『ゆれる』

ambiguous*1なものを描いた作品。
その意味でタイトルが秀逸。形容詞じゃなくて動詞なのがよい。
昨日、『それでもボクはやってない』を見ているために、裁判シーンはすごくわざとらしく見えて仕方なかったが、まあ裁判のリアリティが重要なのではないので仕方がない。
香川照之の演技がとてもよい。最後の笑顔なんか特に。
最後の笑顔すら、ambiguousで、決着をつけさせない。
演技に関しては、木村祐一もよかったと思う。
人間の、性格の、感情の、人に対する思いの、あるいはとある状況の持っている、二面性・両義性・曖昧性が描かれる。色々なものにたいしてそういう両義性を持たせており、また明確にさせないということをかなり徹底したように思う。
前半から画面作りもそれなりに緊張感のあるものが続いた。
全般的によい映画だと思うが、後半で見ていてふっと緊張感がゆるんだ気がした。理由は分からない。
あと、『それでもボクはやってない』では、カメラがノーカットでぐるーっと回るシーンがあって、おおすごいなーと思ったんだけど、『ゆれる』でもカメラがぐるーっと回り出したシーンがあってこっちでもやるのか、と思って見ていたけど、途中でカット割ってた。そんな効果をつけるシーンでもないけれど、やっぱりカット割らずにカメラ一周させるのは難しいんだろうな、と思う。

ゆれる [DVD]

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*1:両義的、曖昧な