2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

遠藤浩輝『EDEN』

僕が、もっともリスペクトする、というか、最も影響を受けた作り手の1人が遠藤浩輝で、作品の一つが『EDEN』。 それが完結した。とはいっても、何だか自然な終わりで、それほど深い感慨があったりするわけでもなく、何か完結したことをもって書いておくかと…

堀田純司『人とロボットの秘密』

何となく衝動買い。 表紙をめくると、石黒教授の作ったアンドロイドの写真が出てくるのだけど、やっぱすごいなこれ。 全てではないけれど各章の前フリが、いちいちロボットアニメなのは、仕方がないといえば仕方がないけど、またかって感じもする。アトムや…

斎藤環『文学の断層 セカイ・震災・キャラクター』

小説トリッパーでの連載をまとめて、加筆したもの。 トリッパーの連載もほぼ読んでいた。というか、自分がトリッパーを読んでいたのは、ほとんどこの斎藤環の連載を読むのが目的だった。トリッパーをチェックしていた時期と、これが連載されていた時期はちょ…

野矢茂樹『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』

今、『論理哲学論考』そのものも途中まで読んでいる。 いずれ、最後まで読む。 ウィトゲンシュタインは面白い。 『論考』でも『探求』でもそうだが、とにかく現実に成立していること(あるいは日常言語)から始めるという態度は、いいなあと思う。 言語観に…

伊藤計劃『METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS』

メタルギアソリッドは何一つやっていないのだが、ゲームやってない人でも読める、という言葉につられて買った。 実際、読める。読めるんだが、やはりゲームやってない人にはお勧めしない。 登場人物や前作までに起こったこともちゃんと説明してくれるし、そ…

『エクス・ポVol.4』

入間人間インタビュー メールによるインタビューなので、あんまり突っ込んだ話にはなっていないが、ちょっと読んでみたいかなと思った。 出たときは、なんか西尾維新劣化コピー臭がして*1、パスしてたんだけど。 鈴木謙介「うろ覚えのJポップ時評」 冒頭で書…

椹木野衣『増補シミュレーショニズム』

91年に書かれた『シミュレーショニズム』に、講義編を加えたもの。 講義編は01年に書かれたもので、文章が全く異なっている。 講義編は、ですます体で書かれていて、80年代から90年代にかけての作家と作品が、分かりやすく順を追って紹介されている…

『新潮』『群像』『文學界』『すばる』8月号

楊逸が芥川賞をとったとか。 あ、あと、『論座』休刊とかが、今日の文壇・論壇関係ニュースか。 『新潮8月号』 間宮緑「実験動物」 ワセブンのを読もうと思っていて結局読んでないや。 面白いような、つまらないような。 「私」と「吸血博士」の共同生活っ…

青春のロシア・アヴァンギャルド――シャガールからマレーヴィチまで

今年、20世紀の美術とか音楽とかについての授業をとっていて、 この前行ったバウハウス展も、今回行ったロシア・アヴァンギャルド展も、その授業で教えてもらったもの。 ロシア・アヴァンギャルドに関していえば、その授業で聞くまで、ほとんど何も知らな…

今橋映子『フォト・リテラシー』

アートタグをつけたけれど、この本は、写真という表現が、アートとも報道ともいえる(あるいはいえない)ものであることを示す*1。 カルティエ・ブレッソン、ドアノー、アジェといった写真家は、テレビ東京の『美の巨人たち』で見たことがあって知っていた。…

文学とは何か(夏目・秋山往復書簡をうけて)

夏目陽さんと秋山真琴さんの間で、文学と小説を巡って往復書簡が始まった。 秋山真琴(id:sinden)さんへ 第一信(世界の果てのクロエの祈り) 夏目陽さんへ、第1信(雲上四季) この往復書簡は、無論この二人の対話ではあるが、「実際にはトラバの送りあい…

『現代文学理論』

筆者が3人いて、タグもいっぱいつけてタイトルが長くなるので、筆者名をタイトルでは省略した。筆者は土田知則、青柳悦子*1、伊藤直哉である。 いわゆる、批評理論についての概説書である。 「はじめに」と「おわりに」で、筆者ら自身が、単なる入門書には…

門脇俊介『現代哲学』

著者は、哲学を、反自然主義と自然主義の対立によって捉える。 自然主義とは、あらゆるものが自然の事物であり、自然法則に従うという考え方であり、 反自然主義は、しかし人間*1の中には、自然的でないものがあるという考え方である。 著者は、哲学とは、第…

熊野純彦『西洋哲学史』

「古代から中世へ」と「近代から現代へ」の2巻本である。 この本が一体どういう本であるかは、著者によるまえがきにはっきりと書かれている。 やや長くなるが、この本のコンセプトや特長が分かりやすくまとめてあるので、引用する。 この本は、三つのことに…