ソチ五輪男女モーグル

4年に1度の祭典、オリンピック!
ソチ大会は、近年のモーグルコースとしては珍しい、コブのピッチが不規則な難コース
難しすぎて女子はけが人続出していてそれはそれでどうかというところはありつつも、男子は異常にハイレベルな戦いを展開した。
また、試合進行に関わるルールに変更があった。
W杯でも、予選→ファイナル→スーパーファイナルと、シングル戦でも最後まで勝ち上がると滑る回数が3回と回数が増えたけれど、五輪でも3〜4回滑ることになった(男子だと最多で1日5回滑ることに)。
まず、予選1回目が行われ(男子29名、女子30名)、ここで上位の10名が決勝へ進出する。
予選1回目で予選進出できなかった残りの選手(男子19名、女子20名)は、さらに予選2回目へと進む。ここで再び上位10名が決勝へ進出することができる。
女子では、予選1回目と予選2回目・決勝が別の日になっており、予選1回目で勝った選手は決勝の日は3回でいいが、予選2回目から勝ち上がった選手は4回滑ることになる。
男子では、予選1回目、2回目、決勝が全て同日に行われた。
決勝は全部で3回行われ、20名→12名→6名と勝ち上がっていく方式であった。
このルール変更は、選手にとっては過酷と言わざるを得ないが、見る側としては目当ての選手が、滑りが、エアが何度も見られるというのみならず、ドラマ性や試合運びの駆け引きが生まれて、より面白いものになったのではないかと思う。


あと、ヤンネがカイゼルっぽい髭はやしてたねw
男子の時は、虎のマスクつけてたしw


今回、実況付きで見ることで、結構読み方間違っていることに気付きました

キングスバリー→キングスベリーKingsubury
デネン→デニーンDeneen
ギャグノン→ガニョンGagnon
レイハード→ライハルドReihard
シュミシュレイエフ→スミシュレアエフSmyshlyaev
Spett→スペット
ガリシェバ→ガリシェワGalysheva

女子

まずは、結果から。
決勝進出を決めたのは以下の20名(予選順位順)

ハンナ・カーニー
クロエ・デュフォー−ラポイント
ジャスティン・デュフォー−ラポイント
エリザ・アウトリム
ペリーヌ・ラフォン
ユリア・ガリシェワ
上村愛子
マキシム・デュフォー−ラポイント
オードリー・ロビショー
レギナ・ラヒモア
エカテリーナ・ストリャロワ
デボラ・スカンツィオ
ニコラ・スドヴァ
ブリトニー・コックス
ヘザー・マクフィ
テイラー・オニール
ニコール・パヴェル
NingQin*1
マリア・ペトラルカ?*2

上位陣は納得のメンツという感じだが、フランスの新星、15歳のラフォンが予選5位通過で要注目
また、地元ロシアが3人送り込んできている。
そして、最終的な結果は以下の通り

金:ジャスティン・デュフォー−ラポイント
銀:クロエ・デュフォー−ラポイント
銅:ハンナ・カーニー
4位:上村愛子
5位:ブリトニー・コックス
6位:エリザ・アウトリム

カーニーは2連覇ならず。デュフォー−ラポイント姉妹がワンツーフィニッシュを決めて、新女王の座についた。


当日、見ながら実況していたのはtogetterにまとめた。
ソチ五輪女子モーグル - Togetter
コースがガリガリになっていて、ただでさえ難しいのに難コースになっていた。村田やクローザーが怪我するなどに現れていたのかなと思う。
決勝3回目組を除いて印象に残ったもの
男子ほどではないにせよ、新しいエアが見れた。
イタリア、デボラ・スカンツィオのループとか。あと誰か、予選でトラックドライバーしてたはず。
バックフリップで膝を抱え込むのは、バックタックと呼ぶと知りました。
ラフォンとストリャロワとか今後期待できる選手なのでは。個人的な偏見として、若い選手はエアとかでぶっとばすけどターン安定しないというのがあるのだけど、ラフォンは非常に安定した滑りを見せて、15歳らしからぬなあと思ったw
決勝3回やると、その間で地味に順位が変動していって面白かった。
3回滑らなければならないという五輪の方式に、もっとも対応していたのは間違いなく上村だった。
五輪を照準にあわせているのはマジだったんだなーというのがよくわかった。回を追うごとにターンを修正していって確実によくしていったのは、上村だけだったと思う。決勝3回目は、上村から始まって、アウトリム、コックスと続いたのだけど、アウトリムとコックスは上村からのプレッシャーに対して、攻めていってミスってしまった感じ。
しかし、一方で、上村のターンについては終始上半身の安定の点で気になるところがあって、ノーミスであったとしても点数が伸びないことは、仕方なかったと思う。
ただ、ハンナ・カーニーは、彼女らしからぬ不安定な滑りだったのもまた確かだと思う。あんなにエアでミスるカーニーというのも見たことがない。
ジャスティンとクロエは確実に勝ちにいこうとしていた感じで、抑えるところは抑えていた。
ただ、クロエの方が最後まで維持しきることができなかったのかな、と。


男子

女子と同じくまずは結果から
決勝進出したのは以下の20名(予選順位順)

アレックス・ビロドー
ミカエル・キングスベリー
アレクサンダー・スミシュレアエフ
遠藤尚
マーク−アントニー・ガニョン
フィリップ・マーキ
ドミトリー・ライヘルド
ブラッドレー・ウィルソン
ブロディー・サマーズ
マット・グラハム
パトリック・デニー
チェ・ジェウ
サロネン*3
パヴェル・コルマコフ
アンドレイ・ヴォルコフ
アレクセイ・パブレンコ
ルドヴィグ・フィアルストローム
西伸幸
ベンジャミン・カヴェ
ペール・スペット

終結果は以下の通り。
強豪カナダが4人、地元ロシアが3人進出
カザフスタンが今大会最年少の17歳コルマコフを、韓国が19歳のジェウを決勝へと進めたのも見逃せないところ

金:アレックス・ビロドー
銀:ミカエル・キングスベリー
銅:アレキサンダー・スミシュレアエフ
4位:ドミトリー・ライヘルド
5位:マーク−アントニー・ガニョン
6位:パトリック・デニー

ビロドーが、フリースタイルスキー競技で初めてと五輪二連覇を達成して、その強さを見せつけた。地元スミシュレアエフが銅メダルに。


同じく当日の実況の模様はtogetterで
ソチ五輪男子モーグル - Togetter


思いのほか、コーク1080やダブルフルをする選手がいたのに驚いた。
とかくエアのレベルアップがすごい。
コースについては、雪が柔らかくなったため、女子の時ほどヤバイ感じではなくなったが、足をとられる選手は結構いた。
解説聞いてて面白かったのは、サミ・ムストネンがフィンランドのコーチやってるとか、トビー・ドーソンが韓国のコーチやってるとか聞けたことだな。かつての強豪選手が未来の強豪選手を生みだそうとしているのかと思うと胸熱w
遠藤と西は予選は悪くなかったんだけど、決勝は緊張したのか焦りがでたのか、特に遠藤はあまりよい滑りができなかった。


決勝1回目の順番に、印象に残ったのをあげていくと
スウェーデンのペール・スペット
まず、あの髭が強く印象に残るがw それ以上にエアがすごい。ミュートグラブバックフリップとフロントフリップ。ミュートグラブでくいっと横に板を引っ張っているのが超スタイリッシュ。フロントフリップはとにかくでかい! その分、ターンはちょっと荒めだが、そこらへんも滑るにつれて修正していってた。名前は知っていたのだけど、実際の滑りを見るのは初めてだった。一発でファンになったw
フランスのベンジャミン・カヴェ
彼はコーク1080とダブルフルという、ビロドーやキングスベリーがやるのと同じ組み合わせのエアをしてきたので、かなり驚いた。
フィンランドサロネンは、ミュートグラブでコーク720をしていた。
韓国のチェ・ジウ。まだ10代の選手だが、ダブルフルを見事に決めてきていた。
同じく10代の選手としては、今大会最年少17歳のパヴェル・コルマコフという選手がカザフスタンから来ていた。カザフはライヘルドとコルマコフの二人が決勝2回目まで進出したし、やはり強い。
デニーンがDスピンしていたけど、他にもちらほらDスピンしている選手がいたような気がする。頭が足より下にいったらDスピンと、三浦豪太がコークとの見分けかたを言ってた。
デニーンはロケットというあだ名をもっているらしいのだけど、マーキも速かった。この二人がスピードで競い合っていた感じ。エアの難度でちょっと劣る分、スピードで勝負をかけていた。
ロシアのアレクサンダー・スミシュレアエフは、トラックドライバーループというエアを持っていて、これがまた見応えあった。
キングスベリーとビロドーは1回目はあまりふるわなかった。
決勝2回目は
スペット→コルマコフ→ジェウ→デニン→ビロドー→グラハム→カヴェ→ライヘルド→ガニョン→キングスベリー→マーキ→スミシュレアエフの順だった。
決勝3回目
24秒台出すだけでも「速い!!」って感じだったのに、デニンがさらに24秒を切るというとてつもないことをしてくる。
本当に最後は、全員が次々と自らの限界突破の全力を見せつけて争うという、ハイレベルの戦いを見れた。決勝が3回あることによって、これでもかこれでもかと攻めてくる感じ。
ライヘルドはエアの難度は低いんだけれど、ターンが上手い
ミシュレアエフはトラックドライバー出してくるし、ここにきて24秒台を出してくる。
そして、ビロドー。この時点でまだ3位で、正直決勝2回目見た後は、ビロドー二連覇は難しいかなとも思っていた。ただ、一方でもう何があってもおかしくない雰囲気もあった、その中での決勝3回目でのビロドーの滑りは、完璧としか言い様のないものだった。ターン、エア、スピードというモーグルの三要素全てが完璧だった。どこにもけちのつけようのない滑りで、26.31の高得点をたたき出す。
続くギャノンは決して悪くない滑りだったけれど、最後の方でターンに乱れが出てきた。
そして、最後のキングスベリー
彼は今日ここまでずっと、26秒台とスピードを犠牲にしながらも、確実に安定したターンによってここまで進んできた。ビロドーは決勝1回目でミスって決勝2回目では真ん中より下くらいまで順位が下がっていた。一方キングスベリーは予選2位、決勝1回目3位、決勝2回目1位と高い順位を維持していた。
とはいえ直前のビロドーの滑りに勝つためには、このままでダメだというのも明らかだった。最後になってキングスベリーはスピードを上げて、25秒台まであげてきたが、その分ターンをミスってしまった。


ソチ五輪男子モーグルは、歴史に残るこの上ない名勝負だったのではないかと思う。
あと、歴代の金メダリストが全員あの場に居合わせていたらしいです。
エドガー・グロスピロン、ジャン=リュック・ブラッサール、ジョニー・モズレーヤンネ・ラハテラ、デイル・ベッグ=スミス、アレックス・ビロドー

*1:中国の選手、読みと漢字忘れたのでアルファベット表記

*2:自分のメモが読み取れないorz

*3:ファーストネーム、メモりそこね