日下三蔵・大森望編『超弦領域』

法月綸太郎「ノックス・マシン」

タイムトラベルのパラドックスもの
キテレツ大百科で航時機を作ったのは誰か、みたいな。
数理文学解析の話とか面白い

林巧「エイミーの敗北」

樺山三英「ONE PIECES」

現代版フランケンシュタイン
ジャンジャックに比べれば、だいぶ分かりやすい

小林泰三「時空争奪」

これは面白い
河川や時間は河口(終わり)から始まるのだ、という論理から始まって、河川争奪ならぬ時空争奪が行われていくという話。
世界が少しずつ改変されていく様が、読んでいて楽しい。

津原泰水「土の枕」

この作品集の中のベストはこれかも。
どこがSFか分からない枠だけれど、SFではないだけで、短編小説としては非常にリーダブルだし*1、話の面白さというのも読んですぐ分かる作品。
日露戦争の時に、赤紙が来た男に代わって戦地に赴いた男が、戦後も成り代わったまま生きたという話。

藤野可織胡蝶蘭

すこし不思議、といえばいいのか。
動物を襲ったりする胡蝶蘭を育てることになったOLの話。
奇想と日常のバランスがきれい。

岸本佐和子「分数アパート」

フィクションとノンフィクションの混ざる生活

石川美南「眠り課」

日記の次は短歌かよ

最相葉月「幻の絵の先生」

星新一の絵の先生について。
星新一本には載せられなかったエピソード。
っていうか、星一ってそんなに謎めいた人だったのね。星家のこととか全然知らなかったので、面白かった。『人民は弱し官吏は強し』も『星新一1001話をつくった人』も読んでいないからなあ。

Boichi「全てはマグロのためだった」

雑誌連載時に読んだことがあった。
ギャグSFなんだけれども、意外と面白い

倉田英之「アキバ忍法帖

元ネタ知らないけれど、よくもこんなバカバカしい話をw
内藤泰弘*2によるイラストに、明らかに少佐と凶がいて、だから多分他にも元ネタがあるんだろうなあ。
下ネタ交えたギャグ枠では、前回よりも面白かったのではないか、と

堀晃「笑う闇」

『サイエンスイマジネーション』に収録されていたので、既読だったが、この作品は面白い
非常によい味わいというか、ぞくっとする感じがある。
「土の枕」にギリギリ迫る感じで2位かな。
ロボットものとして、こういうのいいよなって思う。

小川一水「青い星まで飛んでいけ」

SFといったら、やはりこういうのも読みたいよね、という感じ。
クラーク追悼トリビュート作品で、人工知能とかオーバーロードとか出てくるのだけど、タチコマみたいな口調の機械とかも出てくるので楽しい。

円城塔「ムーンシャイン」

数字の擬人化小説
最初は何じゃこりゃだったけど、読んでいくうちにそれなりにエンタメとして読める感じであった

伊藤計劃From the Nothing, With Love

これも雑誌で既読だったけれど、意識の話で面白い話である。


日下三蔵・大森望編『虚構機関』 - logical cypher scape

超弦領域 年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)

超弦領域 年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)

*1:前回のこの枠は福永信であった

*2:ってか今回、泰って字のつく人大杉じゃね