ゲーム化・ドラマ化もされている、ポーランド発の人気長編ファンタジーの1作目
前日譚にあたる短編集は、この前読んだところ
アンドレイ・サプコフスキ『ウィッチャー短編集1 最後の願い』『ウィッチャー短編集2 運命の剣』(川野靖子・訳) - logical cypher scape2
TVドラマシリーズについて、シーズン3まで見終わったところ
『ウィッチャー』シーズン2 - プリズムの煌めきの向こう側へ
『ウィッチャー』シーズン3 - プリズムの煌めきの向こう側へ
ちなみに、ウィッチャーシリーズは以下のようになっている。
- 小説
短編集2冊、長編シリーズ全5冊、それ以外の長編2冊
- ドラマ
現在、シーズン4まで配信中
完結編とされるシーズン5が制作中
なお、シーズン1が短編集2冊、シーズン2が小説第1巻と第2巻、シーズン3が小説第2巻に相当するとのこと。
ちなみに、主人公ゲラルトについて、シーズン4からキャストが交代したらしい
- アニメ
スピンオフのアニメ作品が2本ある
- ゲーム
1~3まである。
ゲームについてはよく知らないが、3は、小説が完結したあとの時系列を描いているらしい。
内容
ドラマと全然違うやんけ!
以下、ドラマとの違いを中心に、大雑把なあらすじと感想
まず、シリの言動がドラマ版よりも幼い感じがした。小説では、13歳になると書かれていたが、13歳の女の子としても、ちょっと幼いような気もしないでもない。まあ、そこはなんともいえないところ。シリの性格もあるだろうし。
ドラマ版のシリは、どうしても見た目がハイティーンだからな。多少、言動が幼い感じになったとしても、見た目でこれくらいの年齢だなという印象が決まる。ちなみに、キャストは撮影当時20歳くらいか。
まず読み始めると、人間(貴族、商人、庶民など)、エルフ、ドワーフ、ノーム、ハーフリングなど様々な種族、階級の人々が集って休憩しているところで、ダンディリオンが歌を披露しているシーンから始まる。
これもドラマに全然ないシーンだが、もっとも、これは世界観や基本的な設定の説明みたいなもののためにあてられているので、小説とドラマの語り方・構成の違いに過ぎない
シントラ陥落後、シリの行方はわからない。ゲラルトが探しているが見つけられたのかどうか分からない。ゲラルトとイェネファーは恋仲だったがその後どうなったかは不明、というのが、公になっていることなんだな、というのがわかる。
その後、ダンディリオンがリエンスに拷問受けて、イェネファーに助けられる
リエンス出てくるの早っ、と思った
で、実際にシリがどこにいるかというと、ケィア・モルヘンでウィッチャーの修行を受けている。そこに、ソドンで死んだことになっている魔法使いトリスがやってくる。
このウィッチャー修行の様子や、トリスがやってくるあたりは、ドラマ同じ
トリスとゲラルトがかつて関係を持っていて、トリスは今もゲラルトを気にしているがゲラルトは距離をおいている(友人としては親しくしているが、そういう関係になるのは避けている)、というあたりも、ドラマにもあったと思うが、小説の場合、トリスの心の声が書かれていて、トリスがかなり未練たらたらな様子がわかる。
で、ドラマだと、シリのヤバさがわかったトリスはいったんアレツザへ逃げてしまったが、小説ではそうならない。
ドラマではゲラルトとシリの二人でだったが、小説はトリスも加えた3人でネンネケのいるメリテレ寺院へ向かう。で、トリスが食中毒になってしまったところ、ドワーフ部隊に助けられる。
ここで登場する、ゲラルトとも旧知の仲のドワーフのヤーペンは、ドラマ版に出てきたドワーフと同じ人だと思うのだが、人間と協力関係にある、という点で、政治的には微妙な立ち位置にいる、ということが小説版では結構書かれている。
スコイア・テルの話もしている。
実は正直、ドラマ版だと、スコイア・テルって言葉が何を指しているのか理解するのに時間がかかったので、小説だと、もうスコイア・テル出てきた! っていうか、スコイア・テルの説明わかりやすっとなった。
そもそも小説だと、フリンギラとフランチェスカがいない?
ドラマだと、メリテレ寺院いってすぐにイェネファー出てきて3人合流だったけど、小説だとそうはならず。ゲラルトがシリを一人寺院に預けて、シリはそこで学校教育を受けることになる。
ゲラルトはレダニアとテメリアの国境あたりにある川に行く。
これは短編集読んだときも思ったけど、この作品、剣と魔法の中世ヨーロッパ風ファンタジー世界のわりに、現代的な生物学用語がでてくるんだよなあ。リンネ的二名法による生物分類が行われている。結構、環境問題的な話もしているし。
で、ゲラルトはレダニアの大学がある街へと。
この街にはダンディリオンもきているのだが、大学に吟遊詩学科なるものがある! この世界の吟遊詩人って大学出なのか?!
ダンディリオンがディクストラたちに協力しているの、ドラマ版でどういう理由だったか忘れたが、小説によると、ダンディリオンがレダニア人だからであるようだ。
っていうか、ディクストラとフィリパが登場してくるのも早いなあと思った。
この大学は、ドラマ版には全くなかったはず。
医学部生のシャニという、ダンディリオンの友人が、リエンスにつながる情報をもっていて、ゲラルト、ダンディリオン、シャニ、フィリパの4人で行動するシーンもある。フィリパが、ディクストラとは微妙に異なる利害で動いているっぽい。
ところで、ゲラルトが早速シャニと寝ている。ゲラルトのプレイボーイっぽさは、ドラマのシーズン1では多少あるのだが、シリと出会った後はそういうシーンはなかったような気がする。
北方諸国の4大王国の国王たちの秘密会議。
ドラマ版は、国際政治の陰謀みたいなパートは、魔法協会がメインで国王たちの話はなかなか前面に出て描かれてこなかった気がするが、小説版は、魔法協会が出てくるより先に国王たちが出てきた。ドラマ版では台詞なかった女王もガンガンしゃべる。
テメリアのフォルテスト王が若くて美形の王様で、これもドラマと違っていて驚いた(ドラマでは結構おじさん)
で、その秘密会議を知って、こっちもいろいろ画策する白炎ことエムヒル
リエンスのボスは、ドラマ版ではヴィルゲフォルツだったが、小説ではエムヒルらしい。
今のところカヒルはいなくて、シントラ総督とかが出てくる。
で、ヴィルゲフォルツとティサイアも出てくるけど、小説ではパートナー関係にはなってなさそう。
ソドンの戦いでヴィルゲフォルツの発言権が増している、というのはドラマも小説も同じだが、ドラマではヴィルゲフォルツはアレツザで魔法協会の会長になったのだが、小説では要職に就いたわけではなさそう。
ティサイアが、小説版だと、極端に几帳面な人間で、食事の際にスプーンやフォークをまっすぐ並べないと気が済まないという描写がされていて、ちょっと面白い
ヴィルゲフォルツが密かにイェネファーのことを探していることに気づく。ティサイアがイェネファーのことを気にかけているのは小説も同じっぽい。
そういえば、章ごとに、この世界内の著作物からの引用がエピグラフとして書かれているのだけど、ティサイアの著作からの引用もあり、「生まれながらの魔法使いはいない」として、魔法の力が遺伝によるものではないこと、というかそもそも、魔法使いは基本的に不妊化することが説明されている。
イェネファーが、ゲラルトに対して「親しき友よ」で始まる手紙を送っているのが小説にもあるのだけど、ドラマ版とはニュアンスが異なるというか、ゲラルトがシリの件で最初にトリスに頼ったことをめっちゃ当て擦っていてウケる。
イェネファーはメリテレ寺院にいって、シリに対して魔法の個人指導を始める。
シリは最初、イェネファーのことが嫌いだったが、次第に仲良くなっていく(嫌いだった理由も仲良くなった理由もゲラルト)。
イェネファーが魔法とは何かについていろいろ詳しく教えてくれるので、ここらへんはファンタジー読者的には楽しい。
シリの力のことは「源流」と表現されている。
ドラマのシーズン1のシリパートの話は、小説版にはなさそう。シントラが攻め落とされてからゲラルトに会うまでの間の行程は、数行で説明されている程度だった。最後、ドルイドの家にいたらしい。
ダーラは小説の方には出てこなかった。
そもそもソドンの戦いも直接的には小説にはでてこないし。
ということは、イェネファーが魔法使えなくなっている云々も小説にはないのか。
小説とドラマとで展開が違うという話は、なんとなくドラマの感想記事とか見て知っていたが、最初からここまで違うとは思っていなかった。
シーズン1と短編集は、もちろん違うところは色々あれど、わりと対応していたので。
小説版には小説版の、ドラマ版にはドラマ版の面白さがそれぞれあるな、と思う。
小説版の方が設定の説明などは分かりやすい
ドラマ版の方がモンスターとのバトルシーンなど映像的スペクタクルが多い
