2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

複数性を束ねるもの

前回のエントリでは、「波状言論号外4号」を、「何だ、この「キャラクターズ」とかいう小説は?」で一蹴したのだけれど、まあちょっと真面目に受け止めてみる。 偉そうなことを言うならば、東浩紀と自分の対立点がもしかしたら見えてきたかもしれないのだ。…

今月のアフタヌーン

なんか滅茶苦茶面白かったので思わずエントリをたてる。 というかですね、「おおきく振りかぶって」で泣きました。 このマンガで泣きそうになることはよくあるんすが、ついに今月号で落涙しましたよ。 これ以上説明するとどうあってもネタバレになるので、ア…

ここ1週間くらいのことを一気に書く

丸一週間ブログの記事を書かない、というのは、最近だと珍しい気がする*1。 最近あんまり本も読んでいなかったし映画も観てないし、単にブログの記事にすることがなかっただけなのだが、一つの記事にするにはちょっと物足りない程度のことになると実はいくつ…

『アヒルと鴨のコインロッカー』

ボブディランの「風に吹かれて」がよい。 何度も何度も繰り返されるのが。 冒頭の本屋襲撃シーンは、その後、2度繰り返されるが、2度目はコミカル、3度目は悲しく見える。セリフは全く同じなのに。 同じシーンを繰り返す、というのは、映画的な演出方法の…

『ゆれる』

ambiguous*1なものを描いた作品。 その意味でタイトルが秀逸。形容詞じゃなくて動詞なのがよい。 昨日、『それでもボクはやってない』を見ているために、裁判シーンはすごくわざとらしく見えて仕方なかったが、まあ裁判のリアリティが重要なのではないので仕…

『SFマガジン』9月号、『文学』7,8月号

『SFマガジン』 円城塔「Boy'sSurface」 円城の語り口の魅力というのがあって、どんなわけのわからない話をされても、何となく楽しく読めてしまう。 立ち読みで一読しただけでは、残念ながら話の核のようなものはよくわからなかった。 ただ、語り口の面白さ…

『それでもボクはやってない』

周防正行の痴漢冤罪の映画。 「疑わしきは罰せず」「十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれ」という原則を、感覚的に実感してもらうために、多くの人に見て貰いたい作品*1 あと、裁判というのは、真実を明らかにする場所ではない、ということも*2…

『リトル・ミス・サンシャイン』

アメリカ郊外で中流から下流の生活を送る家族のロードムービー。 彼らの織りなすドタバタに笑うだけ笑ったら、そのラストに感動するのは禁止。 最後まで笑って終わらなければいけない。 それにしても、アメリカというのは、本当に風景がいちいち雄大。 ちま…

こうの史代『夕凪の街、桜の国』

話題の本ですしね。 一度、他の4ページ程度の作品を読んだことがあって、独特の絵柄だなあと思っていたけれど、この作品を読むと演出技法への意識も感じられた。 そのわりに、さらさらと読めるし。 滅茶苦茶凝っている、という感じはしなかったのだけど、マ…

『アサッテの人』諏訪哲史

芥川賞が載ったので、文藝春秋を読んできた。 あと、群像と文學界にそれぞれ、諏訪哲史へのインタビューがあったのでそれも読んだ。 『アサッテの人』 一言でまとめてしまうならば、「詩的(私的)言語は可能か」*1というテーマについての話。 そんな話は前…

GUNSLINGER GIRL

7巻まで読了 自分の女の子の好みは、王道の可愛いなので*1、ヘンリエッタ可愛いな、ヘンリエッタ っていうのが、主な感想です。 でも、トリエラの話には、ぐっときた。トリエラっていうか、ヒルシャーの過去話だけど。 ピノキオに倒されたときのトリエラも…

セカイ系とかについての整理

黙示録的想像力の系譜(八〇年代/九〇年代/ゼロ年代) という文章を書いた。

GUNSLINGER GIRL

今更ながら、3巻まで読んだ。 噂には聞いていたが、1話1話どれもしんどい話だ。 記憶がなくなる、というのが何とも。 帰省してから、唐突に古本でマンガを買い漁っている気がする。 BOOKOFFにある『神戸在住』を買い占めた。それでもまだ全巻揃っていない…

ソール・クリプキ『名指しと必然性』

名前の「指示」と同一性について、クリプキの講義を書籍化したもの。 もとが講義であるために、厳密な論証が続くというわけではなく、口語体での説明が書かれている。それ故の読みやすさと読みにくさがある。 フレーゲ−ラッセルから続く「記述説」に対する反…

『明日、君がいない』

ガス・ヴァン・サントの『エレファント』とよく似た手法によって展開される作品。 見始めた時は、『エレファント』のパクリだなあと思いながら見ていた*1。 しかし、やっぱり『エレファント』とも違うところもある。 どのような作品か、ざっと紹介する。冒頭…