『立喰師列伝』

久しぶりに映画館で映画を見た気がします
予想以上に面白かった、というか笑えた作品
押井ギャグの好きな人にはおすすめかと。
しかし、押井作品の常として無論万人向けではない上に、キャストを見ていただければわかるように、なんというかひたすらビッグな同人的作品です
あとは、ペーパーなんとかっつう映像は、最初見ると「なんだこれ」って思います。紙人形なので、動き方が奇妙な感じがして。
ちなみに、内容は押井的昭和偽史をベースにした、立喰師と呼ばれる架空の職業をめぐるドキュメンタリー(!)です
そういう意味では、吉本隆明の詩が二編も出てきたりしたのが、面白かったですね
とにかく僕は笑ってばっかりだったんですが(この昭和偽史を押井のセルフ・パロディとして見たので)、ギャグタッチで描かれているわけではないので、そこを少し書いておくと、「戦後的なもの」がいかに変質し消えていったか、というテーマの作品です
「戦後的なもの」を志向しながらも、それは実現不可能なロマン的なものへと変質し、その不可能性ゆえに立喰のある種の理念も消滅し、70年代以降「戦後的なもの」の消滅とともに立喰はテロリズムとしてのみ生き延びることとなる。
まあ一応、ストーリーらしきものを書くとすればこうなりますが、そもそも立喰というのは無銭飲食のことであり、やはり最初から最後まで戦後昭和史に対するパロディ(さらにいえば、過去押井作品で繰り返されてきた同様のテーマに対するセルフ・パロディ)にすぎない作品だと思います
だから、僕は最初から最後まで笑いながら見てましたし、また押井ファンでなくともわかるかなり直接的なギャグも織り交ぜられていますが、一方で内容を結構ストレートに捉えてしまうと決して軽い話には見えないと思います(ただ淡々と喋り続ける山寺宏一のナレーションに聞き入ってしまうか、あるいは「声の出演、山ちゃんばっか」と笑い飛ばすか)
あと、そういえば、佐藤友哉乙一滝本竜彦が出演して(だから見に行ったんですが)いたのですが、滝本はしっかり判別できましたが、ユヤタン乙一は判別はできませんでした、残念
森岡浩之沖方丁今野敏なども出演してたみたいです。
公式サイトhttp://www.tachiguishi.com/

立喰師列伝 通常版 [DVD]

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