2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

残雪『黄泥街』

黄泥街という名の通りを舞台にした物語だが、その通りは瓦解寸前、糞尿にまみれ黒い雨が降り注ぎ蠅や蝙蝠が集り、住人たちの多くはほとんど狂人のようで、噛み合わない会話をまくしたてている。 一体何が起きているのだが、さっぱり分からない 個々の描写と…

高山羽根子「居た場所」他(『文藝2018年冬号』)

文芸 2018年 11 月号 [雑誌]出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2018/10/06メディア: 雑誌この商品を含むブログを見る 高山羽根子「居た場所」 芥川賞候補作となっており、選評での評価も高く、最近、立て続けに高山の短編を読んでわりと面白かったので読…

上田岳弘「ニムロッド」他(『文藝春秋2019年3月号』) 

上田岳弘は上田岳弘『太陽・惑星』 - logical cypher scape2と上田岳弘『私の恋人』 - logical cypher scape2を読んでいて、「ニムロッド」も『群像』に掲載された時点で読みたいなーと思ってたんだけど(いや、ほんとに)、今度でいいかーと思っているうち…

日経サイエンス2019年3月号

日経サイエンス2019年3月号出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2019/01/25メディア: 雑誌この商品を含むブログを見る ハイパーループに熱い視線 www.nikkei-science.comこの号を読む予定あまりなかったのだが、ふと表紙見たときに、これが目に入っ…

『小説すばる2018年10月号』

ちょっと前の号だけど、SF特集だったので気になっていた 年明けからしばらく、小説を読んでいくぞという気持ちになっているので、ようやく手に取った。 下記目次は、SF特集部分のみ 【2大SF新連載】 佐々木譲「抵抗都市」 ・連載スタート記念 佐々木譲インタ…

藤崎慎吾『鯨の王』

幻の巨大クジラを追う海洋スリラーSF 藤崎慎吾作品を読もう読もうと思って幾星霜。いやほんといくらなんでも幾星霜すぎるだろ 単行本出たのが2007年、文庫化したのが2009年の作品。 アメリカ海軍の潜水艦で、乗組員が一人ずつ死んでいくという怪死事件が発生…

『天文ガイド2019年3月号』

https://sakstyle.hatenadiary.jp/entry/2019/02/16/141625:titleに掲載されていた「特集 月面着陸50周年 アポロ計画から月探査の未来へ」の続き 前後編かなーと思ったら、前中後編だった天文ガイド 2019年3月号出版社/メーカー: 誠文堂新光社発売日: 2019/…

天文ガイド 2019年2月号

普段全く読まない雑誌だけど、「特集 月面着陸50周年 アポロ計画から月探査の未来へ」が気になって手に取った 自分、宇宙は好きだけど天文(天体観測とか)はさほど興味がない、という人なので天文ガイド 2019年2月号出版社/メーカー: 誠文堂新光社発売日: 2…

『Genesis 一万年の午後』

創元日本SFアンソロジー 創刊号と銘打たれているのでシリーズ化するらしい。創元の編集部によるアンソロ。タイトルのGenesisは、「創元」の英訳みたい。 創元SF短編賞受賞作家を多くそろえ、ジャンルもバリエーション豊かな感じになっている。 久永実木彦…

真鍋真監修『新版 恐竜の世界(学研の図鑑)』

フルカラー、DVD付きで、内容的にも充実していて、1000円しないという非常にお買い得な一冊 最新の内容まで盛り込みつつ、個人的によかったところは、系統図が要所要所に掲載されていたところ。骨格標本の写真も多め テーマごとに章分けされていて読み物とし…

リンダ・ナガタ『接続戦闘分隊』

感情制御技術とドローンによる戦闘支援と民間軍事会社が跋扈する近未来の米陸軍で、ちょっと軍人っぽくない感じの軍人主人公の一人称ミリタリーSF どことなく、というか完全に『虐殺器官』を彷彿とさせる作品であるので手に取ってみることにした。 上にあ…

分析美学アンソロジー新旧比較つづき

sakstyle.hatenadiary.jp著者の比較であげたリストを少し作り直し。 それぞれの論文の発表年を入れた表にしてみる 新旧両方 旧のみ 新のみ Peter Lamarque 1995, 1981, 1990 2006, 2009 Malcom Budd 1995, 1993, 1996 2004 Kendall L. Walton 1970, 1978 197…

イアン・マクドナルド『旋舞の千年都市』

2027年のイスタンブールを舞台にした群像劇で、6人の登場人物の5日間を描く。原題は「The Dervish House」で、Dervishはイスラムの修道僧のこと。6人の主人公が住んでいるのが、元僧院であるためこのタイトルだが、宗教、特に神経科学テクノロジーとの関係も…

分析美学アンソロジー新旧比較

"Aesthetics and the Philosophy of Art: The Analytic Tradition: An Anthology"という分析美学の論文集があるのだが、これの2nd Editionが出ており、結構、論文が入れ替わっているということを先ほど知ったので、新旧比較してみた。 15年ぶりの改訂っぽ…