『日経サイエンス2017年4月号』

3月号を読みたいなあと思っているうちに4月号が出てしまった。3月号はあとでちゃんと読むとして、4月号をちらっと眺めて面白そうだった記事についてメモ
2017年4月号 | 日経サイエンス

J.デュイ 神話の進化

世界各地の神話を系統分析したというもの
集合的無意識説は否定→ユーラシア大陸アメリカ大陸で共通しているがオーストラリアやオセアニアには見られない要素があったりするから。
神話素をもとにした系統樹の図も載っていた。
また、実証されたわけではなくあくまでもこの系統分析を使って、こういう解釈もできるかもしれないという可能性だと断った上で、洞窟壁画に描かれている内容の解釈にも触れている。
著者が大学院生なのに驚いた。
まだまだ新しい分野なのかなと。
神話の進化 | 日経サイエンス

篠田謙一 ピルトダウン人の真相

日経サイエンス』オリジナル記事
著者は科博学芸員。3月からの大英自然史博物館展のために、自然史博物館に巡検しにいった時の話。
展示はされていない資料。
人類と類人猿とのあいだのミッシング・リンク探しがすすめられていた20世紀初頭に、アマチュア考古学者のドーソンが持ち込んだもの。当時は、ミッシング・リンクを繋ぐものとして大いに注目を集めた。
ヒトと猿の骨を組み合わせて、色を塗って古く見せかけた捏造だが、40年ものあいだ気付かれなかった。
この事件、コナン・ドイルなども関係者だったらしい。
頭蓋の大きさが大きくなっているというものだった。これに対して、当時、頭蓋は小さいが大腿が大きいジャワ原人が発見されているが、当時はこちらの方が、ヒトと猿の骨が混ざったものではないかと思われていた。
しかし、その後、北京原人などほかの化石人類の発見が続き、直立二足歩行が先に進化し、その後頭蓋が大きくなったことが分かってきた。すると、ピルトダウン人だけが進化史の中で浮いた存在になってしまう。そこでようやく捏造されたものだとわかった、と。
捏造した犯人はわかっていない。ドーソン単独犯行説とされているが、共犯者がいたのではないかという説もある。
現在、骨の再調査が進められていて、中世の人骨だったことが分かっているらしい。
ピルトダウン人の真相 | 日経サイエンス