯覚させる。とはいえ、ずっと錯覚させ続けることはできない。
映画について、錯覚をさせるものという考えがある。
場合によって映画は人の目をだますことがはできるが、普通、錯覚はさせていない。スクリーンを見ているということを観客は分かっている
画像として映画は見られているのであり、静止画との違いは程度の問題

What do we see in film?

映画の中に見ているものは、どのように作られているかに依存するか?
映画と言うのは、表象の表象=俳優がセットの中で演技しているという表象を、さらに写真的に表象している
→two-tier film
折りたたまれたcollapsed seeing-in*1

画像1が画像2を正確に描写していて、画像2がOのイリュージョニスティックな描写であるとき、画像1を見る際に、Oの画像の画像ではなく、Oの画像を見るようになる

The unity of cinematic representation

この節はあんまりよく分からなかったが、作られ方(アニメーションかCGIか)によらず、何を見るかは同じ、という意味でunity、という話っぽい?
映画の中に見るものはstory


最後
(1)映画表象は描写。ただし、静止画像との間に違いはある
(2)
(3)多くのtwo-tier filmはイリュージョニスティック。しかし、そうでないものもある
(4)映画の内容は、言語とか音楽とか、画像以外のソースもある

*1:この用語、 デレク・マトラバーズ『フィクションと物語』後半 - logical cypher scape2で見たなあと思って確認してみたら、ホプキンスの名前とともに言及されていた