『日経サイエンス2018年8月号』『Newton2018年8月号』

日経サイエンス

特集:AIの身体性
  • 勝手に学ぶ子どもロボット  D. クォン

勝手に学ぶ子どもロボット | 日経サイエンス
予測誤差最小化*1の認知発達ロボティクスへの応用!
この記事の監修を担当した谷淳さんという人が、認知発達ロボティクスの人のようだ。
予測誤差最小化の工学的な応用としては、計算論神経科学者のラオとバラードが、予測誤差最小化の考えを組み込んだニューラルネットワークを作ったのが嚆矢のようで、視覚システムだったらしい。
この記事では、色々な研究が紹介されているが、タイトルにもなっている「勝手に学ぶ」としてあげられてるのが、フランスのウデヤーによる研究
予測誤差を最小化することを報酬として組み込むことで、内発的動機付けをロボットに再現したという。このロボットは、自律的に学習を始める! しかも、ロボットによって個性があって、浅い探索しかしないロボットと深い探索をするロボットがいるらしい!
発達心理学でも、同様の研究がなされていて、赤ちゃんは、予測誤差を使ってうまく学習できるもの(おもちゃ)を自分から選ぶらしい(これの応用として、ウデヤーの研究がある)。
自分から学習を始めていくってすごい!
また、元阪大の長井(現・情通機構)は、社会的行動も予測誤差最小化によって再現させることができるという研究をしている。人を助けるという行為が、道徳的な動機ではなく、予測誤差を最小化しようとする動機から生じるのだという。
この記事の筆者は、サイエンスライターだが、「ロボットは人間のようになれるのか」という問いに、「ロボットを育てる大人がいればなれる」と答えている。


それにしても、予測コーディング理論、本当に強いなあ
ついに本物の統一理論が現れたのだろうか。

  • 体で計算するコンピューター  古田 彩 協力:中嶋浩平

体で計算するコンピューター | 日経サイエンス
難しくてうまく理解できていないところを、ざっとまとめる。


ニューラルネットワークは、各層で重みづけの計算するので大変
→出力層だけで重みづけ学習をさせる。かわりにネットワークはもっと複雑にする=リザバーコンピューティング
(リザバーコンピューティングも、計算論神経科学者が関わっていたらしい)
出力層だけで重みづけするから、ネットワークは非線形応答する系ならばなんでもいい→物理系を使ってもいいんじゃないか!
元々、柔らかい素材を使ったロボットの制御をどうするか考えていた中嶋は、シリコンで作ったタコの足のような物体を、リザバーコンピューターとして使うことに
柔らかいから制御が難しい、のではなく、柔らかいからそれ自身が制御用のコンピュータとして使うことができる、という発想の転換
生物の運動とか、脳だけでやっているんじゃなくて、手足それ自体が計算をやっているのでは?
量子系もリザバーになるのでは?

特集:エッシャーを超える

脳を裏切る立体 | 日経サイエンス
リンク先に、筆者の作っている錯視立体の動画がある
ポイントは2つ
1)平面図から考えられる立体は無数に存在する
2)脳は「直角」を好むので、その無数の可能性から、直角になっているものを選ぶ
これをうまく応用すると、様々な錯視立体が作れる、ということで、いくつもの種類の立体が紹介されている。
平面図から立体物を解釈させるプログラムを作ろうとして、生まれた立体というのもある。
この記事自体は、錯視立体の話がメインなのであまり関係ないが、画像や描写の美学を考える上でも、面白そうな話であるし、また、知覚の話ともかかわってくる(「直角」が好き、というのは、予測する脳ともかかわってくるだろう。ところで、この記事の筆者は、何故人間の脳が直角を好むか、というのを今後の課題として挙げている。自然界にはあまりないはずなのに)
ペンローズの三角形を立体にするにあたって、2つの作り方がある。実はつながってない、というのと、曲線で作るというの、とか

  • 2次元と3次元を旅する 自然界のエッシャーたち  近藤 滋

2次元と3次元を旅する自然界のエッシャーたち | 日経サイエンス
エッシャーの《描く手》について
「手が手を描いている」ところと、「手が立体的に浮かび上がっている」ところを描いている絵だが、この両者は実際には両立しにくいという。というのも、前者を描くためには、真上からの構図が好ましいが、真上からの構図にしてしまうと、後者が難しくなるからだ。
筆者は、真上からの構図にも関わらず、立体的に見せるための画家のテクニックを指摘する。
それは、紙を描くことだ。
立体的に描かれた手が、紙からはみ出していることで、手が浮かび上がっている感じをより強調している。
さらに、紙の真ん中に影が走っている。この影は、本来、こんなにはっきりと見えるものではないが、紙のしわを示す影で、これによって、紙に描かれている手首の部分がより平面的になる、と。
で、筆者の専門である生物学の話に切り替わり、昆虫の擬態の話へとつなげる。
枯葉に擬態するガは、平たい翅に立体的な枯葉を浮かび上がらせている。
エッシャーと似たようなことをやっているね、という話
それを可能にしている要素がいくつか指摘されているのだけど、その要素自体は、擬態を全くしていないガにも見られるもので、そうした要素を進化の過程でいろいろ組み合わせて試せば、こういう見事な擬態もできるのだねー、と


-「メタモルフォーゼ?」を読み解く  中島林彦

Newton

美しき曲線の世界

曲線って一言で言っても色々あるんだなーっていう当たり前の話

  • 放物線

アポロニウスによって、楕円とか放物線とか双曲線とか名づけられたとか

これって放物線じゃなかったのか!
ひもとかを2点で固定して、垂れるときにできる曲線
反転するとアーチ構造になる
ホイヘンスが 17歳の時に放物線と違うことを証明し、62歳の時に数式で示すことに成功した!

最速降下曲線
ベルヌーイが最速降下曲線はどんな曲線かって問題だして、ニュートンが答えを出したらしい。同時期に、ライプニッツも。

  • 対数らせん

自然界の中にみられるらせん構造。オウムガイとか渦巻き銀河とか
デカルトが研究しており、また、ベルヌーイのらせんとも呼ばれる

  • クロソイド

高速道路とかジェットコースターとかに使われる曲線
オイラーが発見

  • リサージュ曲線

リサージュが発見

遺伝子のON/OFFを操る新医療

がんや肥満を治療する新たな切り札「エピゲノム編集」
前半、エピジェネティクスの説明があり、後半、cas9の技術を使ってエピゲノムの編集技術が最近できつつあることが述べられている
まだ、精度の問題があって、ターゲットになるところだけを編集できるかとか課題はある
ただ、がん抑制遺伝子にメチル化を解除して、働かせることで、がんを治療するなどが考えられている
遺伝子を書き換えるわけではないから、リスクも低いのでは、と
一方、遺伝子を書き換えるわけではないので、今現在、何の安全基準もないという問題もある
あと、エピゲノム装飾がどのくらいなされているのが標準なのか、とかもまだよくわかっていない
あと、エピゲノムの遺伝みたいな話で、祖父の食事量が孫の糖尿病の死亡率に関わっているみたいな話があるらしいんだけど、なかなか、たまったものじゃないよなあ、それ

縄文の美
はやぶさ2小惑星に到着!

この2つの記事は、ばーっと眺めたくらい

ネアンデルタール人の絶滅は小脳の小ささが原因だった?

あれ、読み逃している
あとで