D.Lopes "The 'Air' of Pictures"

絵画の表現について
分析美学では、表現というのは、作品が何らかの感情を表現していることを指し、特に音楽における表現が論じられている。
絵画については触れられることが少ない
この論文は、ロペスの絵画(画像)論についての本の第2章である。


「この曲は、悲しげな旋律をしている」「この絵は憂いを帯びている」などと言われることがある。一方、悲しみや憂いなど感情は、人間が持つものであって、人工物が持つものではない(ピアノや絵の具は悲しんだり憂いたりしない)。*1
曲や絵画など芸術作品もやはり人工物の一種なので感情を持つことはない。
だとしたら、曲が悲しげだったり、絵が憂いを帯びていたりするというのは一体どういうことか。
これが、分析美学において扱われている表現の問題である。
本論もこれに応答すべく、色々な説が検討されていき、最後に、輪郭説という立場が擁護される。


なお、この記事は途中で力尽きました。

Sight and Sensibility: Evaluating Pictures

Sight and Sensibility: Evaluating Pictures

Conceptions and Cases

  • Expression theory
  • Modes of pictorial expression

The Missing Person Problem
If Zombies cannot Smile

  • Personalism: creator as expresser
  • Hypothetical personalism
  • Arousalism

If Dogs can Smile

  • Expression and ressemblance
  • Natural expression
  • Mechanism of expression

Pictorial Expression

  • Figure expression
  • Scene and design expression
  • Seeing expressions

Arousal and Evalution


まず、表現を3つに分類する
人物表現figure expression:描かれている人物に帰属する表現
情景表現scene expression:描かれている情景に帰属し、人には帰属しない表現
デザイン表現design expression:人や情景ではなくデザインに帰属する表現
例えば「この絵は、怒りを表現している人物を描くことで怒りを表現している」というなら人物表現、「穏やかな海を描くことで柔和さを表現している」というなら情景表現、抽象表現主義のような絵の場合、デザイン表現となる


例えば、人が顔をしかめるなどして怒りの表現をしている時、その怒りはその人に帰属するし、その怒りの表現は怒りという感情の一部。
では、絵で表現される怒りは?
人物表現の場合、描かれている人物に帰属すると考えればよいかもしれないが、情景表現やデザイン表現の場合、表現された感情は一体誰に属するのか、という問題がある。
これについて、まず大きく2つの路線が考えられる。
一つは、表現された感情は、描かれていない誰かに帰属するというもの。
もう一つは、表現された感情を誰かに帰属させなくても表現は成り立つというもの


描かれていない誰かに帰属させる路線はさらに3つに分かれる
(1)作者
(2)仮説的ペルソナ
(3)観者


ロペスは上3つの説についてそれぞれうまくいかない点を指摘
描かれた感情は、誰かの感情である必要ではないという路線へ

バーナード犬の顔は悲しく見える。この犬は悲しんでるわけではなくて、人が悲しんでいる時の顔に似てるので、悲しく見える。
このように、自然表現natural expressionとの類似に訴えるのがロバストな輪郭説

  • ミニマルな輪郭説

ある絵が悲しみの表現であるのは、それが悲しみのexpression-lookである時かつその時に限る、とする説
expression-lookであるとは、その感情を示す機能を持つということ。


(1)ただの物理的配置が感情を表現するためには何がいるのか
(2)表現のメカニズムは何か
という2つのタスクがある
ミニマルな輪郭説は、2つ目のタスクにうまく答えられないが、ロペスはこの路線でいくらしい。

*1:たまたまどちらもネガティブな感情を例に出したが、ポジティブな感情でも話は同じである